水平線が一面に広がる絶景!山の頂上から望む景色は、時空をも超えた別世界だった!?【神戸市・高取山】
「毎日登山」というのを聞いたことがありますでしょうか。健康のために毎日、山登りをするという習慣のことなんですが、実はこれって神戸独特の文化らしいんです。
登山といっても、そこまでの高い山を本格的な装備で登るような感じではなく、軽装備で歩けるような「ちょっと散歩がてら」に近い登山です。
神戸はそういった軽い登山をするのに向いている地形のようですが、個人的にはなかなか足が向きずらかったというのが正直なところ。何かきっかけがないと「行くぞ」とはならなかったのですが…
先日、思い立って「高取山」に出かけてみました。六甲山系の独立峰で「神撫山(かんなでやま)」とも呼ばれる高取山には、実は三百余柱もの神様が祀られているんです。
歩く度に祠や鳥居があって、どこもかしこも神様でワイワイしています。全ての神様にご挨拶してまわったら山頂までいったい何時間かかるのだろうと心配になってしまうぐらい。なのでご縁のありそうな所にだけ軽くご挨拶をしながら、トコトコと進んでいきます。
山の中腹から「茶屋」が現れ出しました。以前は10軒ほどの茶屋があって賑わっていたそうですが、現在は数軒のみ。その内のひとつ「月見茶屋」さんに入ってみました。ここは手作りの餃子が美味しいという情報です。
お店の開いている時間は今はお昼の11時までですが、特に決まってはいないようなので開いていたらラッキーぐらいに思うのがいいかもです。他のお店も、昔からの薪ストーブがあるなど時代感があって素敵でしたよ。
古い雰囲気の店内に入ると、お店のおばさんとお客さんがひとり。テーブルを挟んで座り、ストーブで温まりながら時折お喋りをしています。
餃子を注文するとおばさんはゆっくりと席を立ち、やがて静かな空間にパチパチと餃子の油が跳ねる音が聞こえてきました。
ストーブの上のヤカンから立ち昇る湯気、丸まって目を細めている猫たち。薄っすらホコリ越しの窓ガラスからは柔らかな日差しが差しています。耳を澄ましてじっとしていると、時間がどこかへ遡っていくような不思議な心地に。
ここへ来る途中、子供の頃のことを所々で思い出しながら道を登っていました。この山は神戸、特に長田の人間にとっては懐かしの山なのかも知れません。
記憶の中では少し薄暗いような道を歩いていた思い出があるのですが、快晴の今日は爽やかな道のりです。
狭い土の小道を歩き、ほのかな植物の香りを吸い込みながら、たまに立ち止まって木立の間に広がる海と街を眺めては癒されます。
生活に近いような場所なのに、山を歩いているとどこか遠くへやって来たようなワープ感があるのが不思議です。
そうこうしているうちに山頂の「高取神社」に到着、振り返ると目を見張るほどの素晴らしい景色が広がっていました。海が大きくどこまでも続いているように思える程のスケール感…ここまで広い水平線を見たのは久しぶりです。
登頂したこともあり薄っすらと汗もかいていましたが、身も心もスッキリさっぱりとして気持ちがいい!
播州、家島から淡路、大峰の山々、生駒、六甲以北の山並みが見渡せるという景色はまさに圧巻です。多くの人が、自分の住む地域をここから見つけられそうですね。
縄文時代からこの山には人が住んでいたそうで、山の下側は弥生時代から村ができ始めたというお話です。その頃に広がっていたであろう自然豊かな風景を頭の中に思い浮かべては、タイムトリップを楽しめました。
気が遠くなる程の時間が通り過ぎて、眼下に広がる今の街なみがあります。色んな人生がこの街にある小さな家々で展開されてきたことを思うと、私たちの人生は短かくほんの一瞬で過ぎ去っていくようなものにも感じられます。
雲が流れては形を変えていくように日々全ては変化していきますが、自然の流れも人生も同じで「あるがまま」でいいんだよと言われているように思えました。
神戸という土地の素晴らしさを改めて感じた今回の山登り。遥か上空から街を見下ろし、改めて自分がどういう場所に日々生きているのかを実感した一日…人生を客観的に見つめ直せるような良い体験でした。
皆さんも街に行きにくい今こそ是非、山に登ってみてはいかがでしょうか。
高取神社
高取神社HP (外部リンク)
住所:神戸市長田区高取山町103-2(高取山頂)
電話:078-611-5925
月見茶屋
住所:神戸市長田区高取山町103-8 (高取山頂近く)
※高取山へ登るには、色んなコースがあるようです。今回は山陽西代駅からスタートして神戸常磐大学前を通っていく道から登り登頂、下りは長田神社に寄って、山陽高速長田駅まで歩くコースにしてみました。
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