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【宝塚市】2月17日はライブドローイングも開催。「永井秀幸 とびだす! ふしぎな3Dアートの世界」

ぶらっと地域情報発信ライター(宝塚市)
角度がポイント

数多くのメディアで紹介されている人気の3Dアーティスト永井秀幸さんの展覧会が、宝塚市立文化芸術センターで開催中です(2月25日まで/水曜日休)。スケッチブックに描かれた絵が視点を変えるだけで飛び出してくる錯覚のアート。作品はすべて撮影できます。スマートフォンとカメラを持って、たった1本の鉛筆から生み出されるマジカルワールドを体験しませんか。

思わず声が出るふしぎ体験

存在感抜群のキャラクターや動物たちが、平面のスケッチブック上に立ったり、奥から飛び出してきたり。『嵐にしやがれ』などメディアでもたびたび紹介され、ふしぎ感覚の飛び出すアートが注目されている永井秀幸さん。その原画をみられる貴重な展覧会が、宝塚市立文化芸術センターで開催中です。過去にも札幌や大阪などで個展は開催されましたが、今回は、永井さん選りすぐりの作品に加えて、宝塚展のために描きおろされた新作など約90点が展示されています。

宝塚の「塚」の正式表記は、塚に点がある旧字体。その「点」もちゃんと描かれています。全体像はぜひ展覧会で。
宝塚の「塚」の正式表記は、塚に点がある旧字体。その「点」もちゃんと描かれています。全体像はぜひ展覧会で。

永井秀幸さんは1991年生まれで和歌山県出身の方。ほぼ独学で絵を学び、自身のサイトを立ち上げて2012年から3Dアートを中心に制作を開始。大阪を拠点として活動を続けています。

本展の作品形態はL字、平面、貫通、そしてL字を引き伸ばした大型作品の4種類。飛び出す楽しさをより感じてもらえるように、永井さんこだわりの暗めの照明で、陰影が強調されています。

スケッチブックの上の住人たち

本展のキュレーター・山口由香(やまぐち ゆか)さんの案内で中に入ると、まずはL字作品の展示から。

L字作品の展示コーナー
L字作品の展示コーナー

真ん中で折られたスケッチブックの絵が、ずらりと並んでいます。そのままでは、ヘなりと倒れ込んでいるような絵ですが、それぞれの展示台に矢印で示された角度から見ると、

あら不思議。動物の舌がぴょこんと飛び出してきました。

「おおおっ」

美術館であることも忘れ、思わず声が出てしまいます。

全力で脳をだます

なぜこんなことが起きるのでしょうか。

目には「立体視」という機能があります。ごく大ざっぱに説明すると、右目と左目で同じものを見た時、それぞれの目から見る角度が微妙に異なることから、目(網膜)に映る像に差が生じます。この差から、脳は物体の奥行きを知覚して、ひとつの三次元構造に組み替え、「立体」を認識するのです。3Dは、この機能に働きかけて脳をだますアート。そのため見る角度が大事なのです。

今回の展示では、それぞれの展示台に矢印が描かれ、鑑賞して欲しい角度が示されています。

スケッチブック上だけに存在するファンタジック・ワールド
スケッチブック上だけに存在するファンタジック・ワールド

ところが人間の脳は優秀です。示された角度から見ても、僅かな影やくぼみ、折れた線などに気が付いて、だまされまいとふんばってきます。

そこでカメラやスマートフォンの登場です。カメラやスマホは目が一つ(単焦点)で、人間の目で直接みるよりも、だましやすくなるのだそう。

自分の目だけでも、指定された角度から見れば絵は飛び出してきますが、カメラなどの画面を通してみたほうが陰影も強調されて、よりリアルに驚きを感じやすいのだとか。鑑賞の際にカメラやスマートフォンを持参すれば、さらに楽しめますね。

奥の2枚に比べて、手前のキリンだけが飛び出しているのにご注目
奥の2枚に比べて、手前のキリンだけが飛び出しているのにご注目

永井さんも、スマートフォンの画面で確認しながら絵を描くのだそう。HBから8Bの鉛筆を駆使して陰影をつけていきます。飛び出すふしぎワールドを楽しみつつ、原画の繊細なタッチにも注目です。

