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源頼朝も驚いた?「雪と雷」という現象は鎌倉時代にもあった!

濱田浩一郎歴史家・作家

2024年2月5日、東京では大雪警報が発令されましたが、その時、雪が降ると同時に雷が鳴るという珍しい現象が起こりました。確かに、筆者もこれまで降雪は何度か見たことがありましたが、同時に雷の音を聞くということはありませんでした。「雪と雷」というのは珍しい現象なのでしょうが、過去の史料に記載がない訳ではありません。例えば、鎌倉時代後期に編纂された鎌倉幕府の歴史書『吾妻鏡』には「雪と雷」に関する記述があるのです。例えば、同書の暦仁2年(1239)2月4日条(4代将軍・藤原頼経の時代)には「夜半になり、雨雪が降る。雷電数声」とあります。夜になり、雨と雪が降り、雷が数回鳴ったというのです(翌日は、夕方になり、雷と大雨が降ったそうです)。

建仁2年(1202)12月24日条(2代将軍・源頼家の時代)には、早朝に地震があり、雪が降り「雷鳴」が「三声」(3回)轟いたとあります。他にも文治3年(1187)12月1日条には「雪降る。雷一声」と記述されています。同条には、雪が降ったことを風流に感じた源頼朝が外出しようとしますが、雷鳴に驚いて取り止めたと書かれています。中世においては、珍しい現象が起こった場合は、怪異として祈祷の対象になることが多いのですが「雪と雷」については、怪異認定されていません。祈祷の対象になっていません。ただ、前述したように、頼朝が雷鳴に驚いて、外出を中止しただけです。「雪と雷」が怪異と認識されなかった理由は不明ですが、鎌倉時代に生きた人々は「雪と雷」を不吉なものとは感じなかったのでしょう。しかし、季節外れの雪(6月に降雪など)は「怪異」認定され、時の鎌倉幕府執権・北条泰時も大いに恐れています(1230年6月)。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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