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【なぜ日本は世界一の怪獣大国になったのか?】ウルトラマンブレーザープレミア発表会体験レポート!

二重作昌満博士(文学)/PhD(literature)

みなさま、こんにちは!

文学博士の二重作昌満です。

特撮を活用した観光「特撮ツーリズム」の博士論文を執筆し、大学より「博士号(文学)」を授与された後、国内の学術学会や国際会議にて日々活動をさせて頂いております。

もうすぐ1年の折り返し地点が近づきつつありますが、いかがお過ごしでしょうか?

さて、今回は「なぜ日本は世界一の『怪獣大国』になったのか?」、そして去る6月12日に東京都内で開催されました「ウルトラマンブレーザー プレミア発表会」体験レポート、以上2つのテーマについて、お話ししていきたいと思います。

日本生まれの怪獣達。(写真左より)ガメラ、ガッパ、ゴジラ、大魔神、ギララ(筆者撮影)
日本生まれの怪獣達。(写真左より)ガメラ、ガッパ、ゴジラ、大魔神、ギララ(筆者撮影)

「唐突に核心的なテーマがきたね」と突っ込まれそうですが、そんな力むようなものではなく、素晴らしい大自然や文化に囲まれた日本という国の良さに注目しながら、日本が世界に類を見ない「怪獣大国」になった背景について考えていきたいなと思います。

ですので、みなさまも好きな怪獣を思い浮かべながら、ゆっくり記事をご覧頂きながら、「これについては私はこう思うな」と感じて頂けますと幸いです。

☆記事の最後には、先日6月12日に池袋サンシャインシティにて開催されましたイベント「ウルトラマンブレーザー プレミア発表会」の体験レポートも掲載しておりますので、お楽しみに♪

※本記事は、「私、怪獣のことをよく知らない」という方や、「ウルトラマンを観たことがない」という方々にもお楽しみ頂けますよう、概要的かつガイド的にお話をするよう心がけておりますので、お好きなものを片手に、ゆっくりご覧頂けますと幸いです。

【なぜ日本は「怪獣大国」になったのか?】日本の自然的・文化的特徴を概観してみよう♪

お話しに入る前に・・・突然ですが、皆様は「怪獣」と聞くと、何を思い浮かべますか?

例えば・・・恐竜のような姿のゴジラでしょうか?

ゴジラシリーズより『シン・ゴジラ(2016)』(筆者撮影)
ゴジラシリーズより『シン・ゴジラ(2016)』(筆者撮影)

それとも大きなワニガメのようなガメラ?

ガメラシリーズより『ガメラリバース(2023)』(写真左)、『ガメラ3 邪神覚醒(1999)』(右)のガメラ(筆者撮影)
ガメラシリーズより『ガメラリバース(2023)』(写真左)、『ガメラ3 邪神覚醒(1999)』(右)のガメラ(筆者撮影)

列挙した2体の怪獣のことを具体的によく知らなくても、大きな恐竜のような姿で口から火を噴いて街を壊す姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

ゴジラも、ガメラも、日本の映画会社から誕生し、それぞれ映画公開と共に大衆的な人気を獲得しました。そして両怪獣は現在に至るまで半世紀以上の歴史(※1)を堅持しながら、現在も新作が製作され続けています。

※1:ゴジラは1954年に公開された東宝製作の怪獣映画『ゴジラ』で初登場を飾り、ガメラは1965年に公開された大映製作の怪獣映画『大怪獣ガメラ』でデビューしました。

今年11月には『シン・ゴジラ(2016)』以来7年ぶりの国産ゴジラ映画の公開や、年内にはアニメ作品として『ガメラリバース』(外部リンク)がNETFLIXで配信予定です。

また、日本生まれの怪獣達の活躍の場は映画だけに留まりません。その活躍はテレビにも広がり、円谷プロ制作の特撮ヒーロー番組『ウルトラマン』シリーズを筆頭に、毎週テレビで新しい怪獣が登場し、放送当日におもちゃがすぐお店に並ぶ環境が整えられています(新しいおもちゃが出る度にお子様にねだられるので、戦々恐々とされているお父様・お母様もたくさんいらっしゃるかもしれません・・)。

歴代ウルトラマンシリーズに登場した怪獣達 その1(筆者撮影)
歴代ウルトラマンシリーズに登場した怪獣達 その1(筆者撮影)

歴代ウルトラマンシリーズに登場した怪獣達 その2(筆者撮影)
歴代ウルトラマンシリーズに登場した怪獣達 その2(筆者撮影)

『ウルトラマン』シリーズは1966年にテレビ放送が開始されて以降、55年以上の歴史を有しています。一時期放送をお休みしていた時期はあるものの(※2)、半世紀近く毎週放送を続けていたということは、「数千体以上の怪獣達が現在までテレビに現れた」といっても過言ではありません。

