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【飯田市・三穂】ルーヴル美術館別館も手がけたSANAA活動初期の建築が魅力的!

FUNE地域情報発信ライター(飯田市・豊丘村)

今回は、旧小笠原家書院と同じ敷地にある「小笠原資料館」をご紹介します。

資料館というと、その分野に興味がないと楽しめないイメージがあるかもしれませんが、小笠原資料館には建築物としての魅力もあるんです。そのうえ、同じ敷地内にある旧小笠原家書院も重要文化財に指定されており、貴重なものが一挙に見られる場所なので、一度訪れておいて損はありません!

ここでは以下の3つのテーマにまとめて小笠原資料館の見どころついてお伝えしていきます。

  • 小笠原資料館を建てたSANAAとは?
  • 小笠原資料館には何が展示されているの?
  • 徳川家からも一目置かれていたすごい一族・小笠原家と伊豆木小笠原家の関係

小笠原資料館を建てたSANAAとは?

平成11(1999)年に建築された小笠原資料館。この設計を担当したのがSANAAです。

SANAA(Sejima and Nishizawa and Associates)とは、建築家の妹島和世氏、西沢立衛氏のユニットのこと。流れるような曲線や、ガラスを多用した開放的なデザインを組み合わせ、周囲の世界や自然環境と繋がっているような建築物を数多く生み出しています。

小笠原資料館入り口
小笠原資料館入り口

・建築の最高栄誉プリツカ―賞を受賞しているSANAA

SANAAの代表的な建築物は、2004年に開館した金沢21世紀美術館、2012年に開館したルーヴル美術館の別館「ルーヴル・ランス (Le Louvre-Lens)」など。

2010年には建築界のノーベル賞とも呼ばれているプリツカ―賞を受賞しています。

・SANAAがはじめて公共施設を設計したのが小笠原資料館

このように、海外でもさまざまな活動を展開しているSANAAですが、そのきっかけはなんと小笠原資料館だったのだそうです! 小笠原資料館を設計したことが評判となり、活動の幅が広がっていったことを建築家の妹島和世氏が2016年の毎日新聞の記事で語っておられます。

2016年11月2日、建築家の妹島和世氏紫綬褒章を伝える毎日新聞の記事切り抜き
2016年11月2日、建築家の妹島和世氏紫綬褒章を伝える毎日新聞の記事切り抜き

・SANAAの妹島和世氏は伊豆木小笠原家の末裔

毎日新聞の記事にもあるように、伊豆木小笠原家はSANAAの妹島和世氏のお母さまのご実家だったんだそう。おじいちゃんおばあちゃんが伊豆木小笠原家出身の方だったということですね。

飯田市に根付く伊豆木小笠原家の末裔には、すごい方が居らっしゃるんですね。

・SANAA設計の小笠原資料館を写真で紹介

小笠原資料館には何が展示されているの?

SANAAの妹島氏の源流である伊豆木小笠原家についての資料だけでなく、小笠原家全体にちなんだ資料も常設されています。また、三穂地区に詳しくなれるような企画展示スペースも設けられています。

徳川家からも一目置かれていたすごい一族・小笠原家と伊豆木小笠原家の関係

ここからは、清和天皇を起源とする甲斐(山梨県)源氏にルーツをもつ武家の名門・小笠原家と、そこから分派した飯田市に拠点を持つ伊豆木小笠原家の関りについて、資料館の展示を交えながら見ていきましょう。

・小笠原家に伝わる弓・馬・礼の三法「糾法的伝(きゅうほうてきでん)」

小笠原家は、鎌倉時代から現代まで「糾法的伝」と呼ばれる弓術馬術と武家礼法を伝えてきました。糾法とは、一子相伝のこと。身内の中でも一人の子どもにしか伝えないという厳しく守られた作法でした。

馬に乗って弓を射る武士のミニチュア
馬に乗って弓を射る武士のミニチュア

・糾法的伝を会得していた初代・伊豆木小笠原家の小笠原長巨

戦国時代の動乱のなかで、伊豆木小笠原家の初代となった小笠原長巨(ながなお)は、この「糾法的伝」を身に着けていたと言われています。

・小笠原長巨に糾法的伝を教えたのは小笠原秀政

本来一子相伝で伝わるはずの糾法的伝ですが、同じ一族のうち安土桃山時代~江戸時代初期に活躍した飯田城5万石、のちに松本城8万石の城主となった小笠原秀政から人柄を見込まれたのでしょう。小笠原長巨はその内容をすべて教わり、体得していたそうです。

・小笠原秀政の結婚式には小笠原長巨の妻が活躍

糾法的伝を会得していた小笠原長巨の妻もまた、小笠原流の作法を身につけた人として評判の高い人物でした。

小笠原秀政と福姫の婚儀の際、その当時わずか14歳だった福姫に礼儀作法の指導をしたのが小笠原長巨夫人だったのです。福姫というのは徳川信康(徳川家康の長男)と徳姫(織田信長の長女)の長女。つまり、徳川家康と織田信長の孫というすごいお姫様でした。

ミスのゆるされない格の高い姫の婚儀。その場で礼儀作法を教える大役を果たした小笠原長巨とその妻が、いかに徳川家や当時の人々から信頼されていたかがお分かりいただけるかと思います。

建築・歴史・兵法…好きな人にはたまらない要素満載の小笠原資料館

建築を楽しむもよし! 歴史を楽しむもよし! 思い思いの楽しみ方ができそうな小笠原資料館。同じ敷地にある旧小笠原家書院と一緒に訪れてみてはいかがでしょうか。
すでに公開した旧小笠原家書院の記事には、駐車場からの詳しい道のりも記載しているので、ぜひ合わせてチェックしてみてくださいね。

小笠原資料館
住所/飯田市伊豆木3942
電話番号/0265-27-4178
旧小笠原家書院と小笠原資料館の観覧料/高校生以上300円、小・中学生150円
営業時間/(3月1日~11月30日)9:00~17:00、(12月1日~翌年2月末日)9:00~16:00
定休日/月曜、祝祭日の翌日、年末年始
駐車場/あり
※公式ホームページはこちら
※ヤフー地図はこちら
※営業日時などにつきましては、訪問される前に最新情報をご確認されることをおすすめします。

最後までお読みいただきありがとうございます。今後も、飯田市・豊丘村の情報を月に10本程度のペースで発信していく予定です。ご興味のある方は、FUNEのプロフィールからフォローしていただけるとうれしいです。

地域情報発信ライター(飯田市・豊丘村)

飯田市と隣接する豊丘村のさらなる魅力を、さまざまなお店やスポットなどの取材を通してお伝えしていければと思っています。

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