こんにちは、精神科医しょうです。

頑張っていたけれども失敗したり、対人関係で上手くいかなかったり、孤独感にさいなまれたりなど、日常には心が折れそうになることがあります。

上手くいかないことが起きると、頭の中には「もうダメだ」「上手くいくハズがない」とった思い込みが浮かんできます。

こうした考えは、無意識の内に浮かんでくるもので、専門的には「自動思考」と言います。

自動思考にとらわれてしまうと、目の前で起きている問題が、現実以上に大きく見えたり、悲観的なものに思えたりするため、前に進めなくなってしまうことがあります。

そのような時に、考え方を少し変えて現実に目を向けてみれば、気持ちがラクになることがあります。

メンタルが強い人は、自分の考え方のクセを知り、柔軟に視点を変えて物事を考えることが得意なのかもしれません。

今回はメンタルが強い人から学ぶ、「自動思考」について考えてみたいと思います。

「自動思考」にとらわれてしまうと…

私たちの気分や行動は自動思考によって左右されます。

つらさを感じている時には、物事を必要以上に悲観的に考えたり、過度に敏感になったりしてしまいます。

強い感情が湧いてきた時には、その感情を理解する手がかりとして、自動思考が存在しているといって良いでしょう。

では、自動思考にとらわれてしまうと、どのようなことで心が苦しくなるのでしょうか。

・思い込み、決めつけ

根拠が不十分なのに、自分の考えが正しいに違いないと決めつける考え方です。

自分に関心のあることは大きく解釈し、自分の考えや予想に合わない部分は小さく解釈するようになっていきます。

たとえば、仕事でミスをした時に「いつも失敗してばかりだ」と決めつけるなどが該当します。

・白黒思考

物事を全て白か黒か、良いか悪いかという極端な思考で割り切ろうとする考え方です。

たとえば、「完璧でなければ意味がない」と考えたりします。

・べき思考

「こうするべきだ」と極端に考える思考を示します。

少しミスをしただけでも「あのようにすべきではなかった」と悔やんだり、無理な期待を自分に課したりしてしまいます。

このように現実を無視して、自分の考えで心を縛ってしまうと苦しくなる一方です。

・自己批判

何であっても自分の責任と考えて、自分を責めてしまう考えです。

全て自分一人だけの責任として、自分を悪者にしてしまうので、とてもつらくなってしまいます。

・深読み

相手の気持ちを一方的に推測して、そうに違いないと決めつけてしまう考え方です。

たとえば、相手が不機嫌な顔をしているだけで、「私のことが嫌いなのだ」と決めつけてしまいます。

・先読み

始めから自分で悲観的な予測を立ててしまうことを示します。

そのために自分の行動を制限してしまい、予想通り失敗すると、否定的な予測をますます信じ込むようになるといった悪循環に陥ってしまいます。

自分の「考え方」を微調整するには？

その時々の考え方は、その時々の環境や体調によっても変化するものですが、心が折れた状態やうつになっている時には、大抵の場合、考え方が偏ってしまっていることがあります。

体調が悪い時の考え方は間違っているというわけではなく、うまく働かなかった時に、上手く乗り越えるための微調整をして、その時々の「考え方」に目を向けると良いでしょう。

・「もうダメだ」への対処

上手くいかないことが続くと「もうダメだ」と考えてしまいますが、何か根拠があるのでしょうか？

問題は「ダメだ」と決めつけてしまっていることです。

決めつけてしまうと、いかにもそれが当たっているように思えてきます。

そんなふうに考えてしまう自分に気がついたら、「これは自分で決めていることだ」というふうに考えてみましょう。

・「きっと良いことがあると信じてみる」

「自分には良いことなんて何も起きない」と思っている人もいるかもしれません。

しかし、そう考えてあきらめてしまうと、上手くいくことさえ上手くいかなくなります。

良いことを想像しても、実現できるか分からないと考える人もいるかもしれませんが、想像はあくまで想像です。

結果がどうなるのか分からないのであれば、どうせなら良い方を想像した方が心の力になります。

・落ち込んでいる自分を否定しない

心のクセで「自己批判」傾向の強すぎる人は、すべてが自分の責任のように感じて自分に落ち度があるからだと考えがちです。

「自分だけが悪かった」と自動思考にとらわれて、「自分はダメだ」と決めつけてしまうことになります。

そんなふうに考えてしまった時は、「根拠」をあげると原因が見えてくるため、どう解決したらい良いか、次の段階へ進めます。

また、何かつらい体験をして落ち込んでしまった時には、マイナスの面だけにとらわれがちになりますが、その体験のプラスの側面にも目を向けて考えるようにしてみましょう。

まとめ

今回は「自動思考」について、解説しました。

ふとした瞬間にネガティブなことを考えているという方も、多いのではないでしょうか。

折れない心、強いメンタルを作るための材料として、参考にしていただけたら嬉しいです。

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