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【ハワイで愛される日本のアニメ・特撮の今とは?】あなたの大好きに会える!キャラクター大国ハワイの魅力

二重作昌満博士(文学)/PhD(literature)

みなさま、こんにちは!

文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。

早いもので3月に入りましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

さて、今回のテーマは「海外進出」です。

グローバル戦略を筆頭に、よく企業プレゼンテーションやネット報道等で目にするこの「海外進出」という言葉ですが、その形は実に様々。

例えば、日本の「キャラクター」。海外における日本のマンガやアニメ、特撮作品の人気が叫ばれて久しいですが、これらの作品に登場するキャラクターグッズも、海外では日本でも販売されていた物がお店に並んでいたり、現地向けに新しい商品がお店で販売されている光景も、今では珍しくはありません。

ハワイ州オアフ島内「アウラニ・ディズニー・リゾート」から徒歩約5分「アイランド・カントリー・マーケット」(ABCストア系列店)では、ハワイ限定のドラえもんグッズが購入可能(2024年筆者撮影)
ハワイ州オアフ島内「アウラニ・ディズニー・リゾート」から徒歩約5分「アイランド・カントリー・マーケット」(ABCストア系列店)では、ハワイ限定のドラえもんグッズが購入可能(2024年筆者撮影)

ハワイでは日本のカプセルトイをはじめ、「S.H.Figuarts」等のフィギュアも多数販売されている。現在もアラモアナセンターの書店等で、その様子を確認することが可能(写真は2019年白木屋にて撮影)
ハワイでは日本のカプセルトイをはじめ、「S.H.Figuarts」等のフィギュアも多数販売されている。現在もアラモアナセンターの書店等で、その様子を確認することが可能(写真は2019年白木屋にて撮影)

異国情緒溢れる国を訪れた結果、自分が幼少期から馴染んできたキャラクターが現地に浸透している様子を見ると実に不思議な感覚ですが・・・。

これらキャラクターの海外進出で面白い点は、単に日本でお馴染みのキャラクターを現地に持ち込むだけで無く、現地の風俗習慣に溶け込めるようなアレンジ(いわゆる「ローカライズ」)をされた上で、地元で存在感を発揮していることだと思います。

2014年に日本で一大ブームを巻き起こした人気アニメ番組『妖怪ウォッチ』は、2015年にハワイ州観光局とコラボレーションし、本作に登場するジバニャンがハワイ州観光局のキッズ親善大使に就任した。
2014年に日本で一大ブームを巻き起こした人気アニメ番組『妖怪ウォッチ』は、2015年にハワイ州観光局とコラボレーションし、本作に登場するジバニャンがハワイ州観光局のキッズ親善大使に就任した。

私達日本人にとって大人気観光地である米国ハワイ州では、現地のコンビニ(ABCストア)で『ポケットモンスター』や『鬼滅の刃』の関連商品が販売されているほか、空港内(ダニエル・K・イノウエ国際空港)の本屋さんや、ターゲット等のスーパーマーケットでも『SPY×FAMILY』のコミックスやフィギュアの購入が可能です。

ハワイ州内でお馴染みのコンビニ「ABCストア」では、ディズニーキャラクターの他に『鬼滅の刃』や『ワンピース』といった人気マンガの玩具も陳列され、気軽に購入が可能(2024年筆者撮影)。
ハワイ州内でお馴染みのコンビニ「ABCストア」では、ディズニーキャラクターの他に『鬼滅の刃』や『ワンピース』といった人気マンガの玩具も陳列され、気軽に購入が可能(2024年筆者撮影)。

現地で暮らす人達にとっても、これだけ身近な存在として日本のキャラクター達が浸透しているハワイ。ハワイと日本のキャラクターとの交流史を振り返ってみても、特撮ヒーロー番組の出演俳優が名誉市民に選定されたり、日本のキャラクターと州観光局とのコラボレーション企画が度々行なわれたりと、その繋がりは極めて深い関係にあります。

2014年に円谷プロとハワイ州観光局のコラボ企画『ウルトラハワイ』の開催に併せ、地元の人気Tシャツブランド「88TEES」のヤヤちゃんと歴代ウルトラマンのコラボTシャツが同年より発売された。
2014年に円谷プロとハワイ州観光局のコラボ企画『ウルトラハワイ』の開催に併せ、地元の人気Tシャツブランド「88TEES」のヤヤちゃんと歴代ウルトラマンのコラボTシャツが同年より発売された。

そこで今回は、米国ハワイ州での日本のキャラクター達の活躍について、少しお話をしていきたいと思います。

※本記事は「私、アニメや特撮にくわしくないわ」「ハワイに行ったことがない」という方にもご覧頂けますよう、可能な限り概要的にお話をしておりますので、ゆっくり肩の力を抜いて、気軽にお楽しみ頂けたらと思います。

【そもそもハワイってどんなとこ?】コンビニにはポケモン!空港にはゴジラ!日本のキャラクター天国・ハワイの魅力とは?