※2 ウルトラマンシリーズは1966年より現在まで放送が開始されていますが、度々テレビ放送を休止していた期間もあり、『ウルトラマンレオ(1974)』から『ザ☆ウルトラマン(1979)』までの約5年間、さらに『ウルトラマン80(1980)』から『ウルトラマンティガ(1996)』までの約16年間、国産のウルトラマンシリーズ放送は休止されていた等、事例は複数確認できます。

私もアメリカやニュージーランドといった他国に一時滞在したり、ハワイで毎年ロングステイをしたり等、異文化圏で生活することが度々あったのですが、上述したような「毎週新しい怪獣がテレビで出てくる」、「毎週新しい怪獣のおもちゃがお店に並ぶ」、「週末は着ぐるみの怪獣達のショーが開催されるので、家族あるいは個人で観にいく」なんてことは、外国ではありません。そもそも日本のように毎週アニメ・特撮番組が決まった時間に1話ずつ放送されるという放送環境ではないほか、アメリカは国土も広く、商品の入荷時期も州によってバラバラであるからです。

米国ハワイ州オアフ島クアロア牧場内、米国映画『GODZILLA(1998)』よりゴジラの足跡(筆者撮影)
米国ハワイ州オアフ島クアロア牧場内、米国映画『GODZILLA(1998)』よりゴジラの足跡(筆者撮影)

それだけ怪獣という存在が国民生活に浸透しているのが、私達が暮らしている日本なのです。

もはや「怪獣大国」といっても過言ではない日本ですが、なぜ日本は怪獣大国になったのでしょう?

そもそもなぜ、日本にばかり怪獣が現れるようになったのでしょうか?

「そりゃ日本でテレビや映画を作ってんだから、日本が舞台になるのは当然だろう?お前は何を言ってるんだ。」

・・・と言われたら何も言い返せませんが、私達が暮らす日本という国の「良さ」に注目しながら少しお話をしてみましょう。

ご存知の通り、日本は広大な海に囲まれた島国です。その国土の70%は山岳地帯であり、なんと3分の2が森林なのです(※森林面積は約25万平方km(=2500万ha))。さらに、日本の領海や排他的経済水域と延長大陸棚を含む面積は約465万平方kmあり、なんと世界第6位の大きさであり、日本の国土の約12倍の広さを誇ります。

つまり(砕けた表現をするならば)、海を含めると日本という国はメチャメチャでかい上、自虐的に「日本は小さい」なんて簡単には表現できない規模なのです。

また日本の自然は春夏秋冬から成る四季にも恵まれているほか、国立公園も全国で34カ所指定されており、合計面積は約219万ヘクタールで国土面積の5.8%を占めています。

また、世界的に見ても稀な特徴として、北海道の知床には流氷、沖縄の海には珊瑚礁といったように、約3000キロメートルに伸びる日本の国土には多種多様な自然の風景が集中しており、国土そのものがコンパクトであるため、たった1日で北海道の流氷や沖縄の珊瑚礁の両方が満喫可能であるという特徴もあります。実はこの特徴も、日本で暮らしていると気付きずらい、世界でも稀な我が国の特徴でもあります。

北海道 定山渓にて(2013年筆者撮影)
北海道 定山渓にて(2013年筆者撮影)

沖縄県 海洋博公園(2015年筆者撮影)
沖縄県 海洋博公園(2015年筆者撮影)

こうした豊かな自然は生物多様性にも大きく貢献したほか、風俗習慣や信仰、清少納言の「枕草子」を筆頭とする文学の世界にも多大な影響を与えました。

栃木県 日光東照宮にて(2020年筆者撮影)
栃木県 日光東照宮にて(2020年筆者撮影)

日光東照宮
住所:〒321-1431 栃木県日光市山内2301
TEL:0288-54-0560
公式サイト:https://www.toshogu.jp/(外部リンク)

例えば「八百万の神」。八百万とは非常に数の多いことを形容する言葉ですが、日本人は自然万物のあらゆるものに神を見出しており、太陽、月、星、風、雷のような神、山、川、岩、土地などや家のかまど、便所等の神、動物・木々にも神が宿るというように、多くの神々があまねく存在すると言われています。

こうした「八百万の神」という信仰をはじめ、日本の豊かな自然とそれに影響を受けた我が国の文化的な土壌は、怪獣達の誕生背景にも多大な影響を及ぼしました。

地震や山崩れといった自然災害のごとく、突如山岳などから姿を現した陸の怪獣達。

地底怪獣バラゴンと地底怪獣パゴス(筆者撮影)
地底怪獣バラゴンと地底怪獣パゴス(筆者撮影)

