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『人間関係リセット症候群』のパターンは?リセットしたくなる原因とは

精神科医しょう精神科医/メンタルドクター

こんにちは、精神科医しょうです。

「親しい友人と関係を衝動的に断ち切りたくなる」「SNSで繋がっている人のフォローを全部外したくなる」「SNSや連絡先を全部消したい衝動に駆られる」などといった心の状態に陥ったことはありませんか?

人間関係で嫌なことがあると、話し合いや相談をせずに関係をすっぱり切ってしまうということは、誰にでも一度くらいはあるかもしれません。

しかし、関係を次から次へと切っていては、いずれ「信頼できる人がいない」「友達がいない」という悪循環にはまってしまう恐れがあります。

今回は人間関係リセット症候群の原因、人間関係リセット症候群の人がよくとる行動やなりやすい人の性格について紹介します。

人間関係リセット症候群とは?

人間関係リセット症候群とは、今まで築いてきた人間関係をある出来事をきっかけとして実際にリセットしてしまう人のことです。

正式な医学用語や病気の名前ではなく、心理状態を表す言葉なので人間関係リセット症候群という診断を病院で受けることはありません。

医学用語ではないので判断する明確な基準は存在しませんが、人間関係リセット症候群の人がよくとる行動パターンや心理状態は似通っていることが多いです。

代表的な行動パターンとしては、「SNSの自分のアカウントを突然削除する」「連絡先をすべて消す」「突然音信不通になる」「転職を繰り返す」など、自分の身の回りに関係する物事に対してすべてなかったことにするのが特徴です。

人間関係リセット症候群の原因は?

「他者と折り合いをつけて関係性を保つ力」と「悩みや迷いに向き合って葛藤する力」が乏しいと、人間関係リセット症候群が起こりやすくなります。

私たちは普段、さまざまな人間関係の中で生きています。

その中で楽しいことや良いこともあれば、ときには意見が合わずぶつかることもあるでしょう。

そんなとき、大抵は話し合いや相談をしてお互いの妥協点を見つけ、解決に向けて努力しようとします。

しかし、そのような力が欠けているとちょっとでも嫌なことがあったときに関係性ごとリセットしたくなり、また一度リセットすると「簡単に関係をなかったことにできるんだ」と思い込んでリセットすることが癖になってしまうこともあります。

また、上記のような原因以外にも、人間関係に疲れて衝動的にリセットしてしまうケースがあります。

今の時代は、インターネット上で簡単に繋がることができる反面、関係を切ることもボタン一つでできてしまいます。

気軽に誰とでも繋がれる時代だからこそ、「常に人間関係で繋がっている状態」に疲弊して、ある日突然人間関係を断ち切ってしまうのです。

このように、人間関係リセット症候群は「心の状態」が強く影響していると考えられます。

人間関係リセット症候群の人がよくとる行動

音信不通になり連絡を返さなくなる

人間関係リセット症候群の人がよくとる行動として、「音信不通」「連絡を返さなくなる」というものがあります。

LINEや電話は通じるけれど、なかなか返事がこない、既読がつかない、繋がらないといった経験がある人もいるはずです。

何の前触れもなく突然音信不通になってしまうのも、人間関係リセット症候群の人がよく起こす行動のひとつです。

特に喧嘩をしたわけでもなく、突然連絡が返ってこなくなるので普通の人は「どうして連絡をくれないんだろう?」と不思議に思うかもしれません。

本人は人間関係に疲れてしまっている状態なので、たとえ仲の良い友人や身近な人が相手だとしても音信不通になることがあります。

連絡先やSNSを突然削除する

特定の人とやり取りしたくないのであればその人だけブロックしたり削除すればよいのですが、人間関係リセット症候群の人はすべての連絡先やSNSのアカウントを削除してしまうことがあります。

すべての繋がりを断絶して誰とも連絡を取れない状態にすることで、心を落ち着かせているのです。

削除した本人は平気でも、連絡が取れないことによって迷惑をかけてしまったり、場合によっては「一方的に縁を切られた」と相手に思われて傷つけてしまうこともあるかもしれません。

