ADHDの「チェックリスト」強みや環境調整についても解説
こんにちは、精神科医しょうです。
うっかりミスが多い、片付けが苦手、時間を守るのが苦手…といった悩みを抱えている方は少なくないのではないでしょうか。
そのような悩みについて「わかっているのにできない」という歯がゆい思いを繰り返していたり、周囲との付き合いに困難を覚えたりすることがあるのであれば、もしかしたらADHDの特性が関係しているのかもしれません。
ADHDとは、不注意、多動性・衝動性の特性を中心とした発達障害で、症状は12歳以前に表れ家庭や職場、学校などのさまざまな場面で表れます。
10歳頃から症状は落ち着くとされていますが、短期間で消失するものではないため、成人になっても症状が持続することが多いと言われており、周囲から理解されず「生きづらさ」につながることがあります。
今回はそんな発達障害の一つである「ADHD」について解説したいと思います。
「ADHD」のチェックリスト
ADHDだけに限らず、他の発達障害も大人になってから気づくことがあります。
毎日の暮らしの中で「何か人と違う」「違和感がある」「こんなにもしんどいのはなぜだろう…」と感じてしまう人もいるかと思います。
まずは、自分の特性についてチェックしてみましょう。
・集中できず、気が散りやすい
・物を失くしやすい
・片付けや整理整頓が苦手
・約束を守らないことがある
・落ち着いて座っていられない
・順番待ちが苦手
・思いついたらすぐに発言してしまう
・時間管理が苦手
いかがでしょうか?
これらの特性が子どもの頃から続いているかも確認してみましょう。
もちろん、当てはまるからといってADHDだとは限りません。
上記の症状で日常生活に支障がある場合は、医療機関で相談することをオススメします。
「ADHD」の脳の状態とは?
ADHDの方は、集中力が続かない「注意欠陥」を主体とするタイプ、落ち着きがなくてじっとしていられない「多動性」を主体とするタイプ、他人の行動を邪魔したり、話を遮ったりする「衝動性」を主体とするタイプに分けられます。
また、複数のタイプが合わさった混合型のタイプも多いと言われています。
ADHDの方の脳の状態としては、神経伝達物質の一つであるドーパミンの受け皿となる受容体の機能の低下と、神経細胞が前頭葉の外側・下側部分で過剰に働き、神経が炎症を起こしていると最近の研究で分かってきましたが、ADHDの原因は現在のところ、明らかになっていません。
「遺伝的な要素」「化学物質」「脳への障害」などの関連が疑われていますが、解明はされていない状況です。
「ADHD」の治療方法は?
治療法についてまずは、日常生活で遭遇するトラブルを回避するため、医師や臨床心理士と環境調整を図っていくことになります。
それでも困難を感じる場合には、薬物療法が考慮されます。
どのような場面や時間帯につらさを感じるのかを医師と相談し、薬の選択を考えていくことになるかと思います。
薬を使って治療を進める場合も、引き続き環境調整は続けて取り組むことになります。
一人で悩むのではなく、相談できる窓口について情報を得ておくと安心して治療することができると思います。
大人の「ADHD」と職場環境
仕事でミスをしやすい、順序立てて取り組めない、衝動的な行動を抑えられないなどの症状があると、職業によっては業務に差し支えることが出てきます。
しかし、自由にアイデアを出すことが求められる職場であったりすると、ADHDの特性を持つ方の可能性が広がることもあります。
ひとくちにADHDと言っても特性の表れ方はさまざまで、得意なことやそうでないことも人によって変わります。
ただ、きっちりと業務をこなさなければならない環境や、ミスが許されない職場においては、つらい環境になってしまうかもしれません。
「ADHD」の強みとは?
ADHDの特性の一つとして相手の気持ちや立場を考えないで、思ったことをすぐに口に出してしまう衝動性があります。
深く考えずに発言したり、行動してしまうこと。一見欠点にも見えますが、見方によってはこれは長所とも言えるのではないでしょうか?
物事には深く考えすぎてしまい、結局行動できないよりも行動した方がはるかにマシな場合も多いものです。
スタートダッシュができる行動力、衝動性は欠点とも言えるし、長所なのです。
自分自身では欠点と思っていたことでも、他人から見れば羨ましいと思われていることも実はあるはず。
全てを欠点にしたりせずに、見方を変えてみるという思考も大切かもしれませんね!
まとめ
今回は「ADHD」の特性について解説をしました。
不注意や多動・衝動性といった症状は、健常な方にも見られるものなので、見極めは難しいところです。
一般的には多動などの症状が学校と家庭など、2つ以上の場所で見られる場合に診断されることがあります。
もし、自分や身内が該当するかもしれないと感じた場合には、勝手な判断はせず、医療機関を受診することも検討してみてください。
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