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【宝塚市】和菓子の魅力再発見! シンプルなのに奥深い『菅屋』さんの珈琲羊羹

ぶらっと地域情報発信ライター(宝塚市)
お手頃食べ切りサイズ

伝統の味を守りながら、新たなチャレンジを続ける人気の菓匠『菅屋』さん。若い人にも和菓子を食べてもらいたい、との熱い思いから生まれた新作が「珈琲羊羹(コーヒーようかん)」です。斬新な創作和菓子がどのように生まれたのか、お話しをうかがってきました。

レトロモダンな味わいが宝塚らしい
レトロモダンな味わいが宝塚らしい

はじまりは人気コーヒー店とのコラボ

『菅屋』山本店でお話しをうかがったのは、菅井輝和さん。50年以上にわたって地域の皆さまに愛されている『菅屋』さんの二代目です。和菓子だけでなく洋菓子への造詣も深く、お話ししていても菓子創作への情熱が伝わってきます。

コーヒー好きでもある菅井さんが「和菓子に合うコーヒーが飲みたい」と思いたったことから、SHIZUKU COFFEE ROASTERさんとのご縁がつながりました。

その結果、宝塚の人気店同士の豪華なコラボレーションが実現します。約2年前に誕生した「和菓子によく合う珈琲」です。

酸味や苦みがなく、さっぱりとした味わいはまるでお茶のよう。コーヒー独特のコクを残しながら和菓子の繊細な風味を引き立てて、今では菅屋さんの定番商品です。

ドリップバッグ。3杯分のセットで販売中
ドリップバッグ。3杯分のセットで販売中

宝塚ブランドらしい、レトロモダンなパッケージが可愛くて、ちょっとしたお土産にも喜ばれそうですね。

未知の美味しさを探求する和菓子界のインディ・ジョーンズ

さて、探求心旺盛な菅井さんの冒険は、それでは終わりません。

「コーヒーの豊潤な香りや味わいが、和菓子から直接感じられたらどうだろう」

と、考えはじめました。

たとえば、コーヒーゼリーは世間一般でお馴染みのスイーツであり、菅屋さんにも『珈の極』というゼリーがあります。

けれどそれでは面白くない。

美味しくて、組み合わせが新鮮で、できれば和菓子、というのが菅井さんのこだわり。そうしてたどり着いたのが「珈琲羊羹」です。

ふたたびSHIZUKU COFFEEさんの協力を得て試作を開始しました。コーヒーの個性を活かした自家焙煎にこだわるSHIZUKU COFFEEさんは、ブラジル・モジアナ地区の極上の豆をベースにしたスペシャルティブレンドに、甘みが最も引き出される中深煎りをチョイス。

それを受けた菅井さんが、まずは抽出したコーヒーを使ってみたところ、残念ながら風味が変わってしまい、上手くいかなかったそう。

試行錯誤の結果、たどり着いたのがエスプレッソの粉でした。出来上がった珈琲羊羹は、お求めやすい食べ切りサイズで、秋から春にかけての期間限定販売です。

パッケージにもこだわって

食べ切りサイズの羊羹は、掌にのるコロンとした可愛らしいフォルム。コーヒーらしいジャジーな夜の雰囲気がありながら、竹皮に包んだおむすびを思わせるパッケージに、郷愁が漂います。

むかし懐かしいジャズ喫茶の雰囲気も
むかし懐かしいジャズ喫茶の雰囲気も

裏側の粋なロゴも見逃せません。

デザインは、和モダンな『珈』の一字と、ポップなブランドロゴの組み合わせの2種類
デザインは、和モダンな『珈』の一字と、ポップなブランドロゴの組み合わせの2種類

まずはコーヒー&コーヒーで

どうせならコーヒー三昧でと、まずは『和菓子にとてもよく合う珈琲』と一緒にいただきました。

ひと口噛むと、広がるのは慣れ親しんだ羊羹の風味。さわやかな甘みに元気をもらって、心地よく背筋が伸びます。そしてほどよい粘りの後に立ちのぼる、ほのかなコーヒーの香味がモダンなアクセント。懐かしい味わいと、それに寄り添う重厚さのバランスが絶妙です。

