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【本当の戦いはここからだぜ!!】歴代ウルトラマン達が所属するウルトラ級の平和守護組織とは?

二重作昌満博士(文学)/PhD(literature)

みなさま、こんにちは!

文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。

特撮を活用した観光「特撮ツーリズム」の博士論文を執筆し、大学より「博士号(文学)」を授与された後、国内の学術学会や国際会議にて、日々活動をさせて頂いております。

12月に入り、いよいよ今年も残すところ1ヶ月を切りました。

みなさまいかがお過ごしでしょうか?

さて、今回のお話のテーマは「宇宙」です。

突然ですが、皆さまは「宇宙」と聞くと何を思い浮かべますか?

たくさんの星が瞬く銀河や惑星でしょうか?

大阪府大阪市にある大型テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」では、宇宙をテーマにしたアトラクション「スペースファンタジーライド」が常設されている(2019年筆者撮影)。
大阪府大阪市にある大型テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」では、宇宙をテーマにしたアトラクション「スペースファンタジーライド」が常設されている(2019年筆者撮影)。

はたまた、宇宙で活躍している宇宙飛行士さんや、宇宙へ飛び立つロケットや人工衛星、スペースシャトルでしょうか?

米国・ワシントンDC内にある「スミソニアン国立航空宇宙博物館」では、膨大な数の宇宙の遺物コレクションのほか、宇宙進出における技術的な成果の推移を学ぶことが出来る(2012年筆者撮影)。
米国・ワシントンDC内にある「スミソニアン国立航空宇宙博物館」では、膨大な数の宇宙の遺物コレクションのほか、宇宙進出における技術的な成果の推移を学ぶことが出来る(2012年筆者撮影)。

皆さまが今それぞれ頭の中で、たくさんの宇宙に対するイメージを自由に想像して頂けますと幸いです。正に、宇宙に対するイマジネーションは無限大なのです。

私達が暮らしている「地球(earth)」という星ですが、宇宙が138億年前のビックバンと呼ばれる大爆発で誕生したのに対し、地球の誕生は46億年前。地球人類はおよそ500万年前に表れたと言われています。

地球の約71.1%は広大な青い海で構成され、生物多様性溢れる緑の惑星である。海は生物を生み出す揺り籠となり、生物はやがて陸地へと進出、そして人類の誕生にまで至る(2017年米国ハワイ州にて筆者撮影)。
地球の約71.1%は広大な青い海で構成され、生物多様性溢れる緑の惑星である。海は生物を生み出す揺り籠となり、生物はやがて陸地へと進出、そして人類の誕生にまで至る(2017年米国ハワイ州にて筆者撮影)。

つまり、長い長い宇宙の歴史から見れば、私達人類の歴史はほんの幼年期に差し掛かったに過ぎません。

そんな幼い人類に対し、無限に拡がる宇宙はたくさんの恩恵をもたらしました。その1つが宇宙に対する「想像力」・・・。夜空に輝く星々を見上げることで、夜空の向こうに何があるのか、瞬く星々に人々(宇宙人)は住んでいるのか?等々・・・。

星々を繋げることで形成される星座の創造や、「人は死んだらお星様になる」といった類の伝承も、宇宙からもたらされた「想像力」の恩恵ともいえるでしょう。学問の世界では、人が住んでいる環境によって科学や芸術に影響を受けることを「文化的サービス」と呼ぶそうですが、夏の星座や冬の澄んだ空気の中で目視できる星々も、宇宙からの贈りものと呼べるのかもしれません。

宇宙や星の世界に心を馳せる名作として、現在も幅広い世代に愛されるサン=テグジュペリの『星の王子さま』(中央)。本作をはじめ、国内外の文学や漫画にて宇宙の世界がそれぞれ創作されてきた(筆者撮影)。
宇宙や星の世界に心を馳せる名作として、現在も幅広い世代に愛されるサン=テグジュペリの『星の王子さま』(中央)。本作をはじめ、国内外の文学や漫画にて宇宙の世界がそれぞれ創作されてきた(筆者撮影)。

この宇宙に対する人々の想像力は、私達が日常的に親しんでいる数々の映画やテレビ番組の世界において大いに発揮されてきました。

ジョージ・ルーカス製作の米国SF映画『STAR WARS(1977)』シリーズでは、主人公ルーク・スカイウォーカー(右)と父、ダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカー(左)の親子関係が描かれた。
ジョージ・ルーカス製作の米国SF映画『STAR WARS(1977)』シリーズでは、主人公ルーク・スカイウォーカー(右)と父、ダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカー(左)の親子関係が描かれた。

