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【今さら聞けない】アフタヌーンティーの食べ方・楽しみ方

畠山仁美所作講師

日本でもすっかり定着しているイギリス発祥のアフタヌーンティー。
優雅な空間と上質なおもてなし、時間をたっぷりかけて紅茶やお菓子をいただく贅沢な時間は至福のひとときです。

アフタヌーンティーはもともと貴婦人たちの社交の場。人が集まる場には、皆が気持ちよく過ごすための一定のマナーが自然と生まれます。

堅苦しく考える必要は全くないけれど、文化背景や基本的な考え方を知ることで、アフタヌーンティーはより楽しめるはずです。

アフタヌーンティーの始まりは一人の女性から

起源は19世紀イギリス。当時の食事は、遅めの朝食とディナーの1日2回が基本。午後4時ごろになるとすっかりお腹がすいてきてしまいます。
そこで空腹に耐えかねた第7代ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアは、こっそりパンと紅茶でティータイムを始めました。

最初のうちは一人で愉しんでいたものの、そこへ少しずつ友人を招くように。ゲストは次第に増えていき、貴婦人達の間でお喋りを楽しむ優雅なお茶会(アフタヌーンティー)は、社交の場へと発展していきました。

アフタヌーンティーの基本構成

アフタヌーンティーといえば、やはり三段スタンド(スリーティアーズ)ですね。

基本の構成は、このイラストの通り、下から

1,サンドイッチ (セイボリー:塩気のある食べ物) 
2,スコーン 
3,ペイストリー (ケーキなど甘いお菓子)

となっており、基本的にはこの順番で、塩気のあるものから甘いものへ、味の薄いものから濃いものへ、と食べ進めていきます。

たとえばコース料理の場合、デザートを食べた後にまた肉料理を食べる、といったことはしないのと同様に、アフタヌーンティーも、サンドイッチを食べて、甘いケーキを食べて、またサンドイッチに戻って…ということはあまり望ましくないとされています。

とはいえ最近では、盛り付けの美しさやお店のオリジナリティを重視して、基本構成にこだわらないお店も多くあります。スコーンも温かいうちに食べた方がやはり美味しいので最初に食べたいという場合もあるでしょう。

堅苦しく考えすぎると楽しめませんので、自由に美味しくいただきつつ、一応そういう基本があるんだなと頭の片隅に入れておくのが良いかと思います。

アフタヌーンティーの食べ方

三段スタンドから直接食べることはせず、必ず取り皿に食べる分だけ取ってからいただきます。直接手で取ってかまいません。

スコーンの食べ方にはちょっとしたルールがあります。

・スコーンは手で割る。(硬い場合はナイフを使っても)
・必ず上下半分に割る。(縦に切らない)

「スコーン」という名前は、スコットランドにあるスコーン城で歴代の国王の戴冠式に使用された椅子の礎石「The Stone of Scone(運命の石)」に由来するといわれています。

スコーンがその石の形に似ていたことから、神聖な形をしたスコーンをナイフで縦真っ二つに切ることはせず、手で横から半分に割って食べるようになったとされています。

二人以上でアフタヌーンティーを食べる際、クロテッドクリームとジャムは自分の取り皿に取り分けてからスコーンに塗るようにします。

スコーンそれ自体はほとんど味もなく食感もモサモサしていますが、温かいスコーンにクロテッドクリームとジャムをたっぷり乗せて食べた時の美味しさときたら…もう至福の味わい。紅茶との相性もばっちりです。

ティーポットに茶葉が入ったまま紅茶が提供される場合、時間が経つと紅茶がどんどん濃くなっていくので差し湯用のホットウォータージャグを出してもらえます。

差し湯をする際は、ティーポットにお湯を入れるのではなく、カップに紅茶を注いでからお好みの濃さになるように調整します。濃くなった紅茶にミルクを入れても美味しいですね。

自分らしく楽しむティータイムを

紅茶やティーフーズ、食器や歴史など、まだまだ奥が深いアフタヌーンティー。
ただただ美味しいお茶時間を純粋に楽しむもよし、教養を深めるきっかけにするもよし。

気軽に非日常を味わえるのがアフタヌーンティーの良いところ。せわしない日常からしばし離れ、優雅な空間に身を置き、背筋を伸ばし、立ち居振る舞いにも少しだけ気を配って、素敵なティータイムをお過ごしくださいね。

所作講師

日常の振る舞いを見直すことで、心・体・生活を整えるお手伝いをする所作講師。立つ・座る・歩く・物を扱う・挨拶する、といった日常あたりまえに行っている所作を通して、振る舞いだけでなく自分の内面も見つめ直すレッスンが好評。2011年の開講以来マンツーマンレッスンにこだわり、一人一人と向き合ってきた。ブログ【所作美人のヒント】では、バタバタと忙しい日々の中で、所作を通して自分を磨く考え方を発信。著書「一日一分からはじめる『おだやかな人になる所作の習慣』」

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