川崎にクラフトビールファンを呼び込む立役者・東海道BEER 醸造家の「言葉ぜめ」で心も宙に【川崎区】
近年、クラフトビール流行りですね。私の周りでもクラフトビール愛好家がとても多く、まるでかつてのワインブームの様相。話を聴いているだけでも楽しいです。
本日は、川崎駅東口の旧東海道の近くに2018年にでき(また旧東海道ですぞ!)、瞬く間に川崎の名物となるクラフトビールを次々に生み出している「東海道BEER川崎宿工場」をご紹介したいと思います。というのも、こちらの醸造家さんは、かなりロックで「キレッキレ」なのですよ….
例えば…
こちらの川崎経済新聞の記事を読んでいただければ、なんとなくその一端が窺えると思います。
では、会いに行ってみましょう。
旧東海道から一本路地へ
東海道BEERはその名の通り、旧東海道の近く。旧東海道=砂子通りから路地に一本入ってすぐです。
角にノボリが出ます。実際には「カクヤス」を目印にする方が多いです。
あ、オーナーの岩澤さんがいらっしゃいました!
東海道で1894年(明治27年)にこの場所に創業した硝子店の4代目である岩澤さんと、ビール醸造家・田上達史さんとの出会いはそれだけでも一本演劇が書けちゃうくらいの物語なので、また別の機会にじっくり扱わせていただきます。では、中へ入っていきましょう。
店内もすごい
醸造所の真ん前で、発酵中のタンクを見ながら飲める。これが「川崎宿工場」なんですね。ここは、醸造所併設のクラフトビールバーなのです。
レトロモダンな内装のデザインにやられます!キラキラしているけれど、その輝きには無駄がない。切子硝子のペンダントやホルダーもおっしゃれー!
こちらが、醸造家の田上達史さん
田上達史さん(42)ビール醸造家
田上さんの作るビールには、必ず田上さん本人による文章がつきます。初めて田上さんの作るビールを飲んだ時、その強烈な味の印象はもちろんのこと、そのキャプションによる長い余韻がそのビールを忘れられないものにするのだ、と思った覚えがあります。
例えば、この「黒に浮かぶ」。これは「第11回全国工場夜景サミット in 川崎」に合わせて醸造された、川崎の工場夜景をイメージして作られたビールなのですが、こちらに付けられた文章は、こちらです。
東海道BEER 公式Facebookページより引用
うふふん。と思わず笑いが漏れてしまいました。(変?)
息を吐くように喋るように文章を書く人がここにもいたと、勝手に親近感を覚えてしまいます。
「黒に浮かぶ」を飲みながらこの文章を読むと、コーヒーの深い味がするビールから様々なイメージが噴出してきました。キラキラと輝くネオン、水蒸気の向こう側に黒く横たわる海。そのさらに先にある常夏の国で、熟したコーヒーの実を選んで食べる野生の動物。熱い太陽のもとで強制的に働かされていた人々の生活や汗、人間の根源的な欲求とはなんと素直なものなのだろうと思いながら。
言葉のイメージからビールを作る
田上さんは、学生時代はバンドを組んで音楽をやっていたそうです。曲も自分たちで作っていたそうです。独特な言葉の選び方、詩人だなあと思っていましましたが、表現が音楽からビールに変わっただけだったのですね。(さらなる親近感を覚える私w)。
新しいビールを作るときには「どんなビールにするの完全にイメージが出来ている」ということです。「言葉で先にコンセプトを作り込んでいるのかもしれない」とも。
こちらは、東海道BEERの定番三兄弟ですが、これもなかなかの名付けですよ。IPAの「1623」、スタウト「黒い弛緩」、イチゴを使った「薄紅の口実」。
これらの名前の由来や製造秘話も、ぜひ田上さんの言葉で読んで欲しいので、気になった方はぜひ、東海道BEERのFacebookページをフォローしてくださいね。
言葉に酔う、という表現がありますが、まさにこちらのビールは「言語と味覚の密接な関係」を証明していうるかのようです。ビールがそれほど得意でない、という人も「薄紅の口実」か「麦の出会い」あたりからトライしてみると、いつの間にか醸造家の言葉の魔法に連れて行かれて、心も浮かぶ経験ができるかもしれませんよ。
フロンターレとのコラボビール「風呂上がりエール」もオススメですが、これは近々「フロカフェ」を書くときにご紹介するとしましょう。それでは!引き続き素敵な夜をお過ごしください。
東海道BEER 川崎宿工場
住所:神奈川県川崎市川崎区本町1-4-1
電話番号:044-272-3639
営業時間:17時30分~22時(土日は14時〜)
定休日:月・火曜日
公式HP:https://tokaido.beer
アクセス:JR「川崎」駅北口より徒歩9分、京急川崎駅より7分