東映制作の特撮ヒーロー番組『宇宙刑事ギャバン(1982)』をはじめとする宇宙刑事シリーズでは、銀河連邦警察に所属するギャバン、シャリバン、シャイダーの3人の宇宙刑事の活躍が描かれた(筆者撮影)。
東映制作の特撮ヒーロー番組『宇宙刑事ギャバン(1982)』をはじめとする宇宙刑事シリーズでは、銀河連邦警察に所属するギャバン、シャリバン、シャイダーの3人の宇宙刑事の活躍が描かれた(筆者撮影)。

米国映画の『STAR WARS(1977)』シリーズや東映制作の『宇宙刑事(1982)』シリーズ等、いわゆる「SFモノ」がその代表例ですが、実はこの両シリーズ、宇宙を股にかけた「父子」関係に焦点を当てているという共通点があります。さらにこの両シリーズ以外にも、宇宙を舞台とした親子の絆や葛藤を描いた作品は数多存在しており、特に私達が暮らすアニメ・マンガ・特撮量産国の日本においては、その事例は枚挙に暇がありません。

東映アニメーション制作のプリキュアシリーズ第16作『スター☆トゥインクルプリキュア(2019)』は宇宙を舞台に、星座をモチーフとした5人のプリキュア達の活躍が描かれた(筆者撮影)。
東映アニメーション制作のプリキュアシリーズ第16作『スター☆トゥインクルプリキュア(2019)』は宇宙を舞台に、星座をモチーフとした5人のプリキュア達の活躍が描かれた(筆者撮影)。

そこで今回は、数ある日本のアニメ・特撮ヒーロー番組の中から、円谷プロ制作のウルトラマンシリーズに焦点を当てて宇宙を舞台に大いに活躍した、とあるウルトラマンの物語をご紹介したいと思います。

※本記事は「私、アニメや特撮にくわしくないわ」という方にもご覧頂けますよう、可能な限り概要的にお話をしておりますので、ゆっくり肩の力を抜いて、気軽にお楽しみ頂けたらと思います。

【本当の戦いはここからだぜ!】ダイナミックのダイナ!ファインプレーの新たなる光、ウルトラマンダイナとは何者か?

はじめにご紹介するのは、円谷プロ制作の特撮ヒーロー番組『ウルトラマンダイナ(1997)』に登場するダイナミックのヒーロー、ウルトラマンダイナについて概説したいと思います。彼の紹介の前に、少しだけウルトラマンシリーズについて解説をさせてください。

ウルトラマンシリーズは、株式会社円谷プロダクション制作の特撮ヒーロー番組『ウルトラマン(1966)』及び、特撮怪獣番組『ウルトラQ(1966)』を起点とするシリーズです。

『ウルトラマン(1966)』に登場した初代ウルトラマン。陸海空から現れる怪獣達を相手にウルトラマンは戦い、最後は必殺光線・スペシウム光線で退治する。しかし時には罪のない怪獣をいたわる優しさもみせた。
『ウルトラマン(1966)』に登場した初代ウルトラマン。陸海空から現れる怪獣達を相手にウルトラマンは戦い、最後は必殺光線・スペシウム光線で退治する。しかし時には罪のない怪獣をいたわる優しさもみせた。

1966年に『ウルトラマン』が放送され、M78星雲「光の国」からやって来た身長40mの銀色の宇宙人が巨大な怪獣と戦い、最後は必殺光線(スペシウム光線)で怪獣を退治するという物語はたちまち子ども達の心を掴み、最高視聴率42.8%、平均視聴率36.8%を記録する大人気番組となりました。

大衆的な人気を博した『ウルトラマン(1966)』の放映終了後も、その次回作である『ウルトラセブン(1967)』、『帰ってきたウルトラマン(1971)』等・・・シリーズが続いていき、元号が平成に変わった1996年に、V6の長野博さん主演で『ウルトラマンティガ』が放送されました。