津波等の海洋災害や海難事故を発生させた海の怪獣達や、台風や豪雨を発生させた怪獣。

(写真左より)海底に身を潜め、タンカーを襲撃した油獣ペスターと海獣サメクジラ、伊豆半島沖より上陸した冷凍怪獣ラゴラス、東京湾の汚染で怪獣化した海獣ゲスラ(筆者撮影)
(写真左より)海底に身を潜め、タンカーを襲撃した油獣ペスターと海獣サメクジラ、伊豆半島沖より上陸した冷凍怪獣ラゴラス、東京湾の汚染で怪獣化した海獣ゲスラ(筆者撮影)

また「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といったように、古来より日本で伝承されてきた物語を背景に出現した怪獣達。

(写真左)「羽衣伝説」に登場する天女をモチーフとした天女超獣アプラサール、「鶴の恩返し」の鶴を彷彿とさせる宇宙鶴ローラン、童謡「赤い靴」の女の子をモチーフにしたうろこ怪獣メモール(筆者撮影)
(写真左)「羽衣伝説」に登場する天女をモチーフとした天女超獣アプラサール、「鶴の恩返し」の鶴を彷彿とさせる宇宙鶴ローラン、童謡「赤い靴」の女の子をモチーフにしたうろこ怪獣メモール(筆者撮影)

日本の国技である「相撲」や、箱根駅伝等でお馴染みの「マラソン」、さらには日本の稲作信仰を起点とする「餅つき」といった文化や信仰を背景に、人間達と触れ合った怪獣達。

(写真左より)「今昔物語集」の物語「月とうさぎ」より、うさぎをモチーフにした満月超獣ルナチクス、うす怪獣モチロン(筆者撮影)
(写真左より)「今昔物語集」の物語「月とうさぎ」より、うさぎをモチーフにした満月超獣ルナチクス、うす怪獣モチロン(筆者撮影)

上述した怪獣達はあくまでほんのわずかな事例に過ぎませんが、日本の自然的特徴や文化的特徴が、数多くの怪獣達を生み出した土壌となっていたことが伝わりましたら幸いです。

このように日本の豊かな自然と、それに影響を受けた我が国の文化的な土壌は、数千体の怪獣達を生み出すのに打ってつけな基盤であったと共に、多種多様な生物多様性もいわば「文化的サービス」(※3)の役割を果たし、怪獣映画やテレビ番組といった国民娯楽に大きく貢献してきたといえるのです。

※3「文化的サービス」:生態系が維持されることにより、人間が自然からのサービス(恩恵)を受けられるという考え方である「生態系サービス」の1つ。文化的サービスは、生態系を維持することにより、野外レクリエーション、音楽を聴く、俳句を詠むなどの娯楽が人間生活を豊かするというもの。

【2023年6月12日開催!】新番組『ウルトラマンブレーザー』プレミア発表会体験レポート!

さて、ここまで上述してきた日本生まれの怪獣達ですが、その活躍は現在も留まるところを知りません。去る2023年6月12日に池袋サンシャインシティ文化会館4Fの「サンシャイン劇場」にて、新番組『ウルトラマンブレーザー』プレミア発表会が開催されました。

『ウルトラマンブレーザー』番宣パネル(筆者撮影)
『ウルトラマンブレーザー』番宣パネル(筆者撮影)

ウルトラマンブレーザー』(外部リンク)とは、テレビ東京系にて2023年7月8日(土)より放送開始のウルトラマンシリーズ新番組。

なんと、私この度「宣伝隊員」(※4)という名目で当発表会に参加をさせて頂きました。

※4 動画配信サイト「TSUBURAYA IMAGINATION」(外部リンク)会員の中から抽選で選定。

当プレミア発表会は2部構成で、前半は「製作発表」、そして後半は「完成披露」で構成されていました。前半の「製作発表」の様子につきましては、株式会社円谷プロダクション公式サイトにて詳細に公開されておりますほか(外部リンク)、You Tubeでもアーカイブ発信が行なわれております(外部リンク)。「百聞は一見にしかず」なので、製作発表につきましては、是非上記リンクをご覧頂ければと思います。

今回レポートしますのは後半の「完成披露」。

この時間は、7月8日より放送の『ウルトラマンブレーザー』の先行上映会という形で、同月15日放送予定の『ウルトラマンブレーザー』第2話の本編映像が公開されました。

「どんな内容だった?おもしろかった?」

と聞かれますと・・・実は、来場した私達宣伝隊員全員に「ネタバレ情報」のお取り扱いについて共有させて頂いており、今回上映されました本作の詳細な感想につきましては、本作を楽しみにしているファンの皆様のため、またウルトラマンブレーザー製作委員会様との大切なお約束のため控えさせて頂きたく存じます。

しかしながら、「本編に触れない抽象的な感想ならば問題ない」とのことですので、私個人の感想や上映中の会場の雰囲気につきまして、箇条書きで明瞭にお話ししますと下記5つです!

