元町商店街で、いつも人が並んでいるラーメン屋さんがあります。私は情報にうとい所があるので、きっとニューオープンしたばかりのお店で物珍しいから並んでいるんだろうってずっと思っていました。実はこのお店「座銀」は、オープンしてからこの10月で２年が経つそうなんです！

その日はもう閉店間近だったのか、並んでいる人が少なかったので思わず吸い寄せられてしまいました。メニューを見るとラーメンの種類は３つのみ。これはもしかすると本格派かもですよ〜

店内に入ると、中は小さくてカウンター席しかありません。だけどプラスチックパネルの仕切りは広めの感覚で置かれているので、それぞれのスペースは充分にあります。早速、メニューの一番上に載っていた「鶏Soba、ミニ鶏チャーシュー丼セット」をオーダーしてみました。

すぐ目の前がオープンキッチンなのですが、綺麗に整頓されているのがとてもいい。音楽もジャズが流れていて、女性がひとりで入っても居心地よく居られる雰囲気です。

壁の棚にライトアップされているのは何と「飛魚」の干物。ここでは欠かせないスープ材料のようですが、お洒落な雰囲気で飾られているので素敵なオブジェとなっています。

調理風景を眺めていると、丼に入った白いスープを泡立て始めました。後で店員さんに伺ったのですが、これはスープを乳化させ口当たりが良くなるようにしているという事でした。ちょっとした一手間を惜しみません。

綺麗に盛り付けられたラーメンが目の前に置かれました。色合いも形も美しく、まるでアート作品のようです。スープをひと口飲むと、コクがあってしっかりした飲みごたえが。鶏白湯がベースのスープに、魚介系の旨味も加わっているような深みのあるお味。

ツルンとした中太麺に、とろみのあるスープがよく絡みます。付け合わされた螺旋状のチップスはゴボウを揚げたもの。箸で押さえるとパリッと割れ、麺と一緒に絡めて食べるとめちゃ香ばしい！

チャーシューは、しっとり柔らかな鹿児島の桜地鶏と、自家製のタレで一晩寝かした低温調理の豚肉薄切りの2枚。これまた美味なんです〜

ごろっと厚切りの竹の子やスライス玉ねぎなど入っていて、全ての具材のそれぞれの旨味が麺とベストマッチしているのがホントに驚きです。

麺に合う味の具材がちゃんと選び抜かれた感があり、その厚みや薄さまでもが考え抜かれたように感じます。仕上がりも雑さがどこにもなく、美しい。

セットの「ミニ鶏チャーシュー丼」も、旨味の濃い鶏肉に焦がしニンニクのふりかけ、卵の黄身が載っていて旨さ満点。残ったスープにご飯を少し入れると、洋風なリゾットのようでこれまたいけました。

「ラーメン」という手軽なイメージではなく、「丼の中の世界を楽しむために作り込まれた作品」と表現したいような食べ物です。

店員さんの、お客さん一人ひとりへの対応もとても丁寧なのが気持ちよく居心地もいい。そんな心掛けがきっと味にも反映されているのでしょうね。

大阪に5店舗があり神戸はここだけだそうですが、何と香港、中国にも進出されているそうです。鶏と合わせたアゴ出汁スープ、そのオリジナリティーは確かに世界を渡れる味なのかも。どこまで味わい深いのかは、出会ってからのお楽しみですよ！

鶏soba 座銀 神戸本店