『ウルトラマンティガ(1996)』は1996年から1997年にかけて全52話がテレビ放送された。本記事で紹介する『ウルトラマンダイナ(1997)』はその7年後の物語(筆者撮影)。
『ウルトラマンティガ(1996)』は1996年から1997年にかけて全52話がテレビ放送された。本記事で紹介する『ウルトラマンダイナ(1997)』はその7年後の物語(筆者撮影)。

『ウルトラマンティガ(1996)』は、怪獣の出現や宇宙人の襲来等、地球を襲う未曾有の危機に対し、三千万年の眠りについていた光の巨人・ウルトラマンティガがピラミッド(超古代遺跡)から目覚め、地球の危機に立ち向かうという物語が描かれ、最終回ではウルトラマンティガは最後の敵である邪神を打ち破り、主人公のダイゴ(演・長野博)はティガへの変身能力を失ってしまったのでした。

『ウルトラマンダイナ(1997)』は1997年から1998年にかけて全51話がテレビ放送された。本作放送期間中に映画1作品も公開されている(写真はバンダイビジュアルより発売中のBlu-rayBOX)。
『ウルトラマンダイナ(1997)』は1997年から1998年にかけて全51話がテレビ放送された。本作放送期間中に映画1作品も公開されている(写真はバンダイビジュアルより発売中のBlu-rayBOX)。

『ウルトラマンダイナ(1997)』はそんな『ウルトラマンティガ(1996)』から7年後の世界を描いた物語。人類が活動の場を宇宙へと広げた宇宙開拓時代(ネオフロンティア時代)を舞台に、人々を脅かす宇宙生命体や怪獣達を相手に、新たなる光の巨人「ウルトラマンダイナ」が地球を守る物語。

ウルトラマンティガ(左)の後を継ぎ、地球の守りについた新たなる光の巨人・ウルトラマンダイナ(右)。「ダイナミックのダイナ、ダイナマイトのダイナ、大好きなダイナ」として人々から愛されるヒーローである。
ウルトラマンティガ(左)の後を継ぎ、地球の守りについた新たなる光の巨人・ウルトラマンダイナ(右)。「ダイナミックのダイナ、ダイナマイトのダイナ、大好きなダイナ」として人々から愛されるヒーローである。

主人公のウルトラマンダイナに変身するのは、特捜チーム「SUPER GUTS」に所属するアスカ・シン隊員(演・つるの剛士)。明るくお調子者な性格であるものの、いかなる苦境に陥っても「絶対に諦めない」鉄の意思を持った若者でした。彼は宇宙での訓練中に敵の襲撃に遭い、宇宙に放り出されたところ「謎の光」に遭遇し、ウルトラマンダイナとなる力を得ました。

ダイナミックヒーロー・ウルトラマンダイナ。写真中央は通常スタイルのフラッシュタイプ。力とスピードのバランスに長けており、時に初代ウルトラマンと同様の必殺技を駆使して戦うこともあった(筆者撮影)。
ダイナミックヒーロー・ウルトラマンダイナ。写真中央は通常スタイルのフラッシュタイプ。力とスピードのバランスに長けており、時に初代ウルトラマンと同様の必殺技を駆使して戦うこともあった(筆者撮影)。

ウルトラマンダイナはその名の通りダイナミックなヒーロー。3つの姿を使い分け、凶悪な怪獣や宇宙人達を相手に真っ向から立ち向かい、何度倒されても諦めずに立ち向かっていく不屈の精神で次々と悪を倒していきました。

ウルトラマンダイナは相手に応じ、3つの姿を使い分けるのが特徴。力技に長けた赤いストロングタイプ(左)、超能力技を駆使するミラクルタイプ(右)と、姿を変えて活躍する(筆者撮影)。
ウルトラマンダイナは相手に応じ、3つの姿を使い分けるのが特徴。力技に長けた赤いストロングタイプ(左)、超能力技を駆使するミラクルタイプ(右)と、姿を変えて活躍する(筆者撮影)。

そんな強いウルトラマンダイナですが、その活躍の基盤にあったのはアスカの父親(アスカ・カズマ)の存在でした。アスカの父親は宇宙を飛行する優秀なパイロットであり、宇宙での飛行実験中に突如現れた未知の光の中に消え、息子のシンが幼い時に行方不明となっていたのです。

しかしウルトラマンダイナとしての活躍の中で、不思議なことにアスカの父親が彼の目の前に現れることが度々ありました。その多くは、アスカが強大な力を持つウルトラマンであることに向き合い、葛藤の中にいた時でした。