日本のキャラクターとハワイとの関係についてお話しをする前に、少しだけハワイのことをご紹介をさせてください。

ハワイは太平洋に浮かぶ島々によって構成されている(ハワイ)諸島であり、アメリカ合衆国50番目の州です。西暦500年から800年頃にポリネシアの人々が現地にて居住するようになり、18世紀末には西欧人はハワイ諸島を「発見」したことに伴い、カメハメハ大王が彼らの武器を導入し、ハワイ諸島を統一してハワイ王国を建国しました。しかしこのハワイ王国はアメリカやヨーロッパ諸国をはじめとする他国からの干渉を受け続け、王国は滅亡。最終的にはアメリカに併合されて1959年に米国50番目の州となりました。

日本の童謡でも有名なカメハメハ大王像(カメハメハ1世)の立つハワイ州最高裁判所( Hawaii State Supreme Court )。イオラニ宮殿と並び、ダウンタウンエリアで有名な観光スポット。
日本の童謡でも有名なカメハメハ大王像(カメハメハ1世)の立つハワイ州最高裁判所( Hawaii State Supreme Court )。イオラニ宮殿と並び、ダウンタウンエリアで有名な観光スポット。

ハワイ王国時代の歴史的建築物「イオラニ宮殿」。第7代カラカウア王と王妃、そしてかの有名な代表曲「アロハ・オエ」を作った第8代のリリウオカラニ女王が住んでいた。宮殿内は事前予約で見学も可能。
ハワイ王国時代の歴史的建築物「イオラニ宮殿」。第7代カラカウア王と王妃、そしてかの有名な代表曲「アロハ・オエ」を作った第8代のリリウオカラニ女王が住んでいた。宮殿内は事前予約で見学も可能。

外国からの干渉による王国滅亡という悲しい歴史もあるハワイですが、この間にたくさんの国々からの移民がハワイへやって来ました。もちろん日本も例外ではありません。1868年(明治維新の年)よりたくさんの日本人移民がハワイへやって来ており、現在に至る日系人のルーツ、そしてハワイにおける多民族社会が形成されていくことになります。

戦後を経て、1960年の時点でハワイ州での日系人人口は20万3000人に達し、州総人口63万3000人の約32%を占める最大のエスニックグループとなりました。

ハワイ日系人の歴史や文化を学ぶことが出来る「ハワイ日本文化センター」。日本産の特撮ヒーロー番組『人造人間キカイダー』の催事も開催されていた(2015年筆者撮影)。
ハワイ日系人の歴史や文化を学ぶことが出来る「ハワイ日本文化センター」。日本産の特撮ヒーロー番組『人造人間キカイダー』の催事も開催されていた(2015年筆者撮影)。

ハワイ州・ホノルル市内、ダウンタウンエリアにあるハワイ州庁舎。州庁舎の建物はハワイ州の自然・文化的な特徴が取り入れられており、椰子の木、太平洋、火山、ハイビスカス等がイメージされた(2018年撮影)。
ハワイ州・ホノルル市内、ダウンタウンエリアにあるハワイ州庁舎。州庁舎の建物はハワイ州の自然・文化的な特徴が取り入れられており、椰子の木、太平洋、火山、ハイビスカス等がイメージされた(2018年撮影)。

