Yahoo!ニュース

【川越市】蓮は以前も壊滅の危機が? 写真家は何を狙っている? 川越市民は知っておきたい伊佐沼の豆知識

編集工房水夢地域ニュースサイト号外NETライター(川越市)

川越の見どころの一つ、伊佐沼の古代蓮が壊滅の危機を迎えています。今年(2023年)はあの美しい花を楽しめないのは残念です。でも、じつは古代蓮の壊滅の危機は、今回が初めてではありません。本記事は川越の自然の代表格である伊佐沼をいろいろな角度から紹介します。

古代蓮の壊滅の危機の原因は…

まずは最近のニュースから。例年なら7月頃に美しい花を咲かせる伊佐沼の古代蓮が今年はまったく咲いていません。この情報をテレビの情報番組で知った私は確認のために2023年7月19日に足を運びました。

花が咲いていないどころか、葉も本当に一部に見られるだけという状況でした
花が咲いていないどころか、葉も本当に一部に見られるだけという状況でした

原因については定かではないそうですが、報道によると有力な説の一つに古代蓮の根を食べるカメの増加が挙げられています。

現地にはカメの捕獲器が設置されています。その捕獲器には「伊佐沼の蓮を咲かそう会」と記されています
現地にはカメの捕獲器が設置されています。その捕獲器には「伊佐沼の蓮を咲かそう会」と記されています

ちなみに伊佐沼の古代蓮に関する豆知識として、その歴史は江戸時代まで遡るそう。そして、それ以来、ずっと続いているかというとそうではなく、以前にも壊滅の危機がありました。それが1994年頃から「伊佐沼の蓮を咲かそう会」を中心とする地域の方々の尽力により復活し、昨年までのように美しい花を楽しめる状況になったとのことです。はたして来年以降はどうなるのでしょうか…。捕獲器などの工夫が奏功するとよいのですが。

人の暮らしとともにある沼

環境省の公式サイトによると伊佐沼は埼玉県内最大の沼とのこと。農業用水の調整池としての役割も担っていて、水位の増減があるのも伊佐沼の特徴の一つです。

こちらは2022年11月に撮影した写真です。写真内で土の地面となっている部分は夏には水で満たされます
こちらは2022年11月に撮影した写真です。写真内で土の地面となっている部分は夏には水で満たされます

人の手によって水位が変化することからもわかるように伊佐沼は私たち川越市民の暮らしと密接に関係している沼といえるでしょう。

写真愛好家の狙いは?

伊佐沼に足を運ぶと、たくさんの写真愛好家の方々が撮影しているのを目にします。私は以前から「多分、野鳥を撮っているのだろうけれど、そんなに珍しい野鳥がいるのかしら……」と少し疑問に思っていました。自動車のナンバーを見ると遠方からいらっしゃっている方もいるようですが、他にも自然が残っているところはありますから。そこで、現地にいらっしゃった方にお話を伺いました。

古代蓮の確認に足を運んだ時にもたくさんの写真愛好家がいらっしゃいました
古代蓮の確認に足を運んだ時にもたくさんの写真愛好家がいらっしゃいました

応じていただいたのは小川耕一さんで、小川さんは市外から足を運んだとのこと。小川さんはこれまでに撮影した野鳥の写真が何度も全国紙に掲載されたことがある、凄腕のアマチュアカメラマンです。

小川さんがおっしゃるには「伊佐沼はどこにでもあるような沼ですが、私たち野鳥好きには、とても貴重な場所です。このようにヨシ(植物の葦(アシ)の別称/イネ科の多年生植物)が生い茂っているところはあまりなく、それで珍しい野鳥がやってくるのですよ」とのことです。

私も野鳥を撮ってみました。こちらはカイツブリの幼鳥です。現場では「かわいいなぁ」と思ってシャッターを切ったのですが、この写真ではかわいさが伝わらないですね…。写真は難しい
私も野鳥を撮ってみました。こちらはカイツブリの幼鳥です。現場では「かわいいなぁ」と思ってシャッターを切ったのですが、この写真ではかわいさが伝わらないですね…。写真は難しい