ウルトラマンダイナに変身するアスカ・シンは基本明るい性格のひょうきん者であるが、時に自身の身の振り方に悩み、戦いにおいてその苦しみが反映されることも多かった。そんな彼を支えたのは、仲間達と父だった。
ウルトラマンダイナに変身するアスカ・シンは基本明るい性格のひょうきん者であるが、時に自身の身の振り方に悩み、戦いにおいてその苦しみが反映されることも多かった。そんな彼を支えたのは、仲間達と父だった。

アスカの父親は、ウルトラマンの力に思い上がり、職場である「SUPER GUTS」チームワークを乱したアスカの前に姿を現わしたほか、強敵相手に敗北を喫し孤独に苛まれたアスカの前に現れ「お前はひとりじゃない」と共に戦う仲間達の存在を示唆する等、彼を叱咤激励する存在として度々登場していたのです。

ウルトラマンダイナと強敵達との戦いが続く中、ついに物語は最終回へと突入します。太陽系を飲み込むスケールの巨大な怪物(グランスフィア)を相手に、アスカは「SUPER GUTS」のメンバーに自らの正体を明かし、宇宙を舞台とした共同作戦による最後の戦いに挑みます。

『ウルトラマンダイナ(1997)』全51話において共通の敵役として登場した宇宙球体スフィア。意思を持ち、地球人の宇宙進出を嫌う謎の存在であった。最終回でその親玉であるグランスフィアが登場した。
『ウルトラマンダイナ(1997)』全51話において共通の敵役として登場した宇宙球体スフィア。意思を持ち、地球人の宇宙進出を嫌う謎の存在であった。最終回でその親玉であるグランスフィアが登場した。

作戦は功を奏し、グランスフィアは滅びます。しかしウルトラマンダイナは敵を倒した反動で出現したブラックホールに吸い込まれて行方不明となってしまい、アスカが仲間達のもとに帰ってくることはありませんでした。

その一方、アスカが意識を取り戻すと彼は美しい光の中を飛行し、その目線の先に行方不明となった父が乗る機体を見ます。アスカがその機体と並走すると、操縦席の父・カズマはアスカと顔を合わせて微笑み、並び立った息子と父は光の中に消えていき、物語は完結します。

戦いを終えたアスカが意識を取り戻したのは美しい光の中。ダイナはそこで行方不明となっていた父・カズマと再会する(筆者撮影。写真は香港のウルトラマン催事で発売された限定品・ガッツイーグルαスペリオル)。
戦いを終えたアスカが意識を取り戻したのは美しい光の中。ダイナはそこで行方不明となっていた父・カズマと再会する(筆者撮影。写真は香港のウルトラマン催事で発売された限定品・ガッツイーグルαスペリオル)。

・・・つまり、主人公が生死不明のままで物語は幕を閉じてしまったのです。

(私事ですが、本作『ウルトラマンダイナ(1997)』をリアタイしていた時はまだ幼稚園児で、この最終回の視聴後に泣きじゃくった思い出があります。慣れ親しんできた強いヒーローが生死不明だったのがショックであったと共に、「大好きなアスカが戻ってこない」ことが受け入れられなかったのです。)

このように『ウルトラマンダイナ(1997)』は宇宙を舞台とした作品であると共に、主人公(アスカ・シン)と父(カズマ)との関係にも焦点が当てられた物語でした。

ここで疑問なのが、なぜ行方不明になっていたカズマが、息子であるシンの前に度々姿を現わしていたのかという点です。

「アスカが見た幻影だったのではないか?」

否定は出来ないと思います(視聴者側の捉え方にもよると思うので、解釈によってはこれも一理あるかと・・・)。しかしながら、実はその謎を解くヒントはウルトラマンダイナの存在そのものにありました。

過去から受け継がれた光であるウルトラマンティガに対し、ウルトラマンダイナは未来から受け継がれた光。アスカの父・カズマは未知の光と遭遇して最初にダイナとなった。その光は息子へと受け継がれていく・・・。
過去から受け継がれた光であるウルトラマンティガに対し、ウルトラマンダイナは未来から受け継がれた光。アスカの父・カズマは未知の光と遭遇して最初にダイナとなった。その光は息子へと受け継がれていく・・・。