また、SNSではさまざまな人の発信を目にする機会があります。

そうした他者の意見や自分とは違った暮らしを目にすることでストレスや疲労が蓄積され、突然嫌になってSNSのアプリを削除するという行動をとることがあります。

引っ越しや転職を繰り返す

環境をすべて変えるために引っ越しや転職を繰り返してしまう人も、人間関係リセット症候群といえるでしょう。

職場での人間関係に嫌気がさして転職をしたものの、転職先でも似たような悩みを抱えたりトラブルが起きたりして、「気づけば転職ばかりしている……」ということが起きます。

また、とにかく現状をガラリと変えたくて自分を知っている人が誰もいない新天地へ引っ越す人もいます。

この場合、リセットすることで「周囲の環境が今より良くなるはず」「現状を打開して新しい自分としてスタートできるはず」という考えが根本にあります。

しかし多くの場合、新天地に引っ越ししても大きな変化は訪れず、同じような状況に陥ってしまうことがほとんどです。

なぜなら、リセットしたいという状況を招いてしまうのは本人の性格や思考が影響しているので、その部分を変えない限りまた同じような状況を繰り返してしまうことになります。

人間関係リセット症候群になりやすい人は?

人付き合いに疲れやすく、ひとり行動が好き

もともと人付き合いが好きではなく、集団よりもマイペースでいられるひとり行動が好きという性格の人がいます。

他人と関わる時間を持つと疲れてしまい、ひとりの時間を求めるようになります。

話題を合わせたり気を使ったりすることに疲れ、ある日突然関係をすべて断ち切りたい衝動に駆られるのが特徴です。

このタイプの人は、他人と関わること自体を面倒だと思うようになり、ひとりでいるためにリセットを選ぶ可能性があります。

ネガティブで孤独を感じやすい

人付き合いに距離を感じたり孤独を感じやすい人は、人間関係リセット症候群になる可能性が高いでしょう。

人との関わりに疑問を感じて、「私たちは本当に友達なんだろうか?」「自分は必要とされているのだろうか?」という考えを持ちやすく、必要とされていないのなら自分から離れてしまおうと突然連絡を取ることをやめてしまいます。

また、ネガティブな思考を持っている人は、周りの些細な一言を重く受け止めてしまいやすく、いろいろ考えすぎてしまった結果、関わりを持つこと自体を敬遠するようになります。

悩みやストレスを溜め込みやすい人

悩みやストレスを自分ひとりで溜め込んでしまう人は、それが日々積み重なることで爆発して、ストレスの種を取り除くために突然すべての関係を断ち切ろうという考えになる可能性があります。

人に相談したりストレスをうまく発散できる人は、人間関係をリセットするところまで追い詰められることはあまりありません。

しかし、相談することが苦手だったり、うまくストレスや悩みを発散することができず自分の中にいろいろな感情を溜め込んでしまう人ほど、リセットしたいという気持ちになる傾向にあります。

まとめ

今回は、人間関係リセット症候群の人がよくとる行動パターンやなりやすい人の特徴について解説しました。

人間関係をリセットすることで一時的にはすっきりするかもしれません。

しかし、何度も繰り返してしまうと何かあるたびに「またリセットすればいい」という考えになって安易に関係性を断ち切るようになり、深い人間関係を構築することが難しくなります。

「人間関係をリセットする」という選択肢が常にあることによって、より良い人間関係を築くための努力をしなくなってしまうのです。

気付けば気軽に話せる友人がいなくなってしまったり、衝動的に連絡先を削除してしまったことにより大事な時に連絡できず困り果てるといったことがないように、今一度人間関係について考える機会を持つことが大切でしょう。

私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。

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精神科医/メンタルドクター

HSP気質とメンタルヘルスについて発信している精神科医。精神科外来で診療を行い大学で研究も行っている。instagramのフォロワー7万人以上。著書:頑張り屋さんのための心が晴れる本(KADOKAWA)、新刊:精神科医が教える笑顔うつから抜け出す方法(2023年8月16日発売)。私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。あなたはこんな悩みをお持ちではありませんか?「他人の顔色ばかりみてクタクタ」「自分の意思で生きられない」「いつも後悔ばかりでグルグル一人反省会」こんな他人軸の悩みでクタクタなあなたは、上記の私の名前をクリックして公式ブログから自分軸を目指しましょう♪

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