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アカデミー賞で噂のあの映画は、無意識の扉を開く驚くべき内容だった!【神戸市・ドライブマイカー】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

映画界からの喜ばしいニュース、皆さんももうご存知ですよね。濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が受賞した米アカデミー賞国際長編映画賞。

日本では『おくりびと』以来13年ぶりの受賞とあって、とにかく注目の的でした。さて、受賞後どうなっているのでしょうか。世界に認められた映画がどんな物なのかが気になって、見に行ってみることにしました。

私が映画を予約したのは受賞のニュースが流れた日のお昼前。神戸の三宮にある「シネリーブル」で15時15分上映だったので、もう一杯で見られないかなと思いながらネットでチェックしてみた所、なぜか座席に余裕がありました。

不思議に思って映画館に向かいましたが、ギリギリに到着したチケットカウンターで前の人が『ドライブ・マイ・カー』のチケットを購入していて、もう最前列の何席しか空いていないという声が。なるほど、3時間ほどで一気に売れたようですね。

映画の細かな内容はネタバレになってしまうのでここでは語りませんが、見ながら私が感じていたことは、とても日本人っぽい感覚の映画だということでした。言葉も、音も、風景もが淡々としていて、静かなせせらぎのごとく流れていくような。

それだけに注意深く言葉ひとつをすくい取るように聞いていく必要もあるのですが、交錯していく物語の言葉同士が重なり合う面白さを、じんわりと深く味わえるような内容でした。

長回しのシーンでは、俳優さんの言葉や表情にどんどんと引き込まれていきます。起こった出来事に対しての人々の反応を描くのではなく、無表情の奥にある感情を観客に想像させ、考えさせ、どこか自分ごととして捉えさせるような部分も。

だからなのでしょうね、私は自分でも全く思わぬシーンで涙が自然と流れ落ちることがありました。多分、私さえも知らない深いところで心が共鳴したんだと思います。そんな、無意識の部分まで入り込んでくるような凄い映画です。

不必要なものを一切取り除いたシンプルな表現で演技力を試されるような中、俳優さんたちは本当に皆が適役でした。言葉の重なりの意味をもっと深く理解したい為、映画を見ている途中で「もう一度見にこよう」と思えたほど、少し複雑でミステリアス。

物語が展開していくにつれ、主人公たちの静かなせせらぎのような世界が変化し始め、徐々に海に向かって流れ込んでいくような大きな感情の揺らぎが出てきます。それに合わせて風景もダイナミックに展開し始め、物語はついにクライマックスを迎えます。

この映画の原作になった村上春樹の本「女のいない男たち」は、オバマ元米大統領が2019年のお気に入りの本に挙げたという話もあるほど、世界でも注目を浴びているような内容なんです。

劇中では9つの言語が使われていて、色んな国の人や手話などでの表現も出てくる多様な絡まりが、限られた空間の中で展開されているのも魅力のひとつ。映画という手法を最大限に生かし、この世界の持つ一面を分かりやすく描いていることにも素晴らしさを感じます。

映画や音楽、演劇、アート作品などのクリエイティブなものに出会うと、頭で考えても答えの出なかったものを、新たな違う視点で見るヒントを与えてくれたりします。それらは人間らしく生きていく上で、外せないものなのかも知れませんね。

「クリエイティブ」は私たちの感性を開き、狭い空間から広い世界へと連れて行ってくれます。扉はすぐ目の前に。あらゆる可能性を見つけに、映画館へと出かけてみてはいかがでしょうか。

シネ・リーブル神戸

シネ・リーブル神戸HP (外部リンク)
『ドライブ・マイ・カー』上映 (179分)
4/1〜4/7 15:45〜18:55 (4/7に終了の可能性あり) 
※以降の上映スケジュールは未定
場所:神戸市中央区浪花町 59 神戸朝日ビルディング B1F
Tel : 078-334-2126
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109シネマズHAT神戸

109シネマズHAT神戸HP (外部リンク)
『ドライブ・マイ・カー』上映 (179分)
4/1〜 4/7【シアター4】 10:55〜14:05
4/1.2.3.4.6【シアター1】17:50〜21:00 (4/5.4/7は10:55〜14:05のみ)
住所:神戸市中央区脇浜海岸通2-2-2 ブルメールHAT神戸 2F
24時間音声&FAX案内:0570-011-109(ナビダイヤル)
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『ドライブ・マイ・カー』

『ドライブ・マイ・カー』公式サイト (外部リンク)
全国大ヒット上映中

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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