アスカの父・カズマはアスカが幼い頃、実験中、未知の光の中へ姿を消しました。そしてアスカは大人になり、敵の襲撃で宇宙に放り出された後に「謎の光」に遭遇し、ウルトラマンダイナとなりました。

「カズマはアスカより先にウルトラマンとなり、宇宙の各地で怪獣と戦っていたのだ。宇宙空間を漂うアスカの元に現れ、同化したのだ。アスカの中にずっと父親の意識が宿っていた。ウルトラマンとして。」(小説『ウルトラマンダイナ 未来へのゼロドライブ』)

つまり、カズマは行方不明になった際にウルトラマンダイナとなり、息子の危機に駆けつけて一体化したことで、新たにダイナとなったシンの前に父の意識が現れていたのです。

『ウルトラマンティガ(1996)』、『ウルトラマンダイナ(1997)』は共に小説が発売され、未映像化のお話や登場人物の心情等が描かれた。特に小説版『ダイナ』は謎だったダイナの正体が明らかにされた。
『ウルトラマンティガ(1996)』、『ウルトラマンダイナ(1997)』は共に小説が発売され、未映像化のお話や登場人物の心情等が描かれた。特に小説版『ダイナ』は謎だったダイナの正体が明らかにされた。

父・カズマの意識を継承したアスカ・シン(ウルトラマンダイナ)は、『ウルトラマンダイナ(1997)』の物語の後も生存しており、宇宙を旅しながら、彼の後に現れた新たなウルトラマン達の危機に現れて共闘したほか、かつて自分が父からウルトラマンダイナの光を受け継いだように、今度は次の世代へとウルトラマンの光を継承していきました。

ネット配信作品『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA(2016)』では、ウルトラマンの力に悩むウルトラマンオーブに対し、彼を導く先輩ヒーローとしてダイナが登場した(筆者撮影)。
ネット配信作品『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA(2016)』では、ウルトラマンの力に悩むウルトラマンオーブに対し、彼を導く先輩ヒーローとしてダイナが登場した(筆者撮影)。

ウルトラマンダイナは地球以外の別の惑星・ラヴィー星に訪れ、そこで暮らす少女・ディナスに自らの光を託す。ダイナに憧れウルトラマンディナス(左)となった少女の光は、さらなる新たなウルトラマンへ継承された。
ウルトラマンダイナは地球以外の別の惑星・ラヴィー星に訪れ、そこで暮らす少女・ディナスに自らの光を託す。ダイナに憧れウルトラマンディナス(左)となった少女の光は、さらなる新たなウルトラマンへ継承された。

互いを思う親子の光の象徴であったウルトラマンダイナは、今日も宇宙を飛びつづけています。

【ブラックホールをなんとか防ぐ装置!?】宇宙で活躍するウルトラマン達と彼らを指揮する組織とは?

ここまで先述したように、ウルトラマンダイナは物語の最終回において行方不明となり、その後宇宙を旅しながら、後輩のウルトラマン達を援助する等、平和のために戦う遊撃隊的なヒーローとして活躍することになります。

「ウルトラマン=地球の平和を守る」というのが一般的な認識として強いですが、実際のところウルトラマンは宇宙各地で活躍しており、地球での活躍を終えたウルトラマンがその後、別の星へ派遣されることも珍しくはありません。

この背景には、ウルトラマン達の故郷であるM78星雲・光の国が「宇宙警備隊」と呼ばれる警察機構を結成しており、ウルトラマンやウルトラセブンといった歴代のウルトラマン達も当組織に所属していることが背景にあります。ダイナは当組織に所属こそしていませんが、有事の際は協力する関係にあります。

M78星雲・光の国のウルトラマン達によって構成される「宇宙警備隊」は、ウルトラの父(右)を大隊長に、歴代のウルトラマン達が所属する。父の命を受け、ルーキーウルトラマンが地球へ派遣されることもあった。
M78星雲・光の国のウルトラマン達によって構成される「宇宙警備隊」は、ウルトラの父(右)を大隊長に、歴代のウルトラマン達が所属する。父の命を受け、ルーキーウルトラマンが地球へ派遣されることもあった。