そんな中、州内各局にて日本のテレビ番組の長時間放送を希望する声が現地の日系人達から高まっていくようになり、1967年に海外で初の日本語テレビ局である「KIKU-TV」が開設されました。当テレビ局の開設にあたり、KIKU-TVは日本からのテレビ番組の調達を開始しました。その際に時代劇やドラマ、バラエティ番組と並んで買い付けられたのが、日本の特撮ヒーロー番組でした。株式会社東映(以降、東映)制作の特撮ヒーロー番組『人造人間キカイダー』をはじめ、『仮面ライダーV3』や『秘密戦隊ゴレンジャー』、円谷プロダクション制作の『ウルトラセブン』等、各社が制作した特撮ヒーロー番組がハワイで放映されました。その中でも『人造人間キカイダー』は爆発的なヒットを巻き起こし、主演俳優の名誉市民化や記念日の制定等、ハワイの州政治や歴史に対しても大きな影響を及ぼすことになりました。

ハワイ州最高峰の自然史と文化史の博物館であるビショップ・ミュージアム内にて開催された催事では、キカイダー主題歌のレコードパネルも展示されていた(2014年筆者撮影)。
ハワイ州最高峰の自然史と文化史の博物館であるビショップ・ミュージアム内にて開催された催事では、キカイダー主題歌のレコードパネルも展示されていた(2014年筆者撮影)。

2014年に日本で公開された映画「キカイダーREBOOT」もハワイへ進出。現地での映画のヒットに留まらず、DVDも発売されたが、売り切れで来月まで入荷待ちになる状況であった(2014年筆者撮影)
2014年に日本で公開された映画「キカイダーREBOOT」もハワイへ進出。現地での映画のヒットに留まらず、DVDも発売されたが、売り切れで来月まで入荷待ちになる状況であった(2014年筆者撮影)

ちなみに『キカイダー』を放送していたKIKU-TV(外部リンク)は、現在も「20」チャンネルで日本のドラマやバラエティ番組を絶賛放送中。もし旅行中に日本のテレビ番組が恋しくなった際は是非。夜に視聴すると刑事ドラマやファミリードラマ、バラエティ番組と、放送内容は盛り沢山なのでお勧めです。

前述してきたハワイ州内の「キカイダー」ブーム以降も、現在までたくさんの日本のアニメ・特撮ヒーロー番組がハワイへ輸出され、現地での放送や関連商品の販売等、現地の人々に向けて様々な展開が行なわれてきました。

2013年に藤子・F・不二雄氏が生誕80周年を迎えたことを機に、2014年にハワイ州内で「ドラえもん」催事が開催された。ビショップ博物館での原画展示のほか、大手旅行会社HISではTシャツ等も販売された
2013年に藤子・F・不二雄氏が生誕80周年を迎えたことを機に、2014年にハワイ州内で「ドラえもん」催事が開催された。ビショップ博物館での原画展示のほか、大手旅行会社HISではTシャツ等も販売された

それだけでなく、日本のキャラクターとハワイ州観光局(外部リンク)とのコラボレーション企画も幾度も行なわれてきたほか、ハリウッド映画のロケ地としても有名な「クアロア・ランチ」でも、怪獣ゴジラ(ハリウッド版)の足跡も残されている等、その形跡は現在まで様々な形で残されています。

映画『GODZILLA(1998)』にて登場したゴジラの足跡。劇中では深い足跡だったが、現在は深くはない。ガイドさんによれば牧場内の牛が落下する事故等が危惧されたことから、意図的に埋めたのだとか。
映画『GODZILLA(1998)』にて登場したゴジラの足跡。劇中では深い足跡だったが、現在は深くはない。ガイドさんによれば牧場内の牛が落下する事故等が危惧されたことから、意図的に埋めたのだとか。

またハワイは、現地での生活と日本のキャラクターとの距離が非常に近いのも特徴で、コンビニ(ABCストア)に行けばポケモンカードやフィギュア、ハローキティのぬいぐるみが販売され、これらの商品がお弁当や飲み物の買い出しついでに気軽に購入できるほか・・・。

空港(ダニエル・K・イノウエ国際空港)では、搭乗前に本屋さんで日本のキャラクターのコミックが購入できたりと、頻繁に目にとまるのが日本のキャラクター達なのです。

帰国前、空港内の本屋さんに立ち寄った際に人気マンガ「SPY×FAMILY」と、米国コミック版「GODZILLA」を発見。ハワイから成田までは約8時間のフライトのため、旅の良き友となった(筆者撮影)
帰国前、空港内の本屋さんに立ち寄った際に人気マンガ「SPY×FAMILY」と、米国コミック版「GODZILLA」を発見。ハワイから成田までは約8時間のフライトのため、旅の良き友となった(筆者撮影)

