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日本で最初の電気機関車はドイツ製。鉄道記念物に指定されたクラシックな10000型【長野県軽井沢駅】

akariフリーエディター(軽井沢町・御代田町)

しなの鉄道「軽井沢駅 旧駅舎口」を抜けてホームに出ると、クラシックな車体の素敵な電車が並んでいました。

これまでJR新幹線側の改札ばかり使っていたので全く気づかなかった存在。

先頭は「EF63型機関車」。思わず二度見してしまいました
先頭は「EF63型機関車」。思わず二度見してしまいました

つい先日古い写真を見て、“なんて可愛い電車なんだろう”と思っていた機関車。軽井沢駅で本物の車体を見られるとは! 嬉しい発見です。

案内板あります
案内板あります

日本の最急勾配線である横川ー軽井沢間の碓氷峠専用“補助機関車”として、本務機用EF62型機関車と同時に開発された「EF63型機関車」

そっか、列車に連結使用されるものだったんですね。独特の安全装置が特徴だったとか。

計器類がびっしり。操縦席も覗けます
計器類がびっしり。操縦席も覗けます

峠で輸送力を落とすことなく直通運転ができ、他の幹線系列車と同一の輸送力を発揮する輝かしい成果をあげた働き者の機関車です。

昭和30年代から1997年(平成9年)まで活躍し、長野新幹線の開業により任務を終えたそうです。

ブルーのボディがかっこいいです
ブルーのボディがかっこいいです

愛らしい顔つきです
愛らしい顔つきです

そして、次に控えていたのが日本初の電気機関車「10000型(EC40型)電気機関車」。

案内板によると「明治44年(1911年)ドイツAEG社で制作されたわが国最初の電気機関車で、横川機関区に配置され、もっぱら横川ー軽井沢間を往復していました」とあります。

1964年(昭和39年)に「アプト式鉄道」とともに鉄道記念物に指定された貴重な機関車。こちらは復元されたものですが、製作当時の車体をそのまま伝えています。

クラシックで優雅な車体デザイン
クラシックで優雅な車体デザイン

角丸の窓やドアがなんとも可愛く
角丸の窓やドアがなんとも可愛く

ちょっととぼけたような顔つき
ちょっととぼけたような顔つき

1891年(明治24年)に建設を始めた「アプト式線路(鉄道)」は、線路の中央にラックレールという歯形の軌条をおき、機関車の下に取り付けた歯型をこれと噛み合わせて走らせる登山用の鉄道。ドイツ人のローマンアプト氏が発明したもの。

当時スイスやドイツなどの山岳鉄道で用いられていた建設方式を、日本でも採用したんですね。

そして、最後尾の黄色い車両は「マルチプルタイタンパー」。オーストリア「プラッサー&トイラー (Plasser & Theurer) 」製です。

まさに働く車の風貌
まさに働く車の風貌

この「マルチプルタイタンパー」(略称MTT)は、レールの歪みを直していく「つき固め」作業を効率的に行うことができる保守用車両。

線路の歪み量の測定とそれに伴う整正量の計算、レールの持ち上げ、つき固め作業をこの車両1台で連続的に行うことができる優れもの!

それまでは、ツルハシなどの道具を使った人力作業だったようです。登場に拍手喝采ですね。

ヨーロッパデザインのクラシックな顔つき
ヨーロッパデザインのクラシックな顔つき

「プラッサー&トイラー (Plasser & Theurer) 」のロゴが素敵
「プラッサー&トイラー (Plasser & Theurer) 」のロゴが素敵

黄色い車体と青空がよく似合いますね
黄色い車体と青空がよく似合いますね

1985年(昭和60年)にオーストリアで製造され、JR東日本で活躍した後、しなの鉄道開業に合わせて移籍し、2003年3月までの18年間、しなの鉄道で使用されていました。

どの車両もお疲れ様でした!と言いたくなる佇まい。

しなの鉄道「軽井沢駅」を利用の際に、ぜひ立ち寄って眺めてみてください。

しなの鉄道「軽井沢 旧駅舎口」。この先のホームに3台並んでいます
しなの鉄道「軽井沢 旧駅舎口」。この先のホームに3台並んでいます

しなの鉄道「軽井沢駅 旧駅舎口」
しなの鉄道「軽井沢駅」【窓口営業時間】
(3階改札口)6:00~22:00
(旧駅舎口) 7:25~18:15
TEL:0267-42-6257(しなの鉄道)
TEL:050-2016-1600(JR東日本お問い合わせセンター)

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フリーエディター(軽井沢町・御代田町)

東京から長野に移住して10年ほど。東京と軽井沢の2拠点生活のあと、現在は軽井沢の西側「信濃追分」に仕事場を設け、本に関わる仕事をして暮らしています。趣味は散策。古本と着物と温泉、浅間山麓の風土が好きです。

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