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『不安症』は自力で治せる?HSPが不安症になる可能性と治療法について解説

精神科医しょう精神科医/メンタルドクター

こんにちは、精神科医しょうです。

私は普段、精神科での外来を行い、7万人以上インスタやvoicyのフォロワーさんに対しHSP気質に関する発信、書籍の出版を行っています。インスタにも遊びにきてね(外部リンク)

強い不安や恐怖によって、日常生活に支障をきたしている場合、『不安症』の可能性があります。

不安症は不安の信号が過剰になり過ぎた結果引き起こされ、動悸やめまい、呼吸困難などの身体症状が生じることもあります。

不安症の人は不安や恐怖を自分でコントロールすることが難しく、症状が重くなるとうつ病を合併してしまう可能性があるので注意が必要です。

一方、HSPは「繊細で敏感な気質を持つ人々」という意味を持ち、その敏感な気質から他の人よりも不安を感じやすい傾向があります。

この記事では、HSPの人が不安症になる可能性があるのか、不安症の種類や治療法と合わせて紹介します。

不安症とは?

私たち人間は、危険な状況に備えたり回避したりするために、不安や恐怖などの信号を出して自分の身を守ります。

しかし、その不安の信号が過剰になりすぎると日常生活に影響が現れ、心身に不調をきたしてしまいます。そのような状態を『不安症』といいます。

不安症にはさまざまな種類があり、全般不安症、社交不安症、パニック症、限局性恐怖症などがあります。

不安症の種類によって症状は異なりますが、パニック発作や動悸、心拍数増加、息苦しさや発汗、ふるえなどがあり、仕事や生活に支障が出て悩んでいる人も多いです。

不安症であることに気づかず日常生活を送っている人もいますが、明らかに行き過ぎた不安や恐怖を感じている場合は不安症の可能性が高いので、病院で診断してもらう必要があります。

HSPが不安症になる可能性

HSPは「繊細で敏感な気質」を持っており、その気質ゆえに心にさまざまな問題を抱える人が多いです。

HSPは他人の考えていることを読み取って共感することに長けているので、顔色をうかがって疲れを感じたり、自分の本音を心の中に隠してしまう人が多いのではないでしょうか。

そのようなことから、HSPは人間関係にストレスや不安を感じやすい傾向があります。

また、HSPの人はいろんな物事に対して敏感なので、他の人よりも恐怖や不安を感じやすいと言われています。

些細な言動について深く考え過ぎてしまったり、物事を悪い方向に想像してしまうことによって、不安症を誘発してしまう可能性があります。

不安症の種類

不安症は全般不安症、社交不安症、パニック症、限局性恐怖症などさまざまな種類があります。

「強い不安や恐怖を感じ、それによって生活に支障をきたしている」というのは共通していますが、不安症の種類によって異なる特徴を持っています。

以下でそれぞれの特徴についてご説明します。

・全般不安症

全般不安症(全般性不安障害)とは、日常の中で漠然とした不安を持ち続ける状態のことです。

尽きることのない不安によって次第に精神や身体に症状が現れ、日常生活を送ることが困難になります。

普通の人であれば不安を感じる対象はほとんど決まっていることが多いですが、全般不安症の人は不安の範囲が幅広く、理由もなく周囲の物事が不安対象になってしまい、本人も苦しみを抱えています。

「突然大災害や事件に巻き込まれるかもしれない」「大きな病気になったらどうしよう」「家族に危険が及んだらどうしよう」と起こる可能性が低いことに関しても、不安を感じます。

