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【ゴルフ】良いグリップなくして良いスイングなし 正しいグリップの仕方とは

野洲明ゴルフ活動家

「悪いグリップからいいスイングは生まれない」これはハーヴィー・ペニックの言葉。
1905年生まれ(1995年死去)のハーヴィー・ペニックは、2002年に世界ゴルフ殿堂入りした、全米初のティーチングプロ。

良いスイングのためには良いグリップが必要

「良いグリップ無くして良いスイング無し」といっても過言ではないぐらいグリップは重要。しかし、多くのゴルファーはグリップを軽視する傾向にあるようだ。ゴルフを始めた頃、誰かからざっと教わって以降気にしたことがない、というゴルファーも少なくないのではないだろうか。

良いショットを打つためには良いスイングとそのスイングの再現性が必要だが、そのためには良いグリップである必要がある。グリップの良し悪しは形がきれいかどうかだけではない。圧などの感覚の部分で、10本ある指それぞれににどういう指示を出すかがとても重要だ。今回は良いグリップについて解説する。

グリップの形

グリップの種類

グリップの種類は3種類ある。右手の小指を左手の指に重ねる「オーバーラッピンググリップ」、右手小指を左手人差し指に絡ませる「インターロッキンググリップ」、左人差し指と右小指を密着させ、10本の指全部で握る「テンフィンガーグリップ」だ。

これらのグリップで「どれが最も良いか」ということを述べることはできないが、以前はオーバーラッピンググリップを、ツアー選手を含めて最も多くのゴルファーが用いていた。最近ではインターロッキンググリップのゴルファーが増えてきているようだ。

基本的な形

左手。親指はシャフトのセンターよりやや右側になり、人差し指と中指の関節が見えるように握る。

親指はセンターではない
親指はセンターではない

右手。手のひらで左手の親指をつつみこむように握る。

親指下のやわらかいところを左手親指に乗せる
親指下のやわらかいところを左手親指に乗せる

右手。親指はシャフトセンターよりやや左側になる。

右手親指もセンターではない
右手親指もセンターではない

これらは、あくまでも「基準」であり「こうでなければいけないもの」ではないが、スイング作りや弾道の調整をする上で、大きなポイントになるので押さえておきたい。

このグリップを体感して脳にインプットさせるためにはグリップ練習器具「グリップ先生」の使用が有効だ。

上記のように左手と右手をセットすると、左手甲と右手の平はやや左ななめ前方を向くが、左手甲と右手のひらが正面を向くグリップをフックグリップ(インパクトでフェースが閉じやすいグリップ)、目標方向を向くグリップをウィークグリップ(インパクトでフェースが開きやすいグリップ)という。

形以外の重要なポイント

左手の小指、くすり指、中指でクラブを支える

左手の小指とくすり指と中指がクラブを支えるポイント。その中でも特に、小指とくすり指を意識して握りたい。「握る」というよりも「ひっかける」と言う方が適切かもしれない。指をひっかけて、手のひらを軽く巻き込むようにして左手グリップをセットする。左手の小指と薬指、手のひらの小指側、この三点でクラブを支えるのが理想的だ

特に小指とくすり指がが重要
特に小指とくすり指がが重要

右手は左手の補助的な役割で良いだろう。右手でクラブを支えるポイントを挙げると、くすり指と中指になる。こちらも左手同様、指で握るべきだ。「握る」というよりも「ひっかける」と言う方が適切かもしれない。

くすり指と中指が重要
くすり指と中指が重要

多くのゴルファーは人差し指や親指に力が入る傾向

左右両方とも、極力、親指と人差し指には力を入れない、ということだ。しかし、多くのゴルファーは左右両方の手の親指と人差し指とに力が入りやすいようだ。そこに力が入ってしまっては、バックスイングではクラブヘッドを持ち上げるような動きになってしまったり、ダウンスイングではクラブヘッドを下に押さえつけるような動きになりやすくなる。こうなると、クラブの重力や遠心力など物理的な力を効率よくボールに伝えることが難しくなってしまう。

親指や人差し指に力が入ってしまうゴルファーに、左手親指や右手親指、人差し指をグリップから外してスイングしてもらうと、腕とクラブが連動したしなやかなスイングになる場合がある。この時、このゴルファーは「クラブがぐらぐらして不安定な感じがする」と感じやすいが、撮影したスイングを見るとより自然な流れでスイングしていることが分かる。

ある程度、クラブがぐらぐらする感覚は多くのゴルファーにとって受け入れるべきもの。一般的に言われている「クラブヘッドの重みを感じる」とはそういうものだ。クラブの自然な動きを妨げないために、左手小指とくすり指を主にクラブを支えて、左右両方とも、人差し指や親指の力が抜けたグリップはを心がけよう。

自宅でもできるグリップの練習

グリップを軽視しているようでは練習場でどれだけ球数をこなしても、イメージ通りのしなやかなスイングを覚えることは難しい。グリップする練習は自宅でもできる。「形」「ポイントとなる指」「手とクラブの一体感」「適したグリップ圧」などがより高いレベルで融合したグリップを探ったり、そのグリップをスムーズに決められる段取りを反復練習をしてはどうだろうか。

グリップへの着目や取り組みは地味だ。スイング云々に比べてグリップ云々と向き合うことは楽しくないかもしれない。しかし、上達のためにはその地味な領域の問題をくまなくチェックすることはとても意味のあること。グリップは知らず知らずの内に崩れやすくもある。どこで握るか、どう握るか、とことん探ってみて欲しい。

<関連情報>
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ゴルフ活動家

スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとに、論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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