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現役の手動式エレベーター!百歳を祝う大正時代のレトロ建築を覗いてみた【神戸商船三井ビル】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

神戸の旧居留地を歩くと、古い時代からあるお洒落なビルを見かけます。その中でも特に古くからあるのが「神戸商船三井ビル」。何と今年で百年を迎えるそうなんです。

ということで、メディア内覧会に行って来ました。一階部分は期間限定で一般公開もされるのですが(※)、立ち入り出来ない部分もあるのでこちらで内部の様子をお伝えしますね。

北側エントランスにある垂れ幕には「青い海と100年」という言葉
北側エントランスにある垂れ幕には「青い海と100年」という言葉

このビル、実はとても大きくて現在約80社ものテナントが入っています。一階には幾つかのお洒落なショップがあり、建物の北側にオフィス専用のエントランスがあります。

エントランスの左手にはお洒落なショップ、錨のマークが神戸らしい
エントランスの左手にはお洒落なショップ、錨のマークが神戸らしい

重厚感のある建物の中に進むと、正面のエレベーターの左手に木枠のドアが。どうやらこれが手動式のエレベーターのようです。海外の映画でなら見たことがありますが、日本に現役のものが残っているなんて驚きです。

黒いレバーを左に動かすと降りる、右に動かすと昇るという操作方法
黒いレバーを左に動かすと降りる、右に動かすと昇るという操作方法

アメリカ製のエレベーターは「ジャバラ式巻き上げ機」で、手動でレバーを操作して動いたり止まったりします。扉の内側にはスライド式の網の扉があり、それも手動式。外側の扉は擦りガラスなので、エレベーターが通り過ぎる時に網の扉がオレンジの光に照らされて動いていくのが見えました。

4階にいたら、手動式エレベーターが上階へと昇って行った
4階にいたら、手動式エレベーターが上階へと昇って行った

手動式エレベーターの左隣には細長いガラス張りの空間があり、その下にはポストが。この建物は7階建てなのですが、1階から7階までこの細長い空間が続いています。何だと思いますか?

実はメールシュートと言って、各階に手紙を投函できる小さな隙間が開いていて、上から下のポストの中まで手紙が落ちてくるという仕組みなんです。原始的で面白い!

1階のエントランスにあるメールシュート&ポストも現役で活躍中
1階のエントランスにあるメールシュート&ポストも現役で活躍中

エントランスの上を見上げると蛍光灯の照明があるのですが、よく見ると天井に星の形が映っています。さりげない感じでお洒落なのが素敵です。床のタイルも可愛くて、レトロ好きにはたまらない空間かも知れません。

天井にはくっきりと星の形が写し出されている、洗練されたデザイン
天井にはくっきりと星の形が写し出されている、洗練されたデザイン

一般公開で見られるのはこの辺りまでなのだそうですが、他の部分も後ほど写真でご紹介しますね。この日は特別に「大阪商船神戸支店」のオフィスとして使われていた空間にもお邪魔させてもらいました。

吹き抜けの広い空間。柱や天井など所々に模様があしらわれている
吹き抜けの広い空間。柱や天井など所々に模様があしらわれている

現在はゴルフショップになっているのですが、吹き抜けの2階から下を見渡すとかなり広い空間です。「オフィスだった当時は、あのゴルフバックがある場所辺りに座っていましたよ」と懐かしむのは今日、代表として挨拶をされた商船三井、関西支店長の森下さん。

「30年前に2年間、この場所に勤めて船とは何たるか?を学び、育てて貰いました。そして今日、百年の節目をここで祝えたことにもご縁を感じます」と笑顔です。

威風堂々とした姿、とにかく圧倒的な存在感がある建物
威風堂々とした姿、とにかく圧倒的な存在感がある建物

百年もの長い時間、沢山の人達がここで働いて神戸の街の発展に尽くしてくれたのだと思うと、ありがたみがありますよね。第二次世界大戦も、大震災も乗り越えて来たというビルだけに、百年という時間にもずっしりと重みが感じられます。

過去には取り壊しの話もあったけれども存続してきたという「神戸商船三井ビル」。ここ神戸で貴重なランドマークとしての役割を果たしたい、この先も次の百年に向けて継続していけたらというお話も印象的でした。

裏でビルを支える鉄骨。優れた改修を行ったとして「BELCA賞」を受賞している
裏でビルを支える鉄骨。優れた改修を行ったとして「BELCA賞」を受賞している

5月末まで一部、一般公開されているので見学できますよ。ぜひこの機会に、百年の建物の空気感をリアルに感じに行ってみてはいかがでしょうか。

正面玄関に残る弾痕跡は、第二次世界大戦時のなごり
正面玄関に残る弾痕跡は、第二次世界大戦時のなごり

床に敷き詰められた小さなタイルがレトロで可愛い
床に敷き詰められた小さなタイルがレトロで可愛い

階段の手すりにはゴージャスな模様が刻まれていた
階段の手すりにはゴージャスな模様が刻まれていた

通路の高さは3メートル。大正時代はもっと高さがあったらしい
通路の高さは3メートル。大正時代はもっと高さがあったらしい

以前に使われていたポスト。現在は別場所で保管されている
以前に使われていたポスト。現在は別場所で保管されている

神戸商船三井ビル

一般公開:5月末日まで (平日のみ)
時間:9:00〜16:00
(※)北側のエントランスから入り、守衛さんに声掛けして下さい。公開場所は一階の入り口付近のみとなります。(手動式エレベーターには乗れません)
場所:神戸市中央区海岸通5
Google マップ (外部リンク)

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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