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日韓首脳の夕食会で話題 大正時代に創業 半世紀以上の歴史を持つ銀座の「吉澤」ってどんなところ?

濱田浩一郎歴史家・作家

3月16日、来日した韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を、岸田文雄首相は、銀座の飲食店でもてなしました。一店目は、銀座の日本料理店「吉澤」。二店目は同じく銀座の老舗洋食店「煉瓦亭」。これは「日韓トップが夕食会で銀座はしご」とも評されました。

先日、ご紹介したように、煉瓦亭は、明治28年(1895)の創業で、明治時代に提供された「元祖ポークカツレツ」や「明治誕生オムライス」を頂くことができます。

一方、吉澤の創業も大正13年(1924)というから古いものです。この前年10月には、私の祖父が生まれていますし、同年9月1日には、関東大震災が発生しています。「吉澤」は、大正13年に精肉店として創業(精肉販売の吉澤商店が開業)。創業者は、吉澤一一(かずいち)社長。銀座吉澤は和牛の市場「東京食肉市場」の仲卸でもあるので、良い松阪牛を仕入れることができるとのこと。

飲食店としての「吉澤」は、昭和26年(1951)からスタートしたとのことですので、今年で72年目となります。半世紀を優に超えていますので、吉澤で提供されるお料理も、これまた歴史と伝統の味ということができるのではないでしょうか。

お昼のメニューでは「薄切りステーキ御膳」(3080円)、ハンバーグ御膳(1650円)などお肉を使った料理を頂くことができますが、同店の「看板料理」と言えるのが「すき焼き」。「すき焼き鍋御膳」(1650円)は、お手頃価格でしょう。

3月22日の昼、私も同店を訪問し「すき焼き鍋御膳」を頂きました(店内に入ると、着物をきた店員さんが接客してくださいます)。御膳のすき焼きは、ネギや玉ねぎ、水菜、高野豆腐と具材も盛り沢山。

すき焼き鍋御膳
すき焼き鍋御膳

そして、何と言っても、お肉の美味しいこと。デザートには、グレープフルーツも付いて、後味さっぱり。日韓首脳も、すき焼きを食べたとのことですが、きっと満足したことでしょう。

ちなみに、銀座吉澤の方からご教示頂いたお話によると、尹大統領夫妻が吉澤の割下を気に入って、急遽、岸田首相からのプレゼントとして、 銀座吉澤のすき焼き割下をお渡しになっていたとのことです。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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