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もう一眼レフはいらないかも。キヤノン新発売のミラーレスEOS R7とEOS R10がちょうど良い理由

Akiブロガー / くらしフォトグラファー

キヤノンが新しいカメラを二機種発表しました。ミラーレス一眼カメラの「EOS R7」と「EOS R10」です。それぞれ2022年の6月下旬と7月下旬に発売を予定しています。いずれもEOS Rシリーズ初のAPS-Cセンサーを搭載した特徴的なカメラで大注目です。

これらのカメラがなぜいまとても関心を集めているのか。そしてどんな特徴があるカメラなのか。キヤノンのカメラの製品展開について説明しながら、これらの点について解説します!

多様で複雑化しているキヤノンのカメラ

近年キヤノンは従来の一眼レフカメラの開発を縮小して、ミラーレス一眼カメラへと徐々にリソースを集めています。それを象徴するのがEOS Rシリーズです。キヤノンは2018年に初めてフルサイズセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラ「EOS R」を発売。それまでミラーレスと言えば機能的には一眼レフよりも劣るというイメージが根強かったところに、本格的な機能を詰め込んだ新しい機種を続々と投入し始めました。

2020年には約4500万画素のセンサーを搭載した「EOS R5」(約50万円)を発売。2021年には最高約30コマ/秒の高速連射を可能とする「EOS R3」(約70万円)を新たに市場に投入しました。これらのカメラに見合う高性能な交換レンズも続々と発売。これまで一眼レフカメラを使っていたプロカメラマンも徐々にミラーレス一眼のEOS Rシリーズへと機材を移行しています。

一方でエントリー層は必ずしもミラーレス一眼カメラに移行したわけではありませんでした。キヤノンはEOS Rシリーズを開発する前から EOS Mシリーズというミラーレス一眼カメラの製品群を2012年から販売しています。EOS MシリーズのカメラはすべてAPS-Cサイズのセンサーを搭載しており、小型で軽量なカメラばかりです。コンパクトなサイズが魅力で、価格も安いので女性や若年層を中心に支持を集めています。しかし機能的にはやや制限されており、初心者でもすこし本格志向のユーザーは昔ながらの一眼レフカメラを選ぶ傾向がありました。

つまり近年は新たにカメラを始める初心者層が一眼レフカメラを選んだり、EOS Mシリーズを選んだり、あるいはEOS Rシリーズを選ぶなど、バラバラに分かれていたのです。キヤノンの幅広い商品展開はさまざまなニーズを拾い上げるという意味では成功していました。しかし、それぞれのシリーズが異なる規格を採用しているため、交換レンズをうまく流用できないデメリットもあります。消費者からすると複雑すぎる仕様です。
参考:キヤノンの一眼カメラとレンズの互換性まとめ|どの種類のレンズが使えるの? - 神戸ファインダー

画像左からミラーレスカメラのEOS Kiss M、EOS R、そして一眼レフのEOS Kiss X9。それぞれレンズマウントの規格が異なります。
画像左からミラーレスカメラのEOS Kiss M、EOS R、そして一眼レフのEOS Kiss X9。それぞれレンズマウントの規格が異なります。

EOS R7 と EOS R10 の登場でEOS Rシリーズ1本化への流れに

ここで新たに発表されたEOS R7 とEOS R10が大きな意味を持ちます。このふたつのカメラはAPS-Cサイズのセンサーを搭載しており、従来のフルサイズセンサー搭載機種と比べて小型軽量化しています。価格も初心者層の購入候補にあがる程度に手ごろな値段です。さらに高速連射とオートフォーカスの性能が強化されていて、従来の一眼レフカメラの多くを凌駕する性能に仕上げられています。