視点によっては、もはや「日本のキャラクター天国」と呼んでも差し支えないハワイですが・・・今回はそんなハワイの中でも、特に日本のキャラクター達との遭遇率の高い巨大都市・ホノルルに焦点を当て、現地での私の体験談も交えながら、ゆっくりお話をしていきたいと思います。

【ホノルル市ってどんな都市?】ゴジラも上陸したハワイ州内最大の都市の歴史と現在

さてここからは、ハワイ州オアフ島内・ホノルルについてお話していきたいと思います。

ホノルルは、ハワイ州の中枢部に位置する巨大都市。ココヘッドやご存知ダイヤモンド・ヘッドなど、数多くのクレーターが点在する火山地帯であり、昔のホノルル地区の大半は森と湖の広がる湿地帯でした。ホノルル地区内にある大都会「ワイキキ」も。ハワイ語で「水の湧き出る土地」という意味があり、19世紀までたくさんのタロイモの水田やフィッシュ・ポンド(養魚池)がつくられていました。しかしながら、ホノルルは都市として拡大していった結果、水田は次々と姿を消し、白人実業家達により干拓されてしまった後は、私達がよく知るリゾート地帯へと生まれ変わっていきました。

ホテル「モアナ・サーフライダー・ウェスティン・リゾート&スパ」。1901年開業の歴史あるホテルで、ワイキキに初めて建設されたホテルであることから、「ワイキキのファーストレディー」と呼ばれる。
ホテル「モアナ・サーフライダー・ウェスティン・リゾート&スパ」。1901年開業の歴史あるホテルで、ワイキキに初めて建設されたホテルであることから、「ワイキキのファーストレディー」と呼ばれる。

現在もコロナ禍を経て、少しずつですがホノルルにも日本人観光客が戻りつつあります。私も先日、数年ぶりに現地に里帰りしましたが、「コロナ前とコロナ後で何が大きく違うの?」と言われると、まず物価高騰に驚愕しました。ハワイはもともと物価が高い地域ではあるのですが、近年の国際情勢の変化や、円安等の為替の問題もあって、レジャー活動においても少なからず経済的な影響も発生しました。これまで10ドル以下だった映画のチケットは約14ドルに跳ね上がり、動物園や水族館等のレジャー施設で消費した額の高低差に、現地で驚愕する状況だったのです。

2024年初頭はハワイにて映画『ゴジラ ー1.0』が上映されていた。筆者が現地で観たのは『マイナスカラー版』!(本編の白黒版)(2024年『WARD 16 THEATRES』にて筆者撮影)
2024年初頭はハワイにて映画『ゴジラ ー1.0』が上映されていた。筆者が現地で観たのは『マイナスカラー版』!(本編の白黒版)(2024年『WARD 16 THEATRES』にて筆者撮影)

そんな現在のホノルルでも、変わらず大活躍しているのが日本のキャラクター達。本当は全部取り上げたいところですが、事例が多すぎるので、今回はハワイにおける日本のキャラクター達の「グッズ」に焦点を当て、「①商業施設」、「②スーパー」に絞ってお話をしていきたいと思います。

【S.H.Figuartsがアラモアナセンターに集結?】ハワイの大型商業施設で活躍する日本のアニメ・特撮キャラクターは?       

まずは「①商業施設」ですが・・・ハワイ州内最大の大型商業施設である「アラモアナ・ショッピングセンター」(外部リンク)をはじめ、近年リニューアルオープンした「インターナショナルマーケットプレイス」(外部リンク)等、ホノルルには様々な大型ショッピングセンターがあります。

「アラモアナ・センター」中央にあるセンターステージ。日付や時間帯によっては、フラダンスやウクレレのショーも観賞できる。2014年のウルトラハワイ開催時は、ウルトラマン達もステージに登場した。
「アラモアナ・センター」中央にあるセンターステージ。日付や時間帯によっては、フラダンスやウクレレのショーも観賞できる。2014年のウルトラハワイ開催時は、ウルトラマン達もステージに登場した。

近年、大型商業施設としてリニューアルオープンした「インターナショナルマーケットプレイス」。100店舗のショップやレストランの他、カード会社のラウンジも完備されているので、お買い物に疲れた時も安心。
近年、大型商業施設としてリニューアルオープンした「インターナショナルマーケットプレイス」。100店舗のショップやレストランの他、カード会社のラウンジも完備されているので、お買い物に疲れた時も安心。

