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【歴史探訪】関ケ原の合戦がテーマパークに?圧巻の武将像たちが、あなたを戦場へ誘う!関ケ原ウォーランド

原田ゆきひろ歴史・文化ライター

日本には、いくつもの有名な歴史スポットが存在します。

しかし、その中でも戦国武将たちが出迎えてくれる、さながら関ケ原合戦のテーマパークが存在することは、ご存知でしょうか。

その名は“関ケ原ウォーランド”

場所は岐阜県。かつて本当に合戦が行われた当地、関ケ原町にあります。広さは約30000平方メートルと、東京ドームに比肩する広さの敷地に、200を超える等身大の武者像が配置されています。

真剣でもあり、どこかユーモラス。いったいここは、どのようなスポットなのでしょうか?

※イメージ
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歴史ファンならずとも

関ケ原ウォーランド入口
関ケ原ウォーランド入口

チケットを購入して入場すると、その先には戦場の再現エリアが、視線の彼方まで広がっています。

そして、そこには合戦当時の配置図、それぞれ大名がどの辺に居たかを模す形で、武者像が置かれているのです。

さながら異世界に入り込んだようなその光景は、歴史ファンならずとも圧巻。見ごたえはバツグンと言えるでしょう。

また視界に写るすべての武者が棒立ちではなく、合戦さながらの動きをかたどっているのも特徴です。見る角度や距離によって、印象がガラリと変わることもあります。

もしクリエイティブな趣味や、お仕事に関わる方であれば、歴史どうこうとは違った部分でも、何かインスピレーションが沸きそうです。

様々な構図で、さながら撮影大会のようなイメージで写真を撮ったり、武者人形の間を巡るだけでも、楽しめるでしょう。

野外だからこそ際立つ迫力

さて、関ケ原の戦いに関しては、その解説や展示ということであれば、全国の様々な博物館などでも、お目にかかることが出来ます。

しかし建物の中ではなく野外、まさに本当の戦場と同じ環境だからこそ、「こういう場で戦い合っていたのか!」というリアリティを、肌感覚で得られます。

きっと茂みに身をひそめる、木の陰から狙うなど、戦場を生き残るためには、

個々人でも様々な駆け引きがあったに、違いありません。

各武将の位置関係がリアルだからこそ、「この大名はど真ん中で、バチバチに戦っているな」「この武将は、けっこう離れた高台で様子見をしていたんだな」といった動向が、肌感覚で分かるのも、面白い1つです。

そして現実から少し想像をふくらませれば、ここでは戦いの“怖さ”という視点も、イメージすることができます。

ともすれば私たちは机上で、“だれが強い/弱い”“勝ったから優秀/逃げたから愚将”などと、歴史人物達を評価しがちです。

ですが戦場に身を置くのが、もし自分であれば。はたして襲い来る敵に立ち向かえるでしょうか。

逃げる行動や“戦わない”という選択をするのは、本当に情けないことなのでしょうか?

只中に身を置く体感となったとき、第三者の視点では感じられない視点で、戦場のリアルが見えてきます。

なおウォーランドの中では『このように感じて下さい』といったことは、まったく言及されていません。

しかし勉強とは違う視点で歴史を知る体験は、大人だけでなく、むしろ子ども達が何かを得るためにも、最良のスポットと言えるかもしれません。

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ちなみに、ウォーランド内には来場者も、レンタル甲冑を着られるサービスがあります。武将像たちと一緒に写真を撮れば、きっと楽しい思い出になるでしょう。

歴史マニアも垂涎の資料館

※イメージ
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ライト層でも楽しめる関ケ原ウォーランドですが、逆に大の歴史ファンの方であっても満足を得られる展示が、敷地内の資料館にあります。

合戦当時の情勢を始め、どこの国のどれほどの石高の大名が、何人引き連れて行ったのか。

また合戦は、戦う兵士だけ居れば、成り立つものではありません。どのような役割りの人がいて、いまの自衛隊に例えると、どういう人員に該当するのか。

ここまで調査をと思うほど、詳細な記録を調べ上げた展示の数々を、目にすることができます。

ウォーランドがただの面白スポットでなく、いかに想いを込めて作り上げられているのか。その本気度が感じれらます。

さて、あらためて考えてみれば200を超える武者人形は365日、基本的に野ざらしの環境です。

とうぜん風化して行きますから、ボランティアの方々も加わり、折に触れて補修され続けているとのことですが、その労力と熱意は並ではありません。

また敷地の奥には、戦死者へ向けた慰霊の仏像もあり、歴史をエンターテイメントの側面だけでなく、尊重の念をもって接している想いが、伝わって来ます。

関ケ原は史跡の宝庫

この関ケ原ウォーランドですが、JR関ケ原駅からは少し離れた場所にあり、徒歩であれば30分弱ほどかかります。

ただ駅前にはレンタサイクルサービスがあり、たいへん手軽に利用できます。ゆったり巡りたい方は、全体的には高低差もある地域なので、電動自転車の利用もおススメです。

なお今回ご紹介した関ケ原ウォーランドは、あくまで数あるスポットの1つ。

関ケ原の一帯は広大で、各武将の陣あと、決戦地、お寺や神社、博物館や資料館などがいくつも点在。本気ですべてを見ようとすれば、とても1日では回り切れない規模です。

基本的には田園や畑の広がる、長閑な郊外の町。だからこそ名所を巡る間も、あまり現実に引き戻されず、歴史に想いを馳せながら回れるのも、大きな特徴です。

そうかと思えば「小早川秀秋のうらぎりサイダー」が売店で販売されているなど、ユニークな土産話にも事欠きません。

また関ケ原駅は普通列車でも、岐阜駅まで約25分、名古屋駅まで約45分ほどの距離にあります。何泊かで日程を組めば、名古屋城や岐阜城をはじめとした、徳川家康や織田信長に関わるスポット巡りも可能。

ドラマに、ゲームに、小説に。歴史は様々なコンテンツで楽しめますが、ときには能動的に旅をしながら体感すると、また違った発見や興味があるものです。

機会があれば是非あなたも、歴史を巡る旅行を考えてみてはいかがでしょうか。

歴史・文化ライター

■東京都在住■文化・歴史ライター/取材記者■社会福祉士■古今東西のあらゆる人・モノ・コトを読み解き、分かりやすい表現で書き綴る。趣味は環境音や、世界中の音楽データを集めて聴くこと。鬼滅の刃とドラゴンボールZが大好き■著書『アマゾン川が教えてくれた人生を面白く過ごすための10の人生観』

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