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【ゴルフ】ショートゲームが重要と言える理由

野洲明ゴルフ活動家

ショートゲームの練習が重要

ショートゲームの練習が重要と言われている理由としては、グリーン周りからのショートゲーム向上がスコアメイクにつながることが挙げられる。しかし、それだけではない。取り組み方次第ではスイングを作る上で大きな役割を果たす。アイアンショットやドライバーショットの向上にもつながるのだ。色々と経験しながら今のスキルを獲得している上級者やプロの多くは、それを痛感してきているため「ショートゲームが重要」と言う。

寄せ1(ヨセワン)率が高まりスコアが良くなる

当然のことだが、ショートゲームの向上は実戦に役立つ。グリーン周りからダフったりトップしたりして"行ったり来たり"しているようでは良いスコアを出すことは難しい。1パット圏内、悪くても安定して2パット圏内に寄せることができると、スコアの安定につながる。

米ツアーの公式データとして採用されているSG(ストローク・ゲインド)指標の生みの親であるマーク・ブローディ氏の著書「ゴルフデータ革命」の中では、平均スコア90ゴルファーの距離別の「1パットの確率」と「3パットの確率」が発表されている。

これを見ると、8フィート(1フィート:30.48センチ)、つまり約2.5メートルに寄せることができれば4回に1回はヨセワンにすることができ、40フィート、つまり約12メートルでは3回に1回は3パットしてしまうことが分かる。ショートゲームの精度はスコアに直結するのだ。

参考:ゴルフデータ革命
参考:ゴルフデータ革命

遠くから無理にグリーンを狙わなくなる

ショートゲームに自信が持てると遠くからグリーンを狙うショットに余裕が持てる。自信が無ければ「できるだけグリーンに近づけなければ」「グリーンに乗せなければ」とプレッシャーが大きくなるのでミスショットになりやすい。対して「乗らなくてもリカバリーできる」と思えると、リラックスしてスイングすることができるのだ。それは良いショットにつながりやすくなるため、グリーンオンする確率が上がる期待が持てる。

スイングが良くなる

ショートゲームでのより良いボールとクラブヘッドのコンタクトのために、インパクト前後の腕とクラブの連動や体と腕の連動に焦点を当てることは、より良いスイング作りにつながる。正しいインパクトのためのインパクト前後の動きは全番手共通。ゴルフスイングの重要な要素が凝縮されたものが、グリーン周りからのショートゲームの振り幅の中にあるのだ。

インパクト前後の動きのイメージをダウンスイングのイメージに、ダウンスイングのイメージをバックスイングのイメージに、バックスイングのイメージを始動のイメージに、始動のイメージをアドレスのイメージに、と、つなげていくことで、スイングがより良いものになっていく。

ロングゲームが重要ではあるが

近年プロゴルフ界ではゴルフが「1打目をドライバーで遠くまで飛ばした者勝ち」と、パワーゲーム化してきている。「ゴルフデータ革命」の中で、元世界ランキング1位(3月21日時点で11位)のロリー・マキロイは「よくショートゲームが得意じゃないと試合で優勝できないと言われるけど、全然違う」と言っており、メジャー18勝のジャック・ニクラウスもこの意見を支持している。

また、飛距離を武器にしている選手の方が、方向性やショートゲームを武器に戦っている選手よりも良い成績を残している。「ゴルフデータ革命」の中では、現在のスコアから10打縮める場合、「ティーショット」「アプローチ(※1)」「ショートゲーム(※2)」「パット」の中で重要なのは「ティショット」と「アプローチ」、つまりロングゲームの方が重要であることを示すデータが発表されていたりする。これらのような背景もあり、ゴルフ界ではショートゲームが軽視される風潮になりつつある。
※1):この場合の「アプローチ」は、ミドルホールとロングホールのティショットを除く、カップまで100ヤード以上の地点からのすべてのショット。
※2):この場合の「ショートゲーム」は、カップまで100ヤード以内の場所から打つショットのうち、パットを除いたもの。

参考:ゴルフデータ革命
参考:ゴルフデータ革命

しかし、飛距離の出る選手にしても「質の高いインパクト前後の動き」に「パワー」が合わさることで飛距離を出しているわけで、結局、飛距離を出すためにも小さい振り幅の質の高さが必須といえる。

練習場にはドライバーショットの爽快感を得る楽しみもあるが、そのドライバーショットの飛距離や精度を向上させる取り組みとして、ウェッジでの小さい振り幅に焦点をあててみてはどうだろうか。打ち放題システムを採用している練習場や、アプローチやバンカー練習場があるゴルフ場でプレーする場合は、ショートゲームの練習により多くの時間を割くことをおすすめする。

スコアメイクにも直結するしスイング作りにもなる、良いことだらけのショートゲーム強化。是非、スタートさせて欲しい。

<関連情報>
ゴルファー必読のバイブル マーク・ブローディ著「ゴルフデータ革命」(GOLFERS SUPPORT)

ゴルフ活動家

スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとに、論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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