「アラモアナセンター」だけでも350店舗以上、「マーケットプレイス」だけでも100店舗もお店が入っている等、ホノルルの商業施設は他の地域と比べてお店の桁が違いますが・・・。そんなホノルルの商業施設の中でも、日本のキャラクター達は施設の中で存在感を発揮し続けていました。

ワイキキ・カラカウア通りに面している大型商業施設「インターナショナル マーケットプレイス」内のVR体験施設「ODYSSEY VR」店頭では、複数体のポケモンのオブジェを展示(筆者撮影)。
ワイキキ・カラカウア通りに面している大型商業施設「インターナショナル マーケットプレイス」内のVR体験施設「ODYSSEY VR」店頭では、複数体のポケモンのオブジェを展示(筆者撮影)。

VR体験施設「ODYSSEY VR」内は、室内のVR体験だけに留まらず、複数種のポケモンカードも購入できるほか、日本のキャラクターのガチャガチャも販売。コインはもちろん米ドル(2024年筆者撮影)。
VR体験施設「ODYSSEY VR」内は、室内のVR体験だけに留まらず、複数種のポケモンカードも購入できるほか、日本のキャラクターのガチャガチャも販売。コインはもちろん米ドル(2024年筆者撮影)。

例えば、「アラモアナセンター」内にある本屋さん「バーンズ・アンド・ノーブル・ブックセラー アラモアナ・センター店」(外部リンク)。当店は本屋さん、コーヒーショップ、レコード屋さんを内包している店舗なのですが、一般書や学術書、コミック、はたまたCDやDVD等も当店にて購入できます。(※当店は本屋さんかつ、周囲の環境の配慮及び静寂の確保のため、店内の写真撮影は一切行なっておりません)

近年ハワイでも本屋さんが減ってきたり、レコードコーナーも縮小される状況の中、「バーンズ」は最高の知識のオアシス。アメリカのドラマや映画雑誌等、本国で資料を多数収集できる(2024年筆者撮影)。
近年ハワイでも本屋さんが減ってきたり、レコードコーナーも縮小される状況の中、「バーンズ」は最高の知識のオアシス。アメリカのドラマや映画雑誌等、本国で資料を多数収集できる(2024年筆者撮影)。

上記のような外国産のテレビドラマや映画雑誌だけに留まらず、『鬼滅の刃』や『SPY×FAMILY』を筆頭とする、英語翻訳された日本の人気マンガ作品が並べられたコーナーのほか、なんと日本のアニメキャラクターのアクションフィギュア(特にS.H.Figuarts、chibi-arts等)をずらっと揃えて1コーナーとなっている場所等、日本でも馴染み深いアニメ・マンガ作品が、同様にハワイでも勢揃いしている状況には親近感を感じたものです。

アメリカで販売されているコミックスは、日本のマンガと比較して少し大きめ。言語はもちろん英語。日本のマンガを初めて読む読者に配慮し、左側からページを開くと(米国のコミックは通常左読み)警告文を掲載。
アメリカで販売されているコミックスは、日本のマンガと比較して少し大きめ。言語はもちろん英語。日本のマンガを初めて読む読者に配慮し、左側からページを開くと(米国のコミックは通常左読み)警告文を掲載。

S.H.Figuartsは、玩具メーカー大手バンダイによる「可動によるキャラクター表現の追求」をテーマとしたフィギュア。ハワイでも日本と同品が現地にて販売中(写真は『SPY×FAMILY』のヨルさん)
S.H.Figuartsは、玩具メーカー大手バンダイによる「可動によるキャラクター表現の追求」をテーマとしたフィギュア。ハワイでも日本と同品が現地にて販売中(写真は『SPY×FAMILY』のヨルさん)

S.H.Figuartsの派生ブランド「chibi-arts」も『バーンズ』内で複数種販売。店内ではFiguarts以上に豊富な品揃えで、『鬼滅の刃』を中心に日本と同一の商品が販売された。
S.H.Figuartsの派生ブランド「chibi-arts」も『バーンズ』内で複数種販売。店内ではFiguarts以上に豊富な品揃えで、『鬼滅の刃』を中心に日本と同一の商品が販売された。