ちなみに何を狙っているのかというと…。

「人によって違うと思いますが、今はヨシゴイというなかなかお目にかかれない野鳥がいて、私はそれを撮影しに来ました」(小川さん)

なるほど。なお、ヨシゴイは夏に日本に訪れる夏鳥だそう。伊佐沼では他にも季節ごとにいろいろな野鳥が見られます。お話を伺っている最中、一緒に伊佐沼の野鳥を観察しましたが、本当にいろいろな野鳥を見ることができました。今はスマホで野鳥の名前(種類)を確認できますし、伊佐沼の野鳥観察はぜひ皆様にも楽しんでいただきたいっ!

こちらがヨシゴイです。きれいな野鳥ですよね(写真提供/小川耕一)
こちらがヨシゴイです。きれいな野鳥ですよね(写真提供/小川耕一)

こちらはコアジサシです。小魚をくわえています(写真提供/小川耕一)
こちらはコアジサシです。小魚をくわえています(写真提供/小川耕一)

また、以前、夕方に撮影している方にお話を伺ったときには、その方は夕日を撮影していらっしゃいました。確かに夕日と水面の組み合わせが美しかった……。

一応、私も撮影してみました。やはり写真は難しい……
一応、私も撮影してみました。やはり写真は難しい……

空気が澄んでいれば伊佐沼から富士山を見ることもできます。ということで、伊佐沼は写真愛好家の方々にはとても魅力的なスポットなのです。

伊佐沼で釣れるのは…

伊佐沼は釣りも楽しめます。釣りについては管理しているのは埼玉南部漁業協同で、釣りを楽しむには遊漁券が必要です(現場で漁協の方が見回りに来た際に、その方から購入可能です)。

何が釣れるかというと、コイ、マブナなど。野鳥と違って、伊佐沼で釣れるのは国内の淡水でよく見られる魚です。私は伊佐沼では釣ったことがありませんが、多分、ポピュラーなクチボソやモロコもいるでしょう。ちょっと珍しいところでは美味しく食べられるテナガエビもいます。

こちらは私が伊佐沼で釣ったテナガデビです。そこまで珍しくはありませんが……
こちらは私が伊佐沼で釣ったテナガデビです。そこまで珍しくはありませんが……

伊佐沼自体はもちろん、伊佐沼に通じる用水路にもいろいろな魚がいて、むしろ、これまで釣りをしたことがない方は、そちらのほうが釣りやすいかもしれません。また、私は以前、子どもたちがヌマエビの仲間を網で楽しそうにすくっているのを見たこともあります。

このように伊佐沼にはいろいろな魚がいるので、夏休みに釣りを楽しむのもよいでしょう。

近くのヒマワリ畑もきれい

伊佐沼の美しい花も紹介しましょう。伊佐沼は地域の暮らしに密接に関係しているということで、ここでは人の手が加わったものを紹介します。まず季節は春ですが、西側の沼沿いの道は桜の花のトンネルができます。

この写真は2023年の春に撮影したものです
この写真は2023年の春に撮影したものです

また、これからの季節、盛夏には伊佐沼の東岸の花畑でたくさんのヒマワリが咲きます。

こちらは2022年の9月11日に撮影した写真です。盛期は過ぎていますが、この時期になると無料で持ち帰れます
こちらは2022年の9月11日に撮影した写真です。盛期は過ぎていますが、この時期になると無料で持ち帰れます

以上、今回は伊佐沼のいろいろな情報を紹介しました。伊佐沼は近くに無料の公共駐車場がありますし、川越駅からバスも出ています。周囲は約2.4kmとウォーキングやランニングにちょうどよい距離といえるでしょう。伊佐沼はいろいろな魅力があるのです!

【施設情報】

  • 施設名/伊佐沼
  • 住所/ 埼玉県川越市伊佐沼

地域ニュースサイト号外NETライター(川越市)

川越市在住のエディトリアルライターです。フリーランスとして活動中。川越の情報をお届けします。

編集工房水夢の最近の記事