【武蔵野市】ネットより爆安の絶版岩波文庫100円~。
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岩波文庫のライバルは岩波文庫しかない
ダイヤ街に入ってすぐ、靴下屋や雑貨店にはさまれた右手に、古書店【外口書店】があります。ブックガイドには「一般的な文芸書中心」などと紹介されているようですが、なかなかどうして! 岩波文庫の絶版がこんないい状態で100円から手に入るとこってなかなかないと思います。
ちなみに赤帯が海外文学、青色の帯がノンフィクション、緑が日本文学、白は経済等の実学系、黄帯は万葉集などの古典。ヘディンのシルクロード探検記やコロンブス航海記、清朝撲滅時の中国を描いた「紫禁城の黄昏」などなど、名作がぞろぞろ。いずれも初版は20年以上前のはずですが、まるで新品のような状態のよさ。

本日の掘出物は現代のカポーティか? 未知の作家の「荒野へ」
本日は入口棚から、ジョン・クラカワーの『荒野へ』を選びました。100円ナリ。現役ノンフィクション作家の本ですから、普通に新品を買えるはずなんですけど、私の場合、こういう「うわあああっ、読みたい」という本に新本屋でめぐりあえることはめったにありません。
見返しに、「東海岸の一流大学を卒業したスポーツエリートでもある青年が突然、資産をすべて福祉団体に寄付し、何もかも捨ててアラスカの荒野へ。4か月後、凍てついたバスの中で腐乱死体で見つかる」……とあり、いったい何があったのだろうとめちゃくちゃ惹かれました。日本でいえば、『香田証生さんはなぜ殺されたのか』に近いかと思います。

ちゃんとした家庭に生まれ、いいご両親もありながら、なぜかふらりと冒険の旅に出てしまう。……今ならアホ、といわれそうですし、旅立つ前にSNSなどでめちゃめちゃ止められそうですが、1992年というまだネットも携帯も一般的でなかったころの話。持っているものを捨てざるをえない状況が人間にはあるのだと思います。またそれができるのが、結婚などしていない独身のときだけ。今こそ旅立たねば、と死出を急ぐ若者の気持ちはヒリヒリとわかる。

ダイヤ街という駅前の一等地に店を構えるこちら、戦前はつくだ煮屋さんだったそうですが、現店主の代で古書店にされたのだそう。戦後ですから、誰もが活字に飢えているときで、まさに機に敏をみる転進だったのではないかと思います。古典は青空文庫でも読めるけど、やっぱり紙の癒しにはこたえられません。
【外口書店】
武蔵野市吉祥寺本町 1-14-1 吉祥寺駅北口から徒歩2分
TEL 0422-22-5223 営業時間10:00〜20:30 休業日火曜日
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