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【もっと深くハワイを知りたい♪】日本生まれのスーパースター☆キカイダーって何者?

二重作昌満博士(文学)/PhD(literature)

皆様、はじめまして。

文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)と申します。

特撮を活用した観光「特撮ツーリズム」の博士論文を執筆し、大学より「博士号(文学)」を授与された後、国内数々の学術学会や国際会議にて日々活動させて頂いております。

突然ですが・・・

皆さんは、「日本人観光客に人気の海外旅行先は?」と聞かれると、

どの場所を思い浮かべますか?

アメリカ? 韓国? 台湾? …

たくさん思い浮かぶと思いますが、

やはり、ハワイを挙げる方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

オアフ島内「カイルア・ビーチパーク」
オアフ島内「カイルア・ビーチパーク」

青い海に広大な空、陸地に拡がる美しい山々、文化と自然が調和した自然はもちろん、語り継がれる数多の伝説・・・

他にも、ショッピングやスポーツといった様々なアクティビティがたくさん詰まっているのがハワイの魅力♪

当記事をご覧頂いている方の中には、「何度もハワイへ行ったことがある!」という方や、「今度の春休みにハワイへ行くのだけれども、他の方とは違うハワイの魅力を発見してみたい!」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、これまで観光ガイドブックには掲載されていなかった、違った角度からハワイの魅力をご紹介したいと思います。

今回のテーマは・・・キカイダー!!!

「唐突に何を言っているんだ」という皆様、ごもっともな反応だと思います(笑)。

キカイダー(写真右)とその兄、キカイダー01(写真左)。
キカイダー(写真右)とその兄、キカイダー01(写真左)。

☆キカイダーがハワイ州最大の博物館に!?スーパースター☆キカイダー

ところで皆様、キカイダーはご存じでしょうか?

現在も毎週日曜日の朝番組として定着している、仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズの原作者である漫画家・石ノ森章太郎先生が生み出したスーパーヒーローです。

『人造人間キカイダー』は、1972年7月から1973年5月まで、NET(現在のテレビ朝日)にて、30分番組で毎週放送された特撮ヒーロー番組です。世界征服を企む悪の組織「ダーク」が送り込むロボットと、人間を守るキカイダーが戦う内容で毎週展開されました。

このキカイダーが爆発的な人気を誇り、現在も暮らしの中で定着しているのが、なんと皆様がよく知るハワイ。そこで本記事では、これまでのハワイ特集記事とは少し違ったアプローチで、ハワイの魅力を掘り下げていきたいと思います♪

皆様もキカイダーを通じて、今まで知らなかったハワイに是非触れてみて下さいね♪

「キカイダー」がハワイへ輸入されたのは、日本での放送が終了した1973年のこと。当時、海外ドラマは吹き替えが主流であった中で、なんと日本で放送された本編に英語字幕をつける形で、日本語テレビ局のKIKU-TVで放送が開始されました。するとこれが大ヒット!日系人が多いというハワイの土壌も手伝ってか、大ブームを巻き起こしました。

KIKU-TV史上最高視聴率である24%を記録したほか、当時のショッピングセンターで開催されたサイン会には1万人が押しかけ、やむなく中止になった等、ハワイに爆発的に拡大していったこのキカイダーブームは、なんと特撮ヒーロー番組を観る年齢層ではない若者にも浸透していきます。ディスコにも「人造人間キカイダー」の主題歌「ゴーゴー・キカイダー」がかかって皆が踊り出す現象も発生しました。

「嘘でしょ?!」と思われた方、実は当時の爆発的ヒットは、ハワイ州内最大の博物館である「ビショップ・ミュージアム(Bishop Museum)」にて記録が残っていました。

ビショップ・ミュージアム(Bishop Museum)
ビショップ・ミュージアム(Bishop Museum)

パネル展示されたレコード(2014年12月25日筆者撮影)。
パネル展示されたレコード(2014年12月25日筆者撮影)。

なんとこの展示物の中に、キカイダーの姿がありました。2014年から2015年にかけて当ミュージアムに開催されたタイムポータル展示「125 Years through the Eyes of Bishop Museum」内のカテゴリー展示「125 YEARS OF ENTERTAINMENT」には、エルヴィス・プレスリーを筆頭とする伝説級のミュージシャンと並び、ハワイの音楽史のコーナーにて展示されている、1974年のキカイダーのレコードジャケットもパネル展示されていたのです。

外国で日本のスーパーヒーローのレコードが展示されること自体が珍しいことである上に、

ハワイではキカイダーも、立派な「スーパースター」の一員なのです。

住所:1525 Bernice St, Honolulu, HI 96817
メール:claudette@bishopmuseum.org
電話番号:808-847-3511
URL:https://www.bishopmuseum.org/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E/(外部リンク)

☆ハワイの政治とキカイダー!キカイダーはハワイ名誉市民?!