撮影のコツは「思ったよりも高め」

さて、ここまで何枚か写真をご紹介してきましたが、実は、飛び出した画を撮るのはけっこう難しいのです(もしかしたら、掲載写真もまだ十分ではないかも)。指定された角度から撮っても、カメラの高さが違うとうまく飛び出してくれません。

「探せばかならず見つかります」という山口さんの言葉に励まされ、撮影を繰り返してベストポジションを探ります。

誰かに撮ってもらって、イルカを撫でてみよう
誰かに撮ってもらって、イルカを撫でてみよう

コツは「思ったより高め」。とくにスマートフォンは画面を自分の目線の高さに置きがちですが、それよりも「上」、身長差があるので一概には言えませんが、絵を覗き込むような角度で、L字の折れ線が目立たないように撮るといいようです。

平面作品はわかりやすい

L字作品は複雑な構図で見た目もおもしろいですが、撮影グッドポイントを探すのに少しだけ時間がかかるかも。難しいなと思ったら、平面作品で練習するといいかもしれません。こちらはシンプルなので、わりあい簡単に飛び出してくれます。

スマートフォンで撮影
スマートフォンで撮影

ちなみにこちらの不思議なキャラクターは永井さんの絵本にも登場する小人ちゃん。名前はないそうです。

デジタルカメラで撮影
デジタルカメラで撮影

こんな年賀状、もらってみたいですね。

熱中する貫通アート

最後の展示は貫通アート作品です。こちらは、展示作品を使って自分の手に貫通する写真を撮ることができます。

まずは一番シンプルな貫通アートから。

一見、普通のロープの絵に見えますが…

なんと貫通してしまいました!

(山口さんにご協力いただきました。)

これは面白い、と次々に挑戦。

こちらは2つのパーツがあります。ひとつを掌に乗せ、下の紙に描かれた階段と角度を合わせていきます。すこし難しかったですが、けっこうイイ感じになったのではないでしょうか。

シゴデキ・キュレーター山口さんのおかげでナイスな仕上がり
シゴデキ・キュレーター山口さんのおかげでナイスな仕上がり

おもしろい写真がどんどん撮れるので夢中になり、気が付けば、

「上、上、あ、ちょっと左。もうちょい手前」

と、大きな声で指示していました…。

こちらの展示は大人気で、角度を研究しつつ、ひとりで黙々と撮影してる方も。皆さん、時間を忘れて熱中されていました。

2月17日にはライブドローイングも

作品展示の最後には、永井さんの制作過程を記録した映像が上映されています。そして2月17日(土)13時からは、なんと永井さんが来館してライブドローイングが開催されるそう。不思議な絵がどうやって描かれているのか、その秘密に迫るチャンスです。興味ある方は、ぜひ足を運んでみてください(展覧会入場者は無料)。

展示スペース内でライブドローイングが開催されます
展示スペース内でライブドローイングが開催されます

いかがでしたか。自分でみつける不思議体験は、夢中になること間違いなし。子どもも大人も楽しめる、この春オススメの展覧会です。

1階ショップで絵本を販売中
1階ショップで絵本を販売中

展覧会情報

特別展 永井秀幸 とびだす! ふしぎな3Dアートの世界
■ 会期:2024年2月3日(土)~2月25日(日)
■ 会場:宝塚市立文化芸術センター2階メインギャラリー
 (〒665-0844 兵庫県宝塚市武庫川町7-64)
■ 開館時間:10時~18時(最終入場は17時30分)
■ 休館日:毎週水曜日
■ 観覧料:1000円(中学生以下 無料/パートナー特典対象)
■ Tel:0797-62-6800
展覧会公式ホームページ
永井秀幸公式サイト

ライブドローイング「3Dアート誕生の瞬間!」

■ 日時:2024年2月17日(土)
           13時~14時
■ 会場:展覧会場
    (2Fメインギャラリー)内
■ 参加費:展覧会入場者は無料
■ 参加方法:参加自由、事前予約不要

地域情報発信ライター(宝塚市)

カフェ、庭園、美術館、ときどき神社。新しい出会いを求めて、カメラ片手に足の向くまま、気の向くまま。歴史のあるまち、宝塚の「いま」をお届けします。

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