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【川越市】原料は大豆ではない!? しょう油の蔵元に教わるしょう油の秘密!! 【川越を元気にする会社】

編集工房水夢地域ニュースサイト号外NETライター(川越市)

今回、紹介するのは川越観光の中心地・一番街に直営店がある醤油(以降本記事では固有名詞を除いて「しょう油」で統一します)の蔵元・笛木醤油株式会社です。こちらは寛政元年(1789年)創業と、およそ230年に渡ってしょう油をつくり続けている伝統ある蔵元です。最近はこちらが販売するバウムクーヘンや運営する「金笛しょうゆパーク」も人気となっています。でも、いったいなぜしょう油の蔵元がバウムクーヘンを? それに「金笛しょうゆパーク」ってどんなところ? しょう油は私たちの食卓に欠かせない調味料ですし、その蔵元の活動はいろいろと気になります。そこで今回、笛木醤油株式会社の12代目当主・笛木さんにお話を伺いました。

写真提供/笛木醤油株式会社
写真提供/笛木醤油株式会社

川越店ではうどん屋さんも大人気!

まずは笛木醤油株式会社が運営してる「金笛直売店 川越店」の紹介から。先に触れたようようにこちらは川越観光の中心地・一番街沿いにあります。

店舗はくらづくりの素敵な建物です
店舗はくらづくりの素敵な建物です

こちらではスタンダードな「金笛しょうゆ」をはじめ、用途や好みに応じて、いろいろな種類のしょう油が売られています。

売られているしょう油の種類はとても豊富です
売られているしょう油の種類はとても豊富です

また、広い店舗の奥のほうにはお食事処「うんとん処 春・夏・秋・冬」が併設されています。こちらのうどんも「美味しい」と人気です。

「うんとん処 春・夏・秋・冬」は連日、多く客でにぎわう人気店です
「うんとん処 春・夏・秋・冬」は連日、多く客でにぎわう人気店です

また、「金笛直売店 川越店」で最近、話題となっているのがスイーツのバウムクーヘン「金笛木桶バウム」です。2022年2月11日現在は期間限定で「甘酒」を販売中です(「甘酒」は2022年2月末までの販売予定だそうです)。

ほんのりと甘酒の香りがする美味しいバウムクーヘンです
ほんのりと甘酒の香りがする美味しいバウムクーヘンです

「うんとん処 春・夏・秋・冬」はいろいろな料理に調味料として蔵元ならではの良質なしょう油を使っていて、それが美味しさのポイントの一つになっていることはわかります。でも、なぜ、しょう油の蔵元がバウムクーヘンなのでしょうか……。

地域とのつながりで生まれたバウムクーヘン

では、さっそく「しょう油の蔵元がなぜバウムクーヘンを?」という質問に対する笛木さんのお答えです。

「家訓というほどのものではありませんが、笛木醤油が約230年続いているなかで、大切にしてきたのが地域とのつながりです。そもそも、こちらでしょう油をつくれるのは、原料の小麦をはじめとする地域の恵みを使わせていただいているからです。それにこの辺りには美味しい卵を生産なさっている方もいますし、イチゴの産地としても知られています。そのような、この地域ならではの食材を使いつつ、新しい地域のお土産をつくりたいという思いでスタートしたのが金笛木桶バウムです」

なるほど、「金笛木桶バウム」は地域の農産物をふんだんに使っているのが特徴なのですね
なるほど、「金笛木桶バウム」は地域の農産物をふんだんに使っているのが特徴なのですね

そうそう、ご案内が遅くなりましたが、笛木醤油株式会社の本社ならびに蔵があるのは川越市のお隣の川島町です。ところで、今、「原料の小麦」という言葉がありましたが大豆の間違いでは?

「いえ、もちろん大豆も重要な原料ですが、それに加えて小麦と塩がしょう油の主原料なのです。ざっくりいうなら、大豆はしょう油の旨味、小麦はしょう油の香りをつくってくれるとされています。私どものしょう油の醸造方法は江戸時代から変わっておらず、その三つを主原料として1~2年、長いものでは3年間かけて、ゆっくりと木桶で発酵熟成させています」

私は「しょう油=大豆が原料」というイメージだったのですが、小麦も主原料の一つなのですね……。

「はい。それで私どもは小麦はすべて埼玉県産を使っています。今では以前よりも収穫量が減ってしまいましたが、もともと埼玉県は小麦の生産が盛んで、名物となっている武蔵野うどんも、その影響と聞いています」

おもしろいお話です。いろいろとつながるものですね。大豆については?

