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京都の老舗和菓子屋がつくる、柔らかいお餅と優しい甘みにほころぶ、期間限定のお正月和菓子

decocookie和菓子研究家

茶道の初釜でいただく和菓子として知られる「花びら餅」。京都の多くの和菓子屋で販売されるこの和菓子は、季節限定のお菓子です。

花びら餅は、甘く炊いたごぼうを、色づけした味噌餡と共に柔らかいお餅で半月状に包んだ和菓子。つくるお店によって違いがみられるため、毎年別のお店のものをいただくのも面白いものです。

12月上旬から予約を受け付け、年末には受付を終えてしまう和菓子屋さんが多いのですが、慌ただしい年の瀬に予約を忘れてしまっても、年はじめに購入することができるお店もありますし、1月から予約を受け付けてくれる、お取り寄せ可のお店もあります。

今回ご紹介する京都の老舗和菓子屋、鶴屋吉信さんの花びら餅「御所鏡」も、1月5日頃までは店舗で購入可能な花びら餅のひとつ。

鶴屋吉信の花びら餅、御所鏡
鶴屋吉信の花びら餅、御所鏡

紅色がうすく透けた、花びら餅のような薄紙を外すと、菱餅のような色合いの箱が現れます。

薄紙を外した鶴屋吉信、御所鏡の箱
薄紙を外した鶴屋吉信、御所鏡の箱

箱を開けると、日本の風俗史学者、江馬務氏による花びら餅についての記述があります。

風俗史家、江馬務による鶴屋吉信の御所鏡についての説明
風俗史家、江馬務による鶴屋吉信の御所鏡についての説明

こちらは御所鏡3個入り(1,782円税込)。菓子袋には裏白を思わせる菱形の絵が描かれています。

鶴屋吉信、御所鏡3個入
鶴屋吉信、御所鏡3個入

御所鏡を一つ取り出してみると、箱にはお菓子の型崩れを防ぐための工夫がされていました。

お菓子の型崩れを防ぐ工夫がされている鶴屋吉信、御所鏡の箱
お菓子の型崩れを防ぐ工夫がされている鶴屋吉信、御所鏡の箱

御所鏡を袋から取り出してみました。真っ白い餅の下にほんのり紅色が透け、蜜漬けされた牛蒡が顔を出しています。

白い求肥からうっすら紅羊羹が透ける鶴屋吉信の花びら餅、御所鏡
白い求肥からうっすら紅羊羹が透ける鶴屋吉信の花びら餅、御所鏡

御所鏡をカットしてみます。

鶴屋吉信の花びら餅、御所鏡をカットしてみる
鶴屋吉信の花びら餅、御所鏡をカットしてみる

白味噌風味の白餡と菱形の紅羊羹、そして蜜漬けの牛蒡が、柔らかい求肥で半月状に包まれているのが分かります。

もともとは中国から伝わり、平安時代の宮中で行われていた歯固(はがため)の祝儀からならい、その後形を変えて現在の形になった花びら餅。牛蒡は鮎を、味噌餡は雑煮の白味噌を表していると言われています。

花びら餅の由来については、御所鏡に同封されていた江馬務氏の言葉と共に、鶴屋吉信さんの公式サイト、京菓子寸話「牛蒡と味噌」にも詳しく記されています。御所鏡自体は公式サイトでの予約注文を終えていますが、お菓子の由来に興味のある方は、一度ご覧になってみてくださいね。

柔らかいお餅と京都らしい色合いが楽しめる、鶴屋吉信さんの御所鏡。年始の手土産に喜ばれそうな一品でした。

お餅の柔らかさを撮ったショート動画(23秒)も公開しています。お菓子の質感のご参考にどうぞ。

今回ご紹介したお店とお菓子

鶴屋吉信

御所鏡3個入 1,782円(税込)

和菓子研究家

YouTubeにて日本のお菓子と菓子作りを海外に紹介する菓子専門チャンネル「decocookie channel」を運営。伝統的な日本の菓子づくりだけでなく、今現在、海外で人気のある日本の菓子や知育菓子まで、幅広い日本の菓子を紹介しています。Yahooでは、奥深い和菓子を様々な角度からご紹介できればと思っています。

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