つまりEOS Mシリーズや一眼レフカメラのユーザー層にも訴求できるような新しいカメラがEOS Rシリーズに登場したわけです。EOS Rシリーズのカメラには最新の機能がふんだんに盛り込まれていて、レンズなどの関連機材も最新設計のものが用意されています。キヤノンは引き続きEOS Mシリーズや一眼レフカメラの販売も続ける方針を示していますが、今後の商品展開の軸足がEOS Rシリーズにあることは間違いありません。

ハンズオンで試す新世代カメラの実力

筆者もさっそくキヤノンフォトハウス大阪まで足を運び、発売前のふたつのカメラのタッチ&トライをしてきました。

画像左がEOS R7、右がEOS R10。
画像左がEOS R7、右がEOS R10。

EOS R7、EOS R10ともに一眼カメラとしては軽量で質量はそれぞれ612g、429g(バッテリー、SDカード含む)です。特にEOS R10は手に持つと非常に軽々として驚きました。EOS Mシリーズのカメラと比べるとグリップが深いのでしっかり握り込めます。

カメラに合わせて新開発されたレンズの「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」や「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」もコンパクトで軽量でした。特に前者は沈胴式で収納できるのでまるで単焦点レンズのようなサイズです。

試し撮りしてみるとEOS R7、EOS R10ともにオートフォーカスの性能が素晴らしかったです。人物の検出が正確で、マスクをしていてもきちんと顔を認識して自動でピントを合わせてくれます。被写体が動いて、横を向いたり後ろを向いたりしても追従してフォーカスしてくれるので安心して撮影できました。

機能的に特に優れているのはEOS R7です。強力なボディ内手振れ補正機能を搭載しており、さらに電子シャッターで最高約30コマ/秒の高速連射が可能です。ダイヤルやボタン類の位置も改善が施されており、上級者がマニュアルで設定をスムーズに調整できる操作性が実現されています。より詳しいカメラのレビューは下記の記事でレポートしているのでご関心のある方はご覧ください。
参考:キヤノンEOS R7のタッチ&トライに行ってきた感想とカメラの注目ポイント - 神戸ファインダー

EOS R10はボディ内手振れ補正機能が省かれているのがやや惜しいですが、それ以外の機能性では上位機種にも見劣りしない性能に仕上げられています。コンパクトなボディに本格的な機能が詰め込まれていて、かつ価格が抑えられているのでお買い得感のあるカメラです。おそらく今後キヤノンを代表する人気機種になると思います。カメラの詳細については次の記事をご覧ください。
参考:キヤノンEOS R10のタッチ&トライに行ってきた感想とカメラの注目ポイント - 神戸ファインダー

筆者はキヤノンの一眼カメラのファンで、EOS Rシリーズ、EOS Mシリーズ、さらに一眼レフの3種類の一眼カメラを所有して愛用してきました。それぞれのカメラの魅力を理解しているつもりですが、今後人におすすめするカメラとしてはやはりEOS Rシリーズが第一候補にあがります。特にこれまでキヤノンの一眼レフカメラを使ってきた人は、EOS R7やEOS R10などをぜひご検討ください。カメラの新しい時代を感じ取ることができるはずです。

EOS R7とEOS R10の性能比較や、EOS Mシリーズの存在意義については次の記事で解説しています。カメラの購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
参考:キヤノンEOS R7 と EOS R10 が新発売!RFマウントの APS-C カメラ登場で EOS Mシリーズはどうなるのか

ブロガー / くらしフォトグラファー

ガジェットの情報を発信するブロガー。得意分野はカメラ関係。明日から使える写真撮影のコツや、あると生活が便利になるアイテムなどを分かりやすく紹介しています。取り上げるアイテムは実際に使って良かったものだけに厳選。 日常の何気ないシーンや家族と過ごす生活の写真を撮る "くらしフォトグラファー"として活動。特別ではない平凡な毎日を撮ることの魅力や価値を発信しています。 神戸ファインダー / ピークデザインのある暮らし / シタタカライフ など複数のウェブサイトを運営。1989年生まれ / 兵庫県神戸市育ち

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