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何を考えているのかわからない部下・後輩との接し方

樋口智香子マナー・コミュニケーション講師

「最近の若い人は、何を考えているのかわからない」
これは、時代が変われど、不変のテーマのようです。

「自分の意見を言わない」「リアクションが薄い」「会話が続かない」

部下とのコミニュケーションに悩む上司の方々は、相手の気持ちが理解できず、困惑しているようです。

この記事では「何を考えているのかわからない部下」との上手な接し方について、お伝えします。

部下を苦手意識で見るのを、やめる

まずは、部下に対し「何を考えているのかわからない人」という苦手意識で見るのを、止めてみてください。

実は、私自身、かつての上司や先輩から「何を考えているのかわからない」と言われるタイプの人間でした。そして、そう言われると困惑したものです。「他の人のことなら、何を考えているのか、わかるの?!」とも、思いました。

部下は部下なりに、自分が扱いにくいと思われていることを、感じとっているのです。そして、その理由がわかりません。なぜならば、本人は、普通にしているだけだから。

さらに、そこに返報性の法則が働いてしまいます。
上司が自分に苦手意識を持っているのがわかれば、部下もまた、それを上司に感じてしまいます。そしてますます、お互いにコミュニケーションが取りづらくなるのです。

何を考えているのかわからない部下の特徴と、その心理

何を考えているのかわからない、と思わせる部下には、特徴があります。
そしてその特徴は、本人にとっては、特に深い意味がないことが多いのです。
あまり深読みせず、ありのままを受け入れてあげてください。

例えば、次のようなことです。元・何を考えているのかわからない部下だった私が、彼らの気持ちを代弁します。

・リアクションが薄い、自分から話をしない
→単に、おとなしいだけ。話すより、聞く方が好きなのです。

・無表情
→気持ちが顔に出づらいだけです。
うれしい、楽しいなど、いろいろ感じていますし、あるいは本当に何も考えていないこともあります。

・会話に入ってこない
→話に入るきっかけがつかめないなど、遠慮していることが多いです。または、交流にさほど興味が無かったり、静かに聞いているのが好き、という場合も。

・自分の意見を言わない
→控えめなだけです。聞かれたら言う、というスタンスなのです。言っていいのかな、と躊躇していることもあります。

一度に長く話すより、短い会話を多く重ねる

「話が続かない」とお悩みの場合は、一度に長く話すよりも、短い会話をたくさん重ねることを心がけてください。そこから徐々に、話がしやすい関係になってゆきます。

会話は、些細なことで、結構です。
「〇〇さん、おはよう。今日も暑いね。」「〇〇さん、おつかれさま。調子はどう?」
こんなふうに、挨拶+αのひとことを添えるだけでもOKです。あまり反応が返ってこなくても気にしないこと。大事なのは、続けることです。

質問+承認で、部下の気持ちを知る

「何を考えているのかわからない」のであれば、質問をして、部下の考えを聞いてあげてください。

質問は、以下の方式がお勧めです。

答えやすい質問+承認+深掘り質問

まずは、答えやすい質問です。「どう思う?」のような、ざっくりした質問ではなく、「〇〇について」と細分化した質問が答えやすいのです。

例:「〇〇について、どう思う?」「〇〇のことで、何か感じていることはある?」

次に、承認です。部下が何か答えたら、承認のメッセージを送ります。

例:「そうだね」「それ、いいね」「それ、おもしろいね」

更に、深掘り質問です。詳細や、具体例などを聞いてください。

例:「例えば?」「具体的には?」「どういうときにそれを感じた?」

このような質問の流れにのせると、自分からたくさん話すタイプではない部下も、楽に話しやすくなります。
ぜひ、上司が導いてあげてください。

以上、何を考えているかわからない部下・後輩との接し方について、お伝えしました。
どのような部下の方々とも、より良い関係が築けますように。

マナー・コミュニケーション研修講師
樋口智香子

マナー・コミュニケーション講師

マナー・コミュニケーション研修講師。千葉県出身、元資生堂ビューティコンサルタント。NLP心理学とマナーをかけ合わせた独自のプログラムにより、セミナー・研修を実施。全国250か所から招致され、指導人数は延べ20000人以上。セミナー・研修の他、書籍の出版、コラム執筆、雑誌記事や教材監修など幅広く活動中。

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