※今回ご紹介しているのは、『鬼滅の刃』や『SPY×FAMILY』、『チェンソーマン』等の少年ジャンプの作品に絞っていますが、店内は全ての把握が困難なほど実にたくさんの日本のアニメ・マンガ作品の英語翻訳版コミックスやプライズフィギュア等が販売されています。お気に入りの作品がきっとあると思いますので、来店したら是非チェックしてみてくださいね。

またコロナ前後で感じた当店の大きな変化のひとつに、ウルトラマンや仮面ライダーといった日本の特撮ヒーロー番組のコミックやBlu-rayを目にする機会が増えたことも挙げられます。

東映制作の特撮ヒーロー番組『仮面ライダーゼロワン(2019)』は、米国でのBlu-ray BOXの販売の他、コミックスによる展開も行なわれている。もちろんハワイでも本書は購入可能。
東映制作の特撮ヒーロー番組『仮面ライダーゼロワン(2019)』は、米国でのBlu-ray BOXの販売の他、コミックスによる展開も行なわれている。もちろんハワイでも本書は購入可能。

ハワイ州でも「ゴジラ」や「パワーレンジャー(米国版スーパー戦隊シリーズ)」等のDVDやコミックが多数販売されていましたが、不思議とウルトラマンや仮面ライダーシリーズの関連商品を目にする機会は極めて限定的でした。しかし、「ノーブル」のような大型商業施設の本屋さんに、すぐ目に付く形で両シリーズの商品が置いてある・・・という状況が定番化したのは、やはり嬉しいもの。

東映制作の特撮ヒーロー番組『仮面ライダークウガ(2000)』も、現在米国ではBlu-rayも発売されている。日本版(左)は全3巻であるのに対し、米国版は1巻でコンパクトに全話揃うのが本製品の魅力。
東映制作の特撮ヒーロー番組『仮面ライダークウガ(2000)』も、現在米国ではBlu-rayも発売されている。日本版(左)は全3巻であるのに対し、米国版は1巻でコンパクトに全話揃うのが本製品の魅力。

仮面ライダーシリーズに焦点を当ててみると、上記の『仮面ライダーゼロワン(2019)』の米国市場向けコミックスの販売の他、歴代仮面ライダーシリーズBlu-rayの販売も米国では着々と進んでいます。(現在まで『仮面ライダーBlack(1987)』、『仮面ライダーBlack RX(1988)』、『仮面ライダークウガ(2000)』、『仮面ライダー龍騎(2002)』、『仮面ライダーゼロワン(2019)』がリリースされていますが、4月には『仮面ライダーギーツ(2022)』のBlu-ray BOXが発売予定です)

東映作品『重甲ビーファイター(1995)』をベースとした『SABAN'S BEETLEBORGS(ビートルボーグ)』シリーズも、1996年より2作品(シーズン)が米国にて放送された(筆者撮影)。
東映作品『重甲ビーファイター(1995)』をベースとした『SABAN'S BEETLEBORGS(ビートルボーグ)』シリーズも、1996年より2作品(シーズン)が米国にて放送された(筆者撮影)。

これまで、仮面ライダーシリーズをはじめ数多くの東映特撮ヒーローが米国へ進出してきましたが、時を経ながらさらに攻勢をかけている状況が嬉しくもあり、今後の現地での展開にも期待が高まります。

(※米国販売用のDVD・Blu-rayを買う前の注意点)
米国で販売されているDVD及びBlu-rayの一部は、日本とリージョンコードが異なります。つまり、日本のDVD・Blu-rayデッキでは再生できないソフトがあります。例えばアメリカのDVDのリージョンコードは「1」、日本のリージョンコードは「2」なので、アメリカのリージョンコード「1」に対応できるデッキが必要となります。事前に自分が欲しい米国のDVD、Blu-rayのリージョンコードを確認し(通常はパッケージの裏側に表記)、自宅のデッキで再生できるか確認をしておくと便利です。また海外DVDを再生できるデッキも、ネット通販等、国内で購入が可能ですので、ご参考にして頂きますと幸いです。

【ドンドンドン♪ドンキー♪】スパイファミリーからセーラームーンまで!コミックもBlu-rayも揃う!ハワイのスーパーの魅力とは?