宇宙警備隊とは、3万年前にM78星雲・光の国で発生した侵略戦争(ウルトラ大戦争)を機に、全ウルトラマンの総意で誕生した平和守護組織。

宇宙警備隊初代隊長に任命されたのは、ウルトラマンケン。若き戦士だった彼はウルトラ大戦争を機に、後に妻となるマリーと出会い、やがて全てのウルトラマン達から父のように慕われる人物(ウルトラの父)となった。
宇宙警備隊初代隊長に任命されたのは、ウルトラマンケン。若き戦士だった彼はウルトラ大戦争を機に、後に妻となるマリーと出会い、やがて全てのウルトラマン達から父のように慕われる人物(ウルトラの父)となった。

「美しい平和な惑星を悪者から救う」という考え方、そして崇高な自己犠牲の精神のもとで編成されており、現在のウルトラの父(本名・ウルトラマンケン)を初代隊長に、100万人以上の隊員が参加して宇宙各地での治安維持に努めています(つまり、地球に来ているウルトラマン達もウルトラ級に一握りな面々しか来ていないということになります)。

ウルトラマンタロウ(中央)は、宇宙警備隊隊長・ウルトラの父(左)と銀十字軍隊長ウルトラの母(本名・ウルトラウーマンマリー)の息子である、ウルトラの御曹司。タロウは現在、宇宙警備隊の筆頭教官を務める。
ウルトラマンタロウ(中央)は、宇宙警備隊隊長・ウルトラの父(左)と銀十字軍隊長ウルトラの母(本名・ウルトラウーマンマリー)の息子である、ウルトラの御曹司。タロウは現在、宇宙警備隊の筆頭教官を務める。

この「宇宙警備隊」には様々なウルトラマン達が在籍しており、選りすぐりのエリート部隊のほか、ウルトラマン以外のヒーロー達と混成チームを結成する者、さらには宇宙警備隊への入隊を目指すために訓練に励む小学生のウルトラマンも存在します。

『ウルトラマンネオス(2000)』に登場したウルトラマンネオス(写真前方)は、宇宙警備隊の中でエリート戦士が集う部隊「勇士司令部」より派遣されたウルトラ超戦士(筆者撮影)。
『ウルトラマンネオス(2000)』に登場したウルトラマンネオス(写真前方)は、宇宙警備隊の中でエリート戦士が集う部隊「勇士司令部」より派遣されたウルトラ超戦士(筆者撮影)。

2009年に初登場したウルトラセブンの息子・ウルトラマンゼロは、宇宙の旅の最中に円谷プロの歴代ヒーローと酷似した姿を持つ4人の仲間達と出会い、ヒーローチーム「ウルティメイトフォースゼロ」を結成した。
2009年に初登場したウルトラセブンの息子・ウルトラマンゼロは、宇宙の旅の最中に円谷プロの歴代ヒーローと酷似した姿を持つ4人の仲間達と出会い、ヒーローチーム「ウルティメイトフォースゼロ」を結成した。

ウルトラマンボーイ(左)はウルトラマン達の故郷・光の国の小学生。子どもである故にその能力は未知数であるが、みんなを元気にする光線(ピカット光線)を放つピカットタイプ(右)へと変身できる。
ウルトラマンボーイ(左)はウルトラマン達の故郷・光の国の小学生。子どもである故にその能力は未知数であるが、みんなを元気にする光線(ピカット光線)を放つピカットタイプ(右)へと変身できる。

※ウルトラマンの寿命はウルトラ級に長く、初代ウルトラマンは2万歳、ウルトラセブンは1万7千歳、ウルトラマン80は8000歳と細かく設定されており、小学生のウルトラマンボーイは2000歳で小学3年生くらい。これに対してウルトラの父は16万歳、ウルトラの母は14万歳(このあたりでやっとデーモン閣下の年齢を超える)と、驚くほどに寿命が長いのです。

そんな彼らも宇宙の危機が起これば出動しますが、地球を含めた太陽系に飛ぶウルトラマンもいれば、アンドロメダ星雲を舞台に活躍するウルトラマンもいたりとその活動範囲は多種多様。

宇宙警備隊・アンドロメダ星雲支部の隊長「メロス」(左)は、漫画作品出身のウルトラマン(故に体色がはっきりしておりません)。通称「ブラックホールをなんとか防ぐ装置」のついた鎧(左)を着用して戦う。
宇宙警備隊・アンドロメダ星雲支部の隊長「メロス」(左)は、漫画作品出身のウルトラマン(故に体色がはっきりしておりません)。通称「ブラックホールをなんとか防ぐ装置」のついた鎧(左)を着用して戦う。

