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【においのマナー】悩ましい職場でのスメハラ問題、相手をなるべく傷つけず上手に伝える方法

樋口智香子マナー・コミュニケーション講師

こんにちは。マナー・コミュニケーション講師の樋口智香子です。

夏は、においトラブルが出やすい季節。連日の猛暑による汗のにおいや、あるいは、マスク装着中の自分の口臭に、ドキッとする人もいるかもしれません。

自分のにおいならば、いくらでも対策ができますが、悩ましいのは、職場にいる人のにおいが気になるときですね。
においにより、人を不快にさせる嫌がらせのことをスメルハラスメントと言います。しかし、本人は、嫌がらせをしているつもりがないどころか、自分のにおいを自覚していないことがほとんどです。デリケートな問題なだけに、伝え方も難しいですよね。
そこでこの記事では、相手をなるべく傷つけず、におい対策を促す方法をご紹介します。

指導者が「仕事として伝える」のがベスト

におい対策を促すための注意は、本人の上司にあたる人が最適です。
指導者が「仕事として、伝えるべきことを伝える」というスタンスで、対策を促すのがいいでしょう。同僚からの指摘は、人間関係のこじれを招く可能性もあります。気になる人がいたら、直属の上司から言ってもらうのがいいでしょう。

他の業務指導と同じスタンスで伝える

伝え方としては、相手を気遣いつつも、他の業務指導と同じスタンスで行えばよいでしょう。
事実を述べて「業務に障りがあるから、対策をしてください」というありのままを伝えるのです。

例えば、汗のにおい。
まずは「ごめんなさい、ちょっと言いづらいことなのだけど、仕事に関わることなので、お伝えするね。」と前置きをします。そして本題。こんな伝え方はいかがでしょうか。
「ときどき、汗のにおいが気になることがあるの。人と関わる仕事だから、あなたのイメージダウンになっても良くないし、何か対策をしてみてね。」

伝えたあとは、いつも通りに明るく接することもポイントです。

相手のコンディションを気遣いながら伝える

体調不良が原因となる、においもあります。
例えば、口臭。なかには、胃腸の病気や歯周病からくるものもあります。
相手の体調を気遣う、というスタンスで、それとなく伝えるのもひとつの手です。

例えば、こんな伝え方はいかがでしょうか。
「最近、体調はどうかな?ちょっと言いづらいのだけど、お話をしていると、胃腸が悪い人と同じにおいがするときがあったから、心配になってしまったの。」

もし、相手が何も心当たりがないとしたら「なら、よかった。人と接する仕事だから、何かケアをしてみてね。」と明るくフォローすればいいでしょう。

歯周病からくる口臭に関しては「身だしなみ規定として、従業員に歯科受診を義務づけた」という企業の事例があります。

頭髪について、色やヘアスタイルを、社内の身だしなみ規定に合わせるために、美容室に行くことを促すことはめずらしくありません。これと同様、身だしなみ対策としての歯科受診を、全員に促すのです。指導者は、個別指導をせずに済み、社員は歯科検診に行く良い機会を得られる、とても効率的な方法ではないでしょうか。

指導したあとは、明るくフォローする

においの指摘は、それが家族からのものであったとしても、ショックを受けるものです。
多少なりとも傷つけてしまうことは避けられないとしても、本人がそれを引きずらないよう、明るくフォローしましょう。

「仕事ができる人なんだから、些細なことでイメージダウンしたら、もったいないよ」
「いつもがんばってくれてありがとう。ストレスがたまるようなことがあったら、相談してね。」
「お客様からとても評判いいから、引き続きよろしくね。」

伝えるべきことを伝えたあとは、褒める、気遣う、ねぎらう。こうしたフォローを心がけてみてください。
言いづらいことを伝えるのも、愛情です。人の思いは、無意識レベルで伝わるものです。誠実に、愛を持って伝えれば、それは本人にも伝わるでしょう。

以上、においが気になる人への対処法をお伝えしました。お役に立てば幸いです。

マナー・コミュニケーション講師
アカデミー・なないろスタイル 樋口智香子

マナー・コミュニケーション講師

マナー・コミュニケーション研修講師。千葉県出身、元資生堂ビューティコンサルタント。NLP心理学とマナーをかけ合わせた独自のプログラムにより、セミナー・研修を実施。全国250か所から招致され、指導人数は延べ20000人以上。セミナー・研修の他、書籍の出版、コラム執筆、雑誌記事や教材監修など幅広く活動中。

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