さて、ここまで「①商業施設」で活躍する日本のキャラクターについて概説してきましたが、彼らの活躍の場は「②スーパー」にも及んでいます。私達が暮らす日本でもたくさんのスーパーがあって、そこで雑貨や食料品、本や玩具(食玩)が購入できるように、ハワイでも「ウォルマート」や「ターゲット」、さらに日本から「ドン・キホーテ」といったたくさんのスーパーマーケットが存在します。

日本でお馴染みの総合級ディスカウントストア「ドン・キホーテ」も、ホノルルではカヘカ店が営業中。食料品も網羅されているので、お刺身やお寿司等、日本食が恋しくなった際は当店が便利。
日本でお馴染みの総合級ディスカウントストア「ドン・キホーテ」も、ホノルルではカヘカ店が営業中。食料品も網羅されているので、お刺身やお寿司等、日本食が恋しくなった際は当店が便利。

そんな数あるハワイのスーパーでも、数多くの日本のキャラクターに出会うことができます。その中でも、特筆したいのは「ターゲット」(外部リンク)。

ターゲット内は生活雑貨や食料品のほか、玩具も網羅されているので、一カ所でコンパクトにお買い物が楽しめるから便利。米国版スーパー戦隊シリーズ「パワーレンジャー」の玩具も販売(2024年筆者撮影)。
ターゲット内は生活雑貨や食料品のほか、玩具も網羅されているので、一カ所でコンパクトにお買い物が楽しめるから便利。米国版スーパー戦隊シリーズ「パワーレンジャー」の玩具も販売(2024年筆者撮影)。

この「ターゲット」とは、アメリカの大型ディスカウントストア。食料品から生活雑貨、玩具やDVD、レジャー用品まで何でも揃っており、私も現地の生活において大変お世話になっているスーパーですが・・・。

実はこのターゲット、日本のキャラクター商品もたくさん販売されており、店内では「SPY×FAMILY」や「セーラームーン」のBlu-ray BOXも気軽に手に取ることが出来る上、比較的コンパクトな価格で購入することが可能です。

人気アニメ作品『SPY×FAMILY』もハワイではBlu-rayが販売中。約70ドル程の定価価格で、英語音声や字幕でも作品が楽しめる(もちろん日本語音声での視聴も可能)(筆者撮影)。
人気アニメ作品『SPY×FAMILY』もハワイではBlu-rayが販売中。約70ドル程の定価価格で、英語音声や字幕でも作品が楽しめる(もちろん日本語音声での視聴も可能)(筆者撮影)。

人気アニメ作品『セーラームーン』シリーズのBlu-rayも、ハワイで販売されている。ターゲットでは『セーラームーンS』のBlu-ray(左端)の他にコミックス(英語版)も販売されていた(筆者撮影)。
人気アニメ作品『セーラームーン』シリーズのBlu-rayも、ハワイで販売されている。ターゲットでは『セーラームーンS』のBlu-ray(左端)の他にコミックス(英語版)も販売されていた(筆者撮影)。

そんな魅力的な「ターゲット」の商品の中でも、当スーパー内の一画を占める程に注力されている玩具があります。それがアメリカの玩具メーカー「Funko」社の代表商品「FUNKO POP!」です。当商品は国内外の人気映画やドラマ、アニメ作品に登場した様々なキャラクターや著名人達を全長約13cmの大きさで立体化した人形シリーズ。日本からも『鬼滅の刃』や『ドラゴンボール』といった人気アニメシリーズのキャラクターや、『スーパー戦隊シリーズ(米国名:Mighty Morphin Power Rangers)』のキャラクターが商品化されています。

「FUNKO POP!」では、『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』の6人もしっかり商品化。他にもウルトラマンシリーズ等がラインナップされている。現在もジュウレンジャーは新種の販売が継続中。
「FUNKO POP!」では、『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』の6人もしっかり商品化。他にもウルトラマンシリーズ等がラインナップされている。現在もジュウレンジャーは新種の販売が継続中。

そんな「FUNKO POP!」商品の中でもコレクター泣かせなのが、「ターゲット限定商品(Target Exclusive)」の存在です。一般販売品だけで無く、ターゲットをチェックしなければ、真のコンプリートには行き着かない故、作品フィギュアを収集しているファンにとって「ターゲット」は正に「関門」と呼べるのかも知れません。

「FUNKO POP!」はターゲット向けに限定商品の展開も盛ん。先述した『恐竜戦隊ジュウレンジャー』も守護獣ティラノザウルス(T-rex Dinozord)が限定品として販売された(筆者撮影)。
「FUNKO POP!」はターゲット向けに限定商品の展開も盛ん。先述した『恐竜戦隊ジュウレンジャー』も守護獣ティラノザウルス(T-rex Dinozord)が限定品として販売された(筆者撮影)。