エスプレッソの粉っぽさを感じさせない滑らかな舌触りは匠の技
エスプレッソの粉っぽさを感じさせない滑らかな舌触りは匠の技

「コーヒーを引き立てるために、それ以外はシンプルな味わいを心がけました」

と、菅井さん。

とはいえ、国産の大豆や寒天、純度にこだわったザラメなど、素材はすべて選び抜かれた上質なもの。さらに温度や湿度に左右されやすい寒天は、作るたびにその塩梅を見極めてと、丁寧な仕事はさすがの菅屋クオリティ。削ぎ落したダンディズムがカッコよく、同時に自然のエッセンスを引き出した味わいに、和菓子って美味しいんだなあと、つくづく思います。

緑茶のまろやかさに合わせても
緑茶のまろやかさに合わせても

日を改めて、緑茶と番茶でもいただきました。

どれも美味しかったですが、コーヒーと合わせた場合、ほかの2つに比べてやや羊羹の風味が分かりづらくなるかもしれません。緑茶も捨てがたいですが、個人的には番茶の香ばしさとの組み合わせが好みです。

一棹の新作も登場

食べ切りサイズの好評にこたえて、2023年12月にはどどんと一棹(ひとさお)バージョンが新登場。

ボップなディスプレイにもご注目(写真提供:菅屋)
ボップなディスプレイにもご注目(写真提供:菅屋)

いまのところ期間限定商品ですが、食べ切りサイズを含め、通年販売も検討中とのこと。和菓子好きにもコーヒー通にも嬉しいニュースです。

心躍る自然のいぶき

この他にも、店内は春を告げる和菓子でいっぱい。

自然の彩りにワクワク
自然の彩りにワクワク

自然の息吹を感じさせる鮮やかな緑は、みるだけで心が浮き立ちますね。

餡と桜の塩漬けのあまじょっぱさがクセになる「餅もちパイ」
餡と桜の塩漬けのあまじょっぱさがクセになる「餅もちパイ」

貴重な大島桜の塩漬けを使った「餅もちパイ」や、柔らかなよもぎの新芽を手摘みした「草だんご」など、今しか食べられない商品が目白押し。こちらも要チェックです。

よもぎ好きにはたまらない「草だんご」。「桜もち」の葉はもちろん大島桜
よもぎ好きにはたまらない「草だんご」。「桜もち」の葉はもちろん大島桜

和菓子の美味しさ再発見

世間では、毎年たくさんの新しいスイーツが登場します。より強い刺激を求めて、味は濃く、彩りはまぶしいほど鮮やかに、珍しいものを詰め込んだ商品に注目が集まりがちです。

いっぽう和菓子は、最小限の手間で素材を味わうシンプルなもの。刺激的な味に慣れた現代人には、ときに物足りなく感じることがあるのかもしれません。

けれど、掌にのるほど小さなお菓子の繊細な味わいに心を澄ませば、ゆったりとした大地のリズムが体に流れ込んできます。季節を思い、気が付けば笑顔になっている。そんな和菓子の良さも忘れないでいたいもの。

古(いにしえ)から受け継がれ磨き上げられた技を使いつつ、素材や組み合わせの工夫で目からうろこの新しい味わいが生まれるのも楽しいところですね。

菅井さんの冒険はまだまだ続きます。

珈琲羊羹は、レトロモダンな組み合わせが馴染むほどに深まる味わい。新しい春を見つけに、まずは食べ切りサイズからいかがですか。

(取材では菅屋様の協力により、珈琲と珈琲羊羹を無償でご提供いただきました。本記事制作にあたっては、ガイドラインに基づき公平中立に制作しています。)

店舗情報

寶菓匠 菅屋
■ 宝塚市山本東3-9-4
■ 営業時間:山本店 9:00~18:00/本店 9:30~18:00
(2014年1月4日より山本店の営業時間を変更しています。)
■ お問い合わせ:0797-89-0980(山本店)/0797-86-4748(本店)
■ 定休日:月曜日(但し祝祭日は営業 翌火曜日を振替休日とさせて頂きます)
公式インスタグラム

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地域情報発信ライター(宝塚市)

カフェ、庭園、美術館、ときどき神社。新しい出会いを求めて、カメラ片手に足の向くまま、気の向くまま。歴史のあるまち、宝塚の「いま」をお届けします。

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