ネジを舐めたら焦らずに試してみて!修正のコツ
「ナメかけたネジ頭を、簡単に応急処置するテクニック!」
自分でバイクのメンテナンスやいじりをする人なら、一度は経験することだろう。「ねじを舐める」という危機的な状況に直面したことはないだろうか?焦って回そうとすると状況を悪化させるだけでなく、最悪の場合はネジを緩めることができなくなってしまうかもしれない。しかし、特殊工具がなくてもできる「応急処置」を試してみることはできる。今回は、そんな小さなテクニックを紹介しよう。
「ネジ」を「ナメる」という状況は、誰しも一度は通る道だ。バイクのメンテナンス経験者ならば、一度は経験したことがあるだろう。
「舐める」と言っても、舌でベロベロ舐めるのではない(一応説明しておく)
「ナメる」とは、ネジの頭のへこみ(プラスやマイナス、六角など)が壊れてしまい、ドライバーやスパナがうまく使えなくなる状態を指す。なぜ「舐める」と表現されるのか疑問に思ったことはあるだろうか?説は複数あるが、昔の人々が「かむ(噛む)」の対義語として選んだという話が有力だ。
話を戻そう。
ボルトをナメると、主にプラスネジが多いようだ。ドライバーのサイズがネジのサイズに合っていなかったり、回す際の力が足りなかったりといくつかの原因が考えられる。正しい道具選びや使い方を学んでいても、人間なので誤ってしまうこともある。
ハンドツールを使っている限り、1回舐めただけではネジが完全にダメになることはほとんどないが、それでも1度舐めると掛けられるトルクが著しく低下し、ボルトを外すのが困難になることがある。焦って作業を進めるとさらにネジを舐めてしまい、ボルトを外すことができなくなる可能性が高まる。
ネジを舐めてしまったらあわてず冷静に「応急処置」を行おう
そこで今回は、舐めかけたネジをそのまま回そうとせずに、ネジ穴を修正する方法を紹介したい。
応急処置とはいえ、私の経験上、この方法を試すとボルトを無事に外せる確率は8割以上に上がる。
ここに舐めかけたボルトがある。
元々こうではなく、私が小さなドライバーで焦って回そうとした結果、グニャッとなってしまった……すいません、私が犯人です。
健全なネジ頭と比べると、その状態は一目瞭然だ。プラス型の溝がめくれ上がっており、本来のトルクをかけることができない。もう完全に舐めてしまう一歩手前の状態だ。とても危険な状態だね!
焦って完全に舐めてしまうと、後の作業が中断されてしまう可能性があるため、ここは落ち着いて応急処置を施し、かっこよくボルトを外してみたい。
この状態でも、まだ応急処置が可能なのだ!
さぁ、ねじ頭の応急処置を始めよう。
用意するアイテムはこちら。
手元にある10ミリのT型レンチだ。
本当は工具で叩くのはご法度だが、緊急事態ということで許してほしい。言い訳をさせてもらえば、この形状がネジ穴修正にぴったりなのだ。丸棒で、ボルトくらいの太さがあり、先端は真っ平よりも少し丸みがあると理想的だ。だから、T型レンチの取っ手部分はまさにこのために最適な形状をしている。今回はそれを利用させてもらう(言い訳、終わり)。
※実際の作業はあっという間に終わる。
丸棒の先端を、めくれ上がっているネジ頭にそっと当てて……
ねじの頭が平らになるまで、ハンマーで叩く!ちょっと強めでOKだ。弱いとズレるので、力を込めてカンカンと叩いてほしい。
そうすると、こんな状態になるはずだ。
めくれていた溝が内側に押し込まれ、ちょっと潰れたような状態になる。もし部分的にめくれが残っている場合は、その部分を狙って再度カンカンと叩いてみてほしい。
最後の仕上げとして、サイズに合ったドライバーをネジ頭に当て、ハンマーでドライバーのお尻を叩き込む。
理想的には貫通ドライバーまたはショックドライバーを使うことが望ましい。もし手元にない場合でも、緊急事態なので通常のドライバーでもなんとかなるはずだ。
これで、ねじ頭がドライバーに合った形状になったはずだ。ここからは本来の手順に戻り、再度ボルトを外してみてほしい。
ちなみに、ネジ頭を修正する際にガンガンと叩かれるので、ほとんどの場合、この時点でボルトの固着が解除され、意外とスムーズに回せるはずだ。