時には地球に派遣されることが決まっていたにも関わらず、自分が担当する地域で怪事件が発生したために地球行きを別のウルトラマンに譲らなければならない事態まで発生したこともありました。

宇宙警備隊の一部隊「宇宙保安庁」に所属するウルトラセブン21が本来地球へ派遣されるはずだったが、怪事件発生のためその任を盟友であるウルトラマンネオスへと託す。しかし21は時にネオスの窮地へ駆けつけた。
宇宙警備隊の一部隊「宇宙保安庁」に所属するウルトラセブン21が本来地球へ派遣されるはずだったが、怪事件発生のためその任を盟友であるウルトラマンネオスへと託す。しかし21は時にネオスの窮地へ駆けつけた。

私達が暮らす地球は、たくさんの怪獣や宇宙人に狙われる事件多発区域。近年のウルトラマンシリーズでは、地球人の防衛力も飛躍的に強化され、人間が怪獣を倒す展開も珍しくはありませんが、ウルトラマンに追いつくのはまだまだ先なのかも知れません。

現在のウルトラマンシリーズにおける地球人の科学力は極めて優秀。ウルトラセブンの仲間怪獣のウインダム(中央)をモチーフに強化再現した個体(左)や、炎打撃技に長けたロボット(右)まで創造してしまった。
現在のウルトラマンシリーズにおける地球人の科学力は極めて優秀。ウルトラセブンの仲間怪獣のウインダム(中央)をモチーフに強化再現した個体(左)や、炎打撃技に長けたロボット(右)まで創造してしまった。

いかがでしたか?今回は「宇宙」をテーマに、宇宙へと旅立ったウルトラマンダイナの活躍と、ウルトラマン達を総括する宇宙警備隊についてご紹介しました。

写真のような小さな人形ひとつでも、壮大な物語を空想できるのがウルトラマンシリーズの面白さ。心を自由に遊ばせて、皆さんそれぞれの夢を描いてみてはいかがでしょうか?(写真はザ☆ウルトラマン関連商品)
写真のような小さな人形ひとつでも、壮大な物語を空想できるのがウルトラマンシリーズの面白さ。心を自由に遊ばせて、皆さんそれぞれの夢を描いてみてはいかがでしょうか?(写真はザ☆ウルトラマン関連商品)

数あるウルトラマンシリーズの良いところをひとつ挙げるならば、宇宙を舞台に活躍するスーパーヒーローであるため、自分の知らない宇宙のどこかで今も戦っているのかも知れない・・といった自由な空想ができることだと思います。ウルトラマンシリーズは「何でもあり!」と自由な世界なので、自由に好きなウルトラマンや好きな怪獣達の物語を頭の中で描くことが出来る・・・そこも55年以上の歴史を紡いできたウルトラマンシリーズの強み、魅力点なのかもしれません。

最後までご覧頂きまして誠にありがとうございました。

(参考文献)
・小野浩一郎・岩畠寿明(エープロダクション)、『講談社シリーズMOOK ウルトラ特撮PERFECT vol.22 ウルトラマンダイナ』、講談社
・長谷川圭一・谷崎あきら、『ウルトラマンダイナ 未来へのゼロドライブ』、早川書房
・中村公紀、『小学館スペシャル4月号増刊 スーパーてれびくん×ウルトラマンサーガ サーガまるごと決定本!!』、小学館
・繁原稔弘、『ウルトラヒーロー必殺技スーパーガイド 1966-2014』、メディアックス
・鈴木康成・後藤隆行、『CIRCUS 別冊 語れ!ウルトラマン【永久保存版】』、KKベストセラーズ

博士(文学)/PhD(literature)

博士(文学)。日本の「特撮(特殊撮影)」作品を誘致資源とした観光「特撮ツーリズム」を提唱し、これまで包括的な研究を実施。国内の各学術学会や、海外を拠点とした国際会議へも精力的に参加。200を超える国内外の特撮・アニメ催事に参加してきた経験を生かし、国内学術会議や国際会議にて日本の特撮・アニメ作品を通じた観光研究を多数発表、数多くの賞を受賞する。国際会議の事務局メンバーのほか、講演、執筆、観光ツアーの企画等、多岐に渡り活動中。東海大学総合社会科学研究所・特任助教。

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