ここまで、ハワイの商業施設やスーパーにおける日本のキャラクターの活躍について上述してきました。今回はホノルルに絞ってお話しをしていますが、ハワイの魅力は当然、ホノルルだけに留まりません・・・。

『ゴジラ』をはじめとする怪獣映画の聖地である「クアロア・ランチ」。4月に国内公開予定の映画「ゴジラ×コング 新たなる帝国」に登場する怪獣達とも非常に縁が深い場所。くわしいお話は、また次の機会に。
『ゴジラ』をはじめとする怪獣映画の聖地である「クアロア・ランチ」。4月に国内公開予定の映画「ゴジラ×コング 新たなる帝国」に登場する怪獣達とも非常に縁が深い場所。くわしいお話は、また次の機会に。

ホノルルから出ればゴジラやキングコング達に会える、日米怪獣ファンにとって聖地とも呼べる場所があるのですが、これはまた次の機会へ譲りたいと思います。

いよいよGW(ゴールデンウイーク)の予定も立てたくなるこの季節。家族旅行先のひとつとして、たくさんの日本のキャラクター達とも遭遇できるハワイも非常に魅力的な場所のひとつだと思います。

最後までご覧頂きまして、誠にありがとうございました。

大谷翔平選手のTシャツやドジャースの関連グッズが、アラモアナセンター内の「ドジャース・クラブハウス」をはじめ、ハワイ・オアフ島内各所で現在購入できますので、是非探してみてくださいね(筆者撮影)。
大谷翔平選手のTシャツやドジャースの関連グッズが、アラモアナセンター内の「ドジャース・クラブハウス」をはじめ、ハワイ・オアフ島内各所で現在購入できますので、是非探してみてくださいね(筆者撮影)。

(おまけ)旅の注意点
・ハワイでの生活において、私が苦戦したのが「トイレ」の問題です。日本では公園の公衆トイレの利用や、店員さんにお願いしてコンビニのトイレをお借りすることができますが、ハワイでは状況が異なります。一部の商業施設やレストランのトイレは暗号式になっており、施設やレストランを利用した人達でしか入室できない仕組みになっています(ご利用の際は店員さんに確認を)。治安も日本とハワイでは全く異なる上、公衆トイレも時間を過ぎれば閉鎖されますので、ご注意ください。
・また、ハワイは夜10時以降の外出は大変危険です。夜のホノルルはパトカーのサイレンが毎晩鳴り響くような状況なので、深夜までの外食の際は、タクシーがお勧めです。「Hawaii Hana Taxi (ハナタクシー)」(外部リンク)等のタクシー会社に事前にコンタクトをとり、空港とホテル間の送迎や夜間の移動等、事前にタクシーの利用を踏まえたハワイ滞在の計画を立てると便利です。

(参考文献)
・アロハ検定協会、アロハ検定オフィシャルブック、株式会社ダイヤモンド・ビッグ社
・大場吾郎、「テレビ番組海外展開60年史 文化交流とコンテンツビジネスの狭間で」、人文書院
・山下大樹・嶌田美智子(ノトーリアス)、「特撮ヒーローの常識 70年代篇」、双葉社
・勝野 宏史、研究最前線 ハワイの『キカイダー』ブーム : ファンダム研究の視点から、人間科学研究
・ジェフリー, A・S・モニーツ、多様な社会における多文化教育アプローチとしての多様な視点の尊重と涵養、教育学部論集 19
・吉田伸浩、「てれびくんデラックス ウルトラマンギンガS超全集」、小学館

博士(文学)/PhD(literature)

博士(文学)。日本の「特撮(特殊撮影)」作品を誘致資源とした観光「特撮ツーリズム」を提唱し、これまで包括的な研究を実施。国内の各学術学会や、海外を拠点とした国際会議へも精力的に参加。200を超える国内外の特撮・アニメ催事に参加してきた経験を生かし、国内学術会議や国際会議にて日本の特撮・アニメ作品を通じた観光研究を多数発表、数多くの賞を受賞する。国際会議の事務局メンバーのほか、講演、執筆、観光ツアーの企画等、多岐に渡り活動中。東海大学総合社会科学研究所・特任助教。

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