「こちらも埼玉産ですと言いたいところですが、どうしても埼玉県内の大豆の収穫量は限られているので、青森県や秋田県産のものも使用しています。商品によって使い分けていて、例えば川越しぼりというしょう油は小麦はもちろん、大豆も川越産です」

「川越しぼり」は川越産の原料でつくられたこだわりのしょう油です
「川越しぼり」は川越産の原料でつくられたこだわりのしょう油です

以前、川越市内のお米の生産者の方にお話を伺ったときに「味は個人の好みですが、川越の気候で暮らしている私たちの体が、同様に川越の気候で育った農作物を美味しいと感じるのは自然なこと」というニュアンスの言葉をいただき、とても納得した記憶があります。私たち川越市民が川越産の大豆や小麦が原料のしょう油を美味しく感じても不思議ではありませんよね。

「そうだとうれしいですね(笑)。それに関係することとして、話を金笛木桶バウムに戻すと、きっかけの一つにしょう油の新しい可能性を追求したいと考えたこともあります。じつは国内のしょう油の生産量や消費量は1973年をピークに年々減少しています。もちろんしょう油は日本人に愛されている調味料ですし、なくなることはないとは思いますが、生き残るのは大きな企業で、私どものような小さな蔵元は40年後にはすべてなくなる可能性があるという説もあるほどです」

そうなのですか!? そちらも知りませんでした……。しょう油のことをもっと知りたいと思った私は笛木醤油株式会社が運営している「金笛しょうゆパーク」に向かったのでした。

楽しく学べる、しょう油のテーマパーク!

「金笛しょうゆパーク」は川島町の国道254号線から少し入ったところにあります。周囲に看板が設置されているおかげで、私はカーナビを使わなくても迷わずに到着することができました。川越市内からも車でアクセスしやすいでしょう。駐車場は27台分が完備されています。

写真提供/笛木醤油株式会社
写真提供/笛木醤油株式会社

こちらでは、笛木醤油株式会社の美味しいしょう油をふんだんに使った食事を楽しめるほか、「金笛木桶バウム」の製造・販売もしています。

できたてホヤホヤのバウムクーヘンを食べられるのはうれしい!
できたてホヤホヤのバウムクーヘンを食べられるのはうれしい!

そして、なんといっても人気となっているのが工場見学です。

工場見学は無料です。教科書ももらえます
工場見学は無料です。教科書ももらえます

2022年2月6日(日)に足を運んだところ、その日はちょうど笛木さんが案内係を担当する日でした。1日11回の案内は大変でしょう。頭が下がります。

工場見学は1日11回で、待ち時間が少ないのも魅力です
工場見学は1日11回で、待ち時間が少ないのも魅力です

いろいろと教えていただき、とて勉強になりました。例えば発酵の場であるしょう油の蔵に入れるのは当主である笛木さんと二人の職人さんだけだそうですが、その立場の人は普段から食べてはいけないものがあるそうです。それはなにかというと……。

答えは実際に工場見学をして教えてもらってください。

知らないことが多く、お子さんも楽しそうでした
知らないことが多く、お子さんも楽しそうでした

なお、「金笛しょうゆパーク」ではワークショップを開催することもありますし、「金笛直売店 川越店」では新たな挑戦も予定しているそうです。ぜひ、皆さまも美味しいしょう油やバウムクーヘンの購入で「金笛直売店 川越店」に、しょう油のことを楽しく学びに「金笛しょうゆパーク」に足を運んではいかがでしょうか。

【会社紹介】

【施設紹介その一】

  • 施設名/金笛直売店 川越店
  • 住所/埼玉県川越市幸町10-5
  • 電話番号/049-225-6701
  • 営業時間/11:00~16:00(土日祝17:00)

【施設紹介その二】

  • 施設名/お食事処 「うんとん処 春・夏・秋・冬」
  • 住所/埼玉県川越市幸町10-5
  • 電話番号/049-225-6701
  • 営業時間/平日11:30~16:00(ラストオーダー/うどん14:00、喫茶15:00)、土日祝日11:30~17:00(ラストオーダー/うどん15:00、喫茶16:00)

【施設紹介その三】

  • 施設名/金笛しょうゆパーク
  • 住所/埼玉県比企郡川島町上伊草660(カーナビでは上伊草654と入力)
  • 電話番号/049-297-0917
  • 営業時間/ショップ10:00~17:00、しょうゆ蔵のレストラン11:30~17:00(麵がなくなり次第終了)
  • 定休日/なし
地域ニュースサイト号外NETライター(川越市)

川越市在住のエディトリアルライターです。フリーランスとして活動中。川越の情報をお届けします。

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