私達が暮らす日本という国では、キャラクターの名前を冠した記念日が、一般社団法人によっていくつか制定されています。例えば、株式会社円谷プロダクション制作の特撮ヒーロー番組『ウルトラマン(1966)』に登場する主人公・ウルトラマンがテレビに初めて姿を現したのが1966年7月10日であることから、一般社団法人日本記念日協会は、7月10日を「ウルトラマンの日」に制定しています。

「・・・この話の流れだと、もしかしてハワイにキカイダーの日なんてあるの?」と思った皆様、大正解です。実は、ハワイにはキカイダーの名前を冠した日が2件存在します。

ハワイでは、ハワイ州カエタノ知事により2002年より4月12日を「ジェネレーション・キカイダー・デイ」、マウイ市長により2007年から5月19日を「キカイダー・ブラザーズ・デイ」として制定されています。

「どうしてハワイで放送から30年も経っているのに記念日が制定されたの?」、これには2001年にKIKU-TVにて『人造人間キカイダー』が再放送されたことを契機に、ハワイ州内でブームが再燃したことが背景にあります。

これ以外にも、『人造人間キカイダー』及びその続編『キカイダー01』にて主人公を演じた俳優の方々である伴大介氏(キカイダー:ジロー役)と池田駿介氏(キカイダー01:イチロー役)がハワイにて名誉市民に認定されています。

「なぜヒーロー俳優が外国で名誉市民に?」、その最大の理由とされているのが、「キカイダー」を観て育った子ども達が道徳的に成長したことに対する評価であるとされています。TV番組の中でのキカイダーは、善と悪の狭間に葛藤するヒーローであり、「何が良いことで何が悪いことか」を子ども達に訴えた内容であったことが本作の特徴でした。つまり、ハワイは日本の特撮ヒーロー番組を教育的見地から評価していたのです。

☆新作DVDは入荷待ち?!現在までのキカイダーとハワイ

さて、ここまでハワイとキカイダーの関係についてお話ししました。「結局、キカイダーの大ヒットは昔の話じゃないか。」というコメントをお持ちの方もいらっしゃるかと存じます。実は今日まで、キカイダーの文化はハワイで確かに生き続けています。その事例をいくつかご紹介致しましょう。

まず、2014年にキカイダーは東映映画「キカイダー REBOOT」として日本国内でリメイク映画が公開された後、ハワイ州にも輸出されました。本作は現地での映画公開のほか、DVDも発売されました。私も、同年ハワイのアラモアナ・ショッピングセンターにて「キカイダー REBOOT」のDVDを買いに来た際、なんと入荷待ち・・・(泣)。入荷は写真のとおり、翌年の1月という状況でした。

DVD再入荷の告知(2014年12月31日筆者撮影)
DVD再入荷の告知(2014年12月31日筆者撮影)

さらにオアフ島内のハワイ日本文化センターでは、『人造人間キカイダー』の出演者である伴大介氏を招致した催事“KIKAIDA FOREVER!”(外部リンク)も開催される等、現地でのキカイダーイベントは衰えることを知りません。

住所:2454 South Beretania Street Honolulu, HI 96826
メール:info@jcch.com
電話番号: 808-945-7633
Web:https://www.jcch.com/(外部リンク)

いかがでしたか?皆様がご存知のハワイ情報とは、少し違ったアプローチでハワイについてお話してみました。

最後までご覧頂きまして、誠にありがとうございました。

ハワイ州を舞台とした新たな特集も予定しておりますので、今後もご期待頂けますと幸いです。

それではまた会う時まで・・・ALOHA♪

(参考文献)
・大場吾郎、「テレビ番組海外展開60年史 文化交流とコンテンツビジネスの狭間で」、人文書院
・山下大樹・嶌田美智子(ノトーリアス)、「特撮ヒーローの常識 70年代篇」、双葉社

博士(文学)/PhD(literature)

博士(文学)。日本の「特撮(特殊撮影)」作品を誘致資源とした観光「特撮ツーリズム」を提唱し、これまで包括的な研究を実施。国内の各学術学会や、海外を拠点とした国際会議へも精力的に参加。200を超える国内外の特撮・アニメ催事に参加してきた経験を生かし、国内学術会議や国際会議にて日本の特撮・アニメ作品を通じた観光研究を多数発表、数多くの賞を受賞する。国際会議の事務局メンバーのほか、講演、執筆、観光ツアーの企画等、多岐に渡り活動中。東海大学総合社会科学研究所・特任助教。

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