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【川崎市高津区】世界を繋いだ青空かみしばい 子ども達に拍子木を贈った元CA紙芝居師・もっちぃの物語

Ash俳優・吟遊詩人(川崎市)

川崎って多様性のある街です。面白い人がいっぱいいて、外から移り住んできた人も前からいる人も分け隔てなく、認め合って暮らしている。他者に対する受容性が高いんですよね。だから、私みたいな流れ者もすんなり溶け込めて、なんか居心地がいいのでい続けちゃったりして。

私の記事では、そんな川崎で出会った面白い人たちにインタビューする記事も週1くらいのペースで上げています。飲食店の記事などに比べるとPVが伸びないのは悩みの種ですが、きっとこういう「人」にフォーカスした記事も好きだと言っていただける人がいると信じて。

元CAの紙芝居師・もっちぃの挑戦

今日ご紹介するのは、私が昨年出会った川崎の面白い人の中でも、群を抜いて面白い人「紙しばいや もっちぃ」。

紙芝居の概念を超える3D紙芝居「ヤマタノオロチ」 大道具のオロチもバルーンで手作りする
紙芝居の概念を超える3D紙芝居「ヤマタノオロチ」 大道具のオロチもバルーンで手作りする

異色の経歴を持つ

と、書いてみましたが、よく考えると紙芝居師に正当な経歴なんてあるのでしょうか。

私たち俳優も、バックグラウンドは本当に千差万別ですし、特に日本は演劇教育が確立していないので、これがエリートコース、というようなものはありません。だからこそ様々なキャリアの持ち主が、その経験や特色を生かしながら自由に表現活動をしている、とも言えるのかもしれません。

もっちぃさんの前職はなんとCA。キャビンアテンダントです。「香港を拠点とする航空会社だったので、アジア13か国から多様なCAが集まっていました」と言います。

「たまたま受かった」と笑ってらっしゃいましたが、多くの女性が憧れる職業を辞めて、紙芝居の道に入った理由は「避難訓練などのロールプレイをやっている時に、演じるって楽しいな、と目覚めてしまった」のだとか。わかります。わかりますけど…そこから? (笑)

女優を目指しプロダクションに入り、しばらくした時に紙芝居師のオーディションがあったのが転機だったと言います。

「周囲はプロの講談師や、俳優、お笑い芸人とか、すでに一芸持っている人ばかりでした。私は絵も描けなかったのでその世界とは無縁だと一旦は考えたのですが」

「オーディション会場で、参加者が多様な表現で『黄金バット』を演じていた、その時の輝いていた空間をいつまでも忘れることができず…、いつか自分でもやりたいと思うようになりました。」

結婚・出産というライフイベントを経ても紙芝居への思いが忘れられなかったもっちぃさんは、独学で勉強し、2015年に「紙しばいや もっちぃ」を名乗って紙芝居を始めました。

近所の公園で、たった一人で。演目はあの思い出の「黄金バット」でした。

そこから現在まで6年、もっちぃさんは精力的に活動を続け、今では川崎市内外のいろいろなイベントで「紙しばいや もっちぃ」の紙芝居を見ることができるようになりました。

青空かみしばい

そして、2020年、我らステージパフォーマーにとって(いや、誰にとってもですが)受難の年がやってきます。新型コロナウィルスの影響で、紙芝居を見せる機会がなくなってしまいました。

オンライン会議システムで、紙芝居を世界中に届ける

コロナ禍の中、いろいろなイベントがオンラインになりました。しかしながら、ライブ芸術はオンライン化がなかなか難しいものです。どう頑張っても、目の前にパフォーマーのいる迫力に比べると、別のものになってしまいます。けれども、そこがもっちぃさんの凄いところ。「せっかくオンラインなんだから、リアルでは届けられないところまで、届けてしまえばいいじゃない!」さすが元CA、発想も飛んでますね!

こうして、世界中の子どもや紙芝居師を繋ぐ「青空かみしばい」というもっちぃさんの新たな挑戦が始まったのです。

2020年4月13日から、2021年3月7日まで実施した「青空かみしばい」
2020年4月13日から、2021年3月7日まで実施した「青空かみしばい」

参加型のオンライン紙芝居会

この企画の凄いところは、紙芝居をただ見せるのではなく、子どもたちに自分たちで演じてもらったところです。

折しも、世界中でロックダウンが始まり、日本でも学校が一斉休校になり、世界中で子どもたちと、その親たちが途方に暮れていました。私も、舞台が全て中止になり、空太郎が家にいるので何かクリエイティブなことを一緒にするかな、と考えをめぐらしていたところでした。

