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【大河ドラマ光る君へ】本郷奏多演じる花山天皇が即位式で行なった「奇行」

濱田浩一郎歴史家・作家

大河ドラマ「光る君へ」で師貞親王(後の花山天皇。以下、花山天皇に統一)が注目を集めています。成長した花山天皇を演じるのは、俳優の本郷奏多さん。ドラマ第1回目では、子役(伊藤駿太さん)が親王を演じたのですが、破天荒なキャラクターで話題を集めたのでした。主人公・紫式部(劇中では、まひろ)の父・藤原為時が親王に漢籍を指導するのですが、親王はそれには関心を示さず。為時を蹴飛ばしたり、変顔をしたりとやりたい放題。1分ほどの登場時間でしたが、視聴者に鮮烈な印象を残しました。

そして、第2回目「めぐりあい」においても、そのキャラは健在であり、扇を足で持ったり、好色話をしたりと、親王らしからぬ振る舞いを見せ付けたのです。さて、その花山天皇は、冷泉天皇の第1皇子として、安和元年(968)に生まれます。母は、摂政・藤原伊尹の娘(懐子)でした。ドラマにおいても「母と娘、双方と関係を持った」と豪語した花山天皇ですが、好色だったとする逸話が伝わっています。鎌倉時代初期に成立した説話集『古事談』には、即位の日(984年)における花山天皇の奇行が記されているのです。それによると、馬内侍という女官を高御座(御帳を巡らした玉座)に引き入れて、良からぬ行為に及んだといいます。花山天皇の「奇行」は他にも伝わっていますが、そうした逸話を基にして、ドラマ上のキャラクターが造型されたのでしょう。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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