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【川崎市高津区】「注文に時間がかかるカフェ」って知ってる? 吃音と共に、夢をかなえる若者たち

Ash俳優・吟遊詩人(川崎市)

こんばんは!日々、地元の美しいもの、楽しいものに癒されて役者活動をしています、Ashです♪

先日、梶ヶ谷の「音の教室カリヨン」の記事を書きました。

そのとき、カリヨン主宰の平松あずささんが、とても素敵な試みをもうひとつ紹介してくださったので、そちらをご紹介したいと思います。

注文に時間がかかるカフェ

それは、「注文に時間がかかるカフェ」を7月に行う、というものでした。

「注文に時間がかかるカフェ」ってなに? と思いますよね。

これは、吃音(=どもり)など、発語に不安があり、注文をとることが簡単にはできないけれど、それでも接客をやりたいと心から思う若者たちの思いが結実したカフェ。

お話をきくにつけ、素敵すぎるプロジェクトでした。

この日、ラテグラフィックで平松さんを取材をしていた私のもとを、そのカフェを主宰するという一人の女性が訪ねてくれました。

奥村安莉沙(ありさ)さん

奥村ありささん(相模原市出身)
奥村ありささん(相模原市出身)

「注文に時間がかかるカフェ」を主宰する、奥村安莉沙(ありさ)さんです。

奥村さんは、ご自身が吃音をもち、その難しさと向き合って生きてきました。自分と同じように吃音のせいでやりたい仕事ができない若い世代が、やりたいことを実現できる場をと、吃音を持った若者たちが働くカフェを主宰するようになりました。

いままでに東京や富山で開催してきて、来月の7月3日にはカリヨンの平松さんの協力のもと、梶ヶ谷のあるスペースで開催するのだそうです。(開催場所は、参加者にのみ告知)

奥村さん(左)と、カリヨン・カンパニーの平松さん
奥村さん(左)と、カリヨン・カンパニーの平松さん

「わたしは、2歳の頃から吃音を持っていました。小さい頃には、人と違うということには気がついていませんでしたが、成長するにつれて、そのことに気がつき、うまく話せないことで差別されることもありました。」

「大学に進学し、就活、となったときに、自分の名前を言えないくらいの症状がでました。200社くらい受験したのですが、すべて落ちました。なんとか得た訪問介護の仕事をしていたときに、荒天の日に国道でスリップして駐車しているダンプの下に入り込んでしまったことがあります。そんな状況なのに、助けての「た」がでなかった、という経験をしました。生活していくことにも支障を感じました。」

オーストラリアで

「その後、英語を勉強したいという思いを叶えるために、オーストラリア・メルボルンへ留学したのですが、英語だとさらに喋れなくなりました。でも、病院に通い、発話訓練、Twitterで動画を毎日あげるなどの取り組みをするうちに、同じ吃音のある学生が話しかけてくれたり、バイトしたいけど吃音でマニュアルのセリフがいえない、という相談がけっこうありました。」

「オーストラリアはカフェ文化が栄えていて、そこではいろいろな差異のある人たちが働いていました。わたしは、10歳のころからカフェの店員に憧れていました。実家に戻った時のことです。机のなかに(10歳の自分が書いた)20歳の自分へ宛てた手紙が出てきたんです。」

カフェの店員さんという夢を叶えていますか?

「そこには『ありさ、カフェの店員さんという夢を叶えていますか?』と書いてありました。10年前の自分からのメッセージに背中を押され、これは、今自分がやならければならないことだ、と思いました。」

「昨年(2021年)、住んでいたシェアハウスのリビングでまずは「注文に時間がかかるカフェ」をやろう、と一念発起し、やりたいひといる? と呼び掛けたら、高校生2人と大学生の女の子がきてくれました。」

このカフェを開催することで、吃音を持っていても、接客をすることができた若者たちは自信を持つことができ、またお客として訪れた人たちはそれまでよくわかっていなかった吃音のことを理解することができたと言います。

カフェに手応えを得た奥村さんは、今回の川崎での開催を映像に収め、ドキュメンタリー映画を作ることにしました。もともと、映画の翻訳や広告を手掛けるなどの経験があったのだそうです。

「今回の若者たちの挑戦の記録を映画化できたら、より多くの人々に吃音を持つ人たちの日常や、それを理解してくれる環境がいかに大切かということを伝えることができる」と奥村さんは意欲を見せます。

挑戦していたクラウドファンディングは143%達成!(6月21日現在)

こちらのサイトにも、奥村さんたちの思いが詰まっています。気になる方はのぞいてみてください。

平松さんの思い

奇しくも、奥村さんも影響を受けたというメルボルンのカフェ文化をフィーチャーした「LATTE GRAPHIC」でお話を聞けた
奇しくも、奥村さんも影響を受けたというメルボルンのカフェ文化をフィーチャーした「LATTE GRAPHIC」でお話を聞けた

「障がいを持っている、というと重い、暗い、というイメージがあるけれども、一見すると普通に見える子が心の中でいろいろなことを考えていることが明るく、伝わってきます。軽やかで楽しそうで、ロゴやコピーにも惹かれました。」

平松さんの息子さんも、吃音があって、それを乗り越えて学校の生徒会の要職をやり遂げた経験があるそうで、今回の映画にはナレーションで出演するそうです。

川崎育ちの青年も出演するその映画、とても気になりますね!

梶ヶ谷で行う「注文に時間がかかるカフェ」への参加は、申し込み制で今回は残念ながらすでに満席のようなのですが、自分の街でもこのカフェをやってみたい、と思った方は、サイトから奥村さんにアクセスしてみてください。

また、ご自身が吃音をお持ちで一緒に活動したい、という方は、やはり以下のサイトから連絡をとってみることをお勧めします。

この活動自体が、いろいろな人に知られて、このカフェが日本中のあちこちで開かれ、ひいては吃音を持つ子どもたちが、生き生きと暮らせるような社会になっていければ、と心から応援しています!!

注文に時間がかかるカフェ@川崎
開催日:2022年7月3日(日)
時間: 13時〜16時
申し込み:こくちーず より(現在満席)
公式サイト:注文に時間がかかるカフェ (場所不定・随時開催)

俳優・吟遊詩人(川崎市)

琵琶を弾き歌う俳優です。世界80都市を旅した結果、日本文化を愛しています。旅と出会いと美味しいお酒がインスピレーションの源。MCアマビエちゃんはアマエビちゃんにメタモルフォーゼ。フラットで差別のない目線で記事をお届けしたいと思っています。Stay tuned!

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