「飛距離」と「フェアウェイキープ」はどちらが重要か 一般ゴルファーとプロゴルファーを分けて考える
好スコアでプレーするためには飛距離が出た方が有利であることは間違いないが、飛距離が出るほどOBや林に入ってトラブルになるリスクが高まる。
目いっぱいのパワーを使い無理に飛ばそうとするとスイングバランスを崩してしまい、フェースのスウィートスポットでボールをとらえられたとしても、フェースの向きが不安定になりやすく、狙い通りの方向にボールを飛ばすことが難しくなる。
また、パワーがあり元々飛ぶ人が普通の力感でスイングしても‟飛距離が出る”というだけでターゲットからボールが外れすくなる。
方向を犠牲にしても飛距離にこだわった方が良いのだろうか。はたまた、徹底して方向を重視した方が良いのだろうか。
飛距離とフェアウェイキープはどちらが重要なのだろうか。
この問題については、一般的なゴルファーと、上級者やプロとを分けて考える必要がある。一般ゴルファーはフェアウェイキープやトラブルのリスク回避の方が重要で、プロ上級者は飛距離の方が重要と言えそうだ。
一般ゴルファー
米ツアーの公式データとして採用されているSG(ストローク・ゲインド)指標の産みの親であるマーク・ブローディ氏はアマチュアとプロのティーショットの精度に関する研究結果を公開している。
そこには「平均スコア90ゴルファーのティーショットは平均6.5度ターゲットから外れる」とある。ということは200ヤード飛ばした場合、ターゲットから約23ヤード外れることになる。280ヤード飛ばした場合は、ターゲットから約32ヤード外れることになる。
9ヤードの差は、次のショットがグリーン方向を狙いやすくなるかどうか、ラフに残っているかトラブルになるか、に大きく影響する。
よって、一般ゴルファーが好スコアを目指すには、ティーショットでは飛距離よりもフェアウェイキープやトラブル回避を優先するべきだろう。
ツアー選手
ツアー選手は一般ゴルファーとは違い、方向よりも飛距離が重要と言えそうだ。マーク・ブローディ氏の研究によると米ツアー選手のティーショット方向のズレの平均は、平均スコア90ゴルファーの6.5度に対して3.4度。300ヤード飛ばしてもターゲットから17~18ヤードしか外れない。
この程度のズレであれば、さらに飛距離を伸ばそうとしても大きなトラブルになるリスクはさほど高まらない。よって、ツアー選手は「少しでも遠くへ飛ばす」といった考えを持っても問題ないだろう。
2023年日本男子ツアーの獲得賞金を調査
今季の日本男子ツアーのドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率それぞれ上位10名の獲得賞金を比較してみた。
すると、ドライビングディスタンス上位10名の方が獲得賞金の平均が大きいことが分かった。
ドライビングディスタンス上位10名の平均獲得賞金:5,848万3,444円
フェアウェイキープ率上位10名の平均獲得賞金:3,620万77円
平均値を上げている賞金王を争った選手が入っていない上位5名の平均でもドライビングディスタンスに分があった。
プロの世界では、飛距離は‟絶対”に近い条件になる。
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