不安をずっと持ち続けていることで精神的に負担がかかり、仕事や勉強が手につかないというような状況に見舞われる人もいます。

・社交不安症

社交不安症は特定の人に対して不安を感じるわけではなく、「周囲から変に思われたらどうしよう」「悪く思われていないか気になる」といった不安から、症状が発症します。

スピーチ恐怖や電話恐怖、会食恐怖、視線恐怖などがあり、通常の人が感じる恐怖のレベルを超えているため、その場面に行くことを考えるだけで体調を崩してしまいます。

また、身体に現れる症状としては、赤面や発汗、手や声の震え、腹痛や下痢などが起こります。

会議など大勢の前で発表する場では誰もが緊張するかと思いますが、通常の人であれば何度かその場面を経験することで慣れていく人が多いのではないでしょうか。

しかし、社交不安症の人は無理に慣れようとすると、かえって症状が悪化する可能性があります。

赤面や震えなどが起こり恥ずかしい思いをすることで、そのシチュエーションを避けるようになり、日常生活に影響が出てしまうことがあります。

・パニック症

パニック症(パニック障害)は、突然激しい不安や恐怖に駆られてパニック発作を起こし、「このまま死んでしまうかもしれない」という感覚に陥る病気です。

不安や恐怖を自分でコントロールすることは難しく、「またパニック発作を起こしたらどうしよう」と考え、外出や特定の場所を避けるようになります。

逃げ場がない場所や頼れる人がいない状況で起こることが多く、そのような場所を避けるために活動範囲が制約されてしまうことも少なくありません。

パニック症を発症している人はうつ病を併発する可能性もあるので、早めに心療内科や精神科で診てもらうことが大切です。

・限局性恐怖症

限局性恐怖症とは不安症の一種で、「特定の状況や環境、対象物に対して強い恐怖や不安を感じる」という特徴があります。

特定の状況を避けるようになるため活動範囲が限定されてしまい、日常生活に支障がでる場合があります。

よく見られる限局性恐怖症は、高所恐怖症、雷鳴恐怖症、動物恐怖症などがあり、2つ以上の恐怖症を抱えているパターンが多く見られます。

強い恐怖感からパニック発作を起こすこともあり、パニック症やうつ病を発症してしまう可能性も高いです。

特定の状況や対象物は人によって個人差があり、閉所や暗闇、飛行機や船、エレベーターなどの空間に対して恐怖症を発症する人もいます。

不安症は自力で治せる?

不安症を自力で治したいと思う方もいるかもしれません。

しかし、不安症の種類によっては自力で治すことが困難な場合が多く、自分だけでどうにかしようと無理をすれば、症状が悪化してしまう可能性があります。

症状が長期化して日常生活に支障が出ているときは、早めに病院を受診した方が良いでしょう。

ただし、生活習慣や食生活の改善によって、不安症の症状が緩和される可能性はあります。

たとえば、アルコールやカフェインの摂りすぎは不安を誘発させることがあるので、それらの摂取量を減らすことにより不安やパニック症を軽減させることが可能です。

また、規則正しい生活を送ることも不安の改善に効果的です。

睡眠不足や運動不足はストレスや身体の不調に繋がり、不安症を引き起こしてしまう恐れがあるので、なるべく睡眠をしっかり取って適度な運動を心がけましょう。

不安症の治療法

恐怖や不安は誰にでもある自然な感情です。

しかし、本人にとって精神的・肉体的に負担が大きい場合や、仕事などに影響が出ている場合は、早期の治療をおこなうことが望ましいでしょう。

不安症の治療には、認知行動療法や薬物療法などが用いられます。

認知行動療法

認知行動療法では患者さんの物事の捉え方(認知)を明らかにして、特定の状況と感情がどのように行動に結びついているのかを調べていきます。

そして、その考え方や行動を少しずつ正常に修正していく治療法です。

認知と行動は密接に関わり合っているので、考え方を変えることで行動にも変化が現れ、また逆のパターンとして行動を変えることで考え方が変わることもあります。

また、パニック症や限局性恐怖症の治療においては、曝露療法がおこなわれることがあります。

曝露療法はパニックになってしまう場面に患者さん本人を向き合わせて、不安に陥る状況下でも安心していられるようになるまで繰り返しおこなう治療法です。

不安を感じる場面に徐々に慣れていくために、不安レベルの少ないものから慣れさせていきます。

医師や精神療法家などの適切な指導のもと治療を受けることで、十分な効果が期待できるでしょう。

認知行動療法や精神療法は薬物と違って効果が現れるまで、とても時間がかかる治療法です。

しかし、物事の捉え方を変えていくことで不安症の再発防止にも繋がるので、地道に続けていくことが大切です。

薬物療法

薬物療法では不安症の種類にもよりますが、主にベンゾジアゼピン系の抗不安薬、SSRIなどの抗うつ薬などが使用されます。

不安症の人は、「パニックになったらどうしよう」「周りから変な風に見られてるかもしれない」と常に不安を感じながら日常生活を送っています。

そのため外出すること自体に恐怖を抱き、引きこもりがちになってしまうケースがとても多く見受けられます。

不安が強いときに薬を持っていれば、「薬があるから大丈夫」と心の支えになってくれるはずです。

しかし、薬物だけに頼るのではなく、薬物療法と精神療法を掛け合わせて治療していくことが大切になります。

なぜなら不安症を改善していくには、どこかでその場面に向き合うための行動が必要になるからです。

精神療法を進めながら、医師の適切な指導のもと薬を服用するようにしましょう。

まとめ

今回は、HSPが不安症になる可能性、不安症の種類や治療法について紹介しました。

HSPの人は、感受性が豊かで他人の些細な言動からもさまざまな情報を読み取ろうとする特徴があります。

「他人からこう思われてるかも」「嫌な気分にさせてしまったかもしれない」など、一度悪い想像をしてしまうと、なかなか気持ちの切り替えが上手くいかないこともあるのではないでしょうか。

不安や恐怖などの感情が強く、日常生活に支障をきたしているのなら、無理をせずに専門の医療機関に相談しましょう。

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精神科医/メンタルドクター

HSP気質とメンタルヘルスについて発信している精神科医。精神科外来で診療を行い大学で研究も行っている。instagramのフォロワー7万人以上。著書:頑張り屋さんのための心が晴れる本(KADOKAWA)、新刊:精神科医が教える笑顔うつから抜け出す方法(2023年8月16日発売)。私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。あなたはこんな悩みをお持ちではありませんか?「他人の顔色ばかりみてクタクタ」「自分の意思で生きられない」「いつも後悔ばかりでグルグル一人反省会」こんな他人軸の悩みでクタクタなあなたは、上記の私の名前をクリックして公式ブログから自分軸を目指しましょう♪

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