オンラインで出会ったばかりのもっちぃさんから「お子さんと紙芝居やりませんか?」と言われて「よくわからないけど乗った!」と参加を申し込みました。

空太郎が参加した回では、メキシコからもふたり同年代の子供が参加していた
空太郎が参加した回では、メキシコからもふたり同年代の子供が参加していた

近所の雑貨屋さんで「顔ハメ」に、「びじゅチューン」の影響で宮本武蔵にはまっていた空太郎は、アマビエと武蔵が出会う話を創作して、「顔ハメミュージカル紙芝居」をやりました(笑)

時間は3時間弱くらい、演者は写真の6人、視聴者はその5倍くらいいたでしょうか。どの演目も面白く、スペイン語がわからなくて、参加者でわかる人が解説を入れてくれたりして、とても楽しい時間でした。

本当にワールドワイド!

アメリカ人のタラさんは、プリンストン大学で「紙芝居のパフォーマンス性」についての博士号を取得した紙芝居師
アメリカ人のタラさんは、プリンストン大学で「紙芝居のパフォーマンス性」についての博士号を取得した紙芝居師

視聴者として観た回もありましたが、毎回、海外の紙芝居師さんが日本の物語を自由な表現で演じられて、そのクオリティーの高さにとても感動しました!

拍子木プロジェクトでクラファンも達成!

青空かみしばいで、たくさんの子どもが紙芝居に触れてくれたことがうれしかった、というもっちぃさんはその子どたちが紙芝居などのパフォーマンスを続けていけるように願いを込めて、青空かみしばいと並行して「子どもたちに拍子木を贈るプロジェクト」を始めました。

これはもっちぃさんが、紙芝居という路上パフォーマンスが、きちんと存続していくためには、観客が楽しんだ分の投げ銭や出演料が支払われるべき、と考えていらっしゃり、せめて出演料の代わりに、子どもたちにお礼の品を贈りたいと思ったことから始まりました。

こちらも8月7日に、目標金額を上回る形で、無事に達成しました!

先日の子ども食堂の記事でも書きましたが、情熱のあるところには善意が集まってくるものなのですね!

もっちぃさんが届けてくれた拍子木を手に喜ぶ
もっちぃさんが届けてくれた拍子木を手に喜ぶ

空太郎氏も参加者の一人として、拍子木をいただきました。母子で良い経験をさせてもらった上に、拍子木までいただき、感謝の気持ちがつきません。本当にありがとうございました。

ドイツの紙芝居師さんの息子さんも、この笑顔
ドイツの紙芝居師さんの息子さんも、この笑顔

もっちぃさんのもとには、今、世界中のいろいろなところから「拍子木が届いたよ!」と感謝のメッセージが届いているそうです。本当に、素敵なプロジェクトだなあ…。

どこでもっちぃに会えますか?

さて、この記事を読んで、もっちぃの紙芝居に興味を持った方、チャンスです!

今週末、東田公園でもっちぃが紙芝居を上演するそうですよ!!

青空かみしばいにも出演していた、親子紙芝居師の「ゆうことぴっぴ」さんの応援に駆け付けるそうです。

雨天中止なので、晴れることを祈って!!
雨天中止なので、晴れることを祈って!!

ちょっと天気が心配ですが…

でも、紙芝居さんが2組も出るなら、そのパワーできっと雨雲も逃げていくはず!

もっちぃ作のバルーンも販売予定ということですので、紙芝居を楽しんだらぜひ、投げ銭がわりにバルーンんをお買い求めください♪ 

バルーンはいつも子どもたちに人気
バルーンはいつも子どもたちに人気

どんな波がやってきても、アイディアと身一つで乗り切っていく「紙しばいや もっちぃ」の今後の活動から、目が離せません。同じ身体表現者として、ずっと応援しています!!

和ものの演目が多いところも、シンパシー大です♪
和ものの演目が多いところも、シンパシー大です♪

紙芝居屋さんがやってくる!
日にち:4月18日
時間:10時〜
場所:東田公園(神奈川県川崎市川崎区東田町3-25)
入場無料(ぜひ、バルーンを買ってね♪)

俳優・吟遊詩人(川崎市)

琵琶を弾き歌う俳優です。世界80都市を旅した結果、日本文化を愛しています。旅と出会いと美味しいお酒がインスピレーションの源。MCアマビエちゃんはアマエビちゃんにメタモルフォーゼ。フラットで差別のない目線で記事をお届けしたいと思っています。Stay tuned!

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