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福は内、鬼も内!?「古式追儺式」で踊る鬼たちは、実は神様の使いだった!【神戸・長田神社】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

節分がやってきましたね。皆さん豆撒きは終わりましたか?もしくは巻き寿司をかじっているところでしょうか。今年の恵方は北北西らしいですね。

節分とは節目の日。「季節を分ける」という意味合いがあり、明日4日は「立春」で季節のはじまりの日でもあります。まだまだ寒い日が続くようですが、ようやく春に向かっていくスタートのような日ということで少し嬉しいですよね。

神戸の長田神社では「古式追儺式」という節分の伝統行事があるのですが、去年に引き続き今年もコロナ禍で、残念ながら中止となってしまいました。神職さんと関係者の方達のみでの斎行となったようです。

この「古式追儺式」、実は鬼が主役なんです。一般的には鬼は追い払うものとされていますが、ここでは鬼は「神々のお使いとしての鬼であり、神々に代わって全ての災を払い清めて、清々しい良い年を迎える事を祈り踊る」という役割を担っています。

全国には他でも「鬼は内」とする地方があるようで、どうやら鬼は必ずしも追い出すものではないみたいですね。「おに」には「隠れて姿を見せないモノ」という意味合いもあるなど、鬼という存在を深く調べていくとかなり面白い所にたどり着きそうな気配です。

2020年に行われた「古式追儺式」の写真。松明に火がつけられた
2020年に行われた「古式追儺式」の写真。松明に火がつけられた

さて。県指定の重要無形民族文化財としても大切に残されている古式追儺式。私は2年前に初めて見たのですが、火をつけた松明(たいまつ)を振り上げる鬼達の姿は力強く、飛び散る火の粉をものともせず踊る姿に驚きました。

鬼達を演じるのは、神社近辺の昔からの氏人(旧長田村)に限られているそうです。お面をつけ踊る彼らは、土地のエネルギーが身体に宿ったかのようにどっしりとした存在感。神社空間と一体化しているようで、まさに神様の使いといった様子でした。

今回は目の前でその踊りを見ることは叶いませんでしたが、神職・関係者の皆さん達が無事に追儀式を行ってくれたということでひと安心、これで新しい年を無事に迎えることができます。

2020年に行われた「古式追儺式」の写真。 鬼が手に持っているのが松明
2020年に行われた「古式追儺式」の写真。 鬼が手に持っているのが松明

長田神社では今日、松明に使った後の藁(わら)の束が配られていました。これは毎回、古式追儺式が終わった後におすそ分けして頂くもので、持ち帰って玄関の外に飾ると厄除けになるそうです。私も、頂いたものを帰ってから玄関のランプに吊るしてみました。

松明の上側には火がついた跡があり、黒く焼き焦げていた
松明の上側には火がついた跡があり、黒く焼き焦げていた

来年こそは無事に「古式追儺式」が行われますように。鬼が大地をどっしりと踏みしめ、松明の火を振りかざして踊る姿を思い浮かべながら、節分の今日を過ごしたいと思います。

明日は立春。生きとし生ける全ての命が、爽やかな春の訪れに向かって新しい一歩を踏み出せますように。皆さんも、どうぞ素晴らしい明日をお迎えくださいませ。

長田神社

長田神社HP
住所:神戸市長田区長田町3丁目1-1
電話番号:078-691-0333
開門・閉門 :(4月~9月)5:00~18:00 / (10月~3月) 6:00~18:00 授与所 9:00~16:00

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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