①笑うところは皆でとことん笑う!

②格好良いところは、とことん格好良い!

③怪獣の圧倒的巨大感!これが観たかった!

④作品観賞後の余韻が半端なく、観賞後から自宅で寝付くまで興奮が止まらない!

⑤ここまで高品質な作品が毎週大きなテレビで観られる上、ネットで何度も無料視聴(期間限定)できるのかという期待感!

このように、かっこ良い場面、笑える場面、熱い場面等、本編の各場面のメリハリがはっきりしていて、高品質かつ充実度が非常に高い30分であったと感じております。

※「なんだ、ただのお前の感想じゃないか!」と批判されるのは重々承知の上ですが、ネタバレにかからない程度にお話ししますと、これが限界なんです。ごめんなさい!

上映終了後は、『ウルトラマンブレーザー』メインキャスト、監督、主題歌アーティストが登壇され、作品観賞後の宣伝隊員のみなさまへのご挨拶で、プレミア発表会は終演しました(メインキャスト、監督、主題歌アーティストのご挨拶の詳細につきましては、外部リンクの方をご覧頂ければと存じます)。

☆また本記事では、著作権や肖像権を考慮し、プレミア発表開催中に撮影した写真は掲載できませんでしたが、私のTwitterにて、発表会の様子を掲載しておりますので、ご覧頂ければと存じます。

世界的にも希有な怪獣大国である日本において、ウルトラマンブレーザーがどんな旋風を吹かせるのか、私も一ファンとしてこれからも応援して参ります!

最後までご覧頂きまして誠にありがとうございました。

(参考文献・URL)
TSUBURAYA IMAGINATION(外部リンク)
・飯倉晴武、「日本人のしきたり」、青春出版社
・環境省自然環境局国立公園課、「未来に引き継ぐ大自然 日本の国立公園」、環境省
・一般財団法人国土技術研究センター JICE、「国土を知る / 意外と知らない日本の国土 山や森林」:https://www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary07(外部リンク)
・一般財団法人国土技術研究センター JICE、「国土を知る / 意外と知らない日本の国土 海と日本」:https://www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary03(外部リンク)
・環境省、「国立公園一覧 」:https://www.env.go.jp/nature/nationalparks/list/(外部リンク)
・人・自然・社会 をつなぐ公益社団法人 日本環境教育フォーラム JEEF、「生物多様性読み聞かせ電子絵本」:https://www.jeef.or.jp/activities/e_book/seitaikei/(外部リンク)
・株式会社円谷プロダクション、「ウルトラマンブレーザー」:https://m-78.jp/videoworks/ultraman-blazar/(外部リンク)
・電撃ホビーウェブ、「新怪獣14体も発表された『ウルトラマンブレーザー』プレミア発表会レポート。先行上映会で第2話のみを公開する異例の事態に「理由は放送で1話を見てくれれば分かる」と田口清隆監督」:https://hobby.dengeki.com/event/1968640/(外部リンク)
・株式会社円谷プロダクション、「新番組『ウルトラマンブレーザー』プレミア発表会開催!ブレーザー・キャスト・主題歌アーティスト・新たな登場怪獣たちが大集合!」、https://m-78.jp/news/post-6767(外部リンク)
・ガメラリバース https://gamera-rebirth.com/(外部リンク)

この記事をご覧頂き、「海外での日本特撮やアニメ作品の展開に興味を持った」という皆様、私の過去の記事やTwitterにて、海外現地での様子や商品展開についてもお話をさせて頂いております。宜しければ、ご覧ください。

(Twitterアカウント)
Masamitsu Futaesaku Ph.D(Twitter)(外部リンク)
(Yahoo! Japanクリエイターズプログラム)
二重作昌満(CREATORSサイト)

博士(文学)/PhD(literature)

博士(文学)。日本の「特撮(特殊撮影)」作品を誘致資源とした観光「特撮ツーリズム」を提唱し、これまで包括的な研究を実施。国内の各学術学会や、海外を拠点とした国際会議へも精力的に参加。200を超える国内外の特撮・アニメ催事に参加してきた経験を生かし、国内学術会議や国際会議にて日本の特撮・アニメ作品を通じた観光研究を多数発表、数多くの賞を受賞する。国際会議の事務局メンバーのほか、講演、執筆、観光ツアーの企画等、多岐に渡り活動中。東海大学総合社会科学研究所・特任助教。

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