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【四條畷市】かつて、市の水道水は市内の河川でまかなっていた──権現川に残る上水道取水口跡

具志堅浩二フリーライター(四條畷市・交野市)

 7月29日朝に権現の滝へ向かう道中、権現川沿いに小さな施設と、道路をはさんで向かい側に黒い石碑があるのを見つけました。

権現川沿いにある小さな施設
権現川沿いにある小さな施設

道路をはさんで向かい側にある石碑
道路をはさんで向かい側にある石碑

 石碑には「上水道取水口跡の碑」とあります。小さな施設は取水口跡のようです。

取水口と見られる箇所
取水口と見られる箇所

 取水口跡であることを知り、改めて見てみると、施設の川に面するあたりには取水口と見られる箇所、その上にある黒くて大きな栓、小さな水路のようなコンクリートの構造物が確認できました。見れば見るほど、取水口に見えてきます。

取水口と見られる箇所の真上にある黒い栓
取水口と見られる箇所の真上にある黒い栓

 石碑を要約すると、取水口の歴史は次の通りです。

黒い栓の根本。「制水扉」と記されています
黒い栓の根本。「制水扉」と記されています

 戦後の復興とともに上水道創設の機運が高まったため、昭和32年7月15日から、この地で水を取水して旧清滝浄水場から住民への供給が始まりました。

水路のようなコンクリートの構造物。用途は何でしょうか
水路のようなコンクリートの構造物。用途は何でしょうか

 その後、人口急増と都市化の進展によって水需要が急増したため、大阪府営水道と併用することになります。

コンクリートの構造物を下流側から撮影
コンクリートの構造物を下流側から撮影

 平成に入り、府営水道から高度浄水処理水が供給されるのを機に、全量を府営水道に切り替えることになり、平成10年3月末で旧清滝浄水場が閉鎖されてこの取水口も役目を終えた、ということです。

予備知識なしに見ると、何の施設かはわかりません
予備知識なしに見ると、何の施設かはわかりません

 約25年前まで、権現川の水が水道水に使われていたとは驚きです。流域の農業だけでなく、生活を支える水を供給してきた歴史があったのですね。市街地ではコンクリート三面張りで水路のような姿の権現川ですが、見方が少し変わりました。

権現川への見方が変わりました
権現川への見方が変わりました

フリーライター(四條畷市・交野市)

1968年大阪府生まれ。バス・タクシー業界紙、電機業界誌の記者などを経て、2015年に独立。現在は、ヤフーニュースオリジナルTHE PAGEや週刊エコノミストなどで、環境問題、食料安全保障、公共交通から街ネタを含めて幅広いジャンルの記事を取材・執筆中。Yahoo!ニュース エキスパートでは、「地域とそこに住む人が好きになる」記事を追い求めて頑張ります!

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