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人が光輝く時、切り取るその瞬間の永遠。病を恐れず今を生きる写真家が、カフェで写真展を開催【神戸市】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

カメラの向こうにある世界がまるで今もそこにあるかのように思える、呼吸感のある写真。切り取られた瞬間の表情から、その人の人生の中でも大切な時だったということが感じられます。

神戸の老舗ライブハウス、チキンジョージの企画で実現した今回のbucato cafeでの写真展。写真家の「Dokachin (ドカチン)」さんが、過去にチキンジョージでライブをしてきたミュージシャンを何年もかけて撮り続けてきたものです。

自身も音楽活動をやりつつ、仲間や知り合いのミュージシャンを撮る間に写真家人生が確立されてきたドカチンさん。このカフェにはそんなミュージシャン仲間が次々と彼に会いにきます。

桑名正博さんの写真の前で撮影する、桑名晴子さんとドカチンさん
桑名正博さんの写真の前で撮影する、桑名晴子さんとドカチンさん

私は2回ここを訪れましたが、前回は桑名正博さんの妹さんの桑名晴子さんが来ていました。そうやって人が訪れるたびにドカチンさんは、過去に自分が撮った写真の前に立つ今現在の彼らの写真を撮り、写真にサインを入れてもらい、再会できた喜びの記録を残しています。

もう既に30名ほどのミュージシャンたちがここを訪れているそうで、この日もお昼間にミュージシャンの「ネイバーズ(天野SHO、Romel Anado)」のおふたりが生BGM演奏をのんびりとやっていたというお話。

桑名晴子さんの写真に書き込まれたサイン
桑名晴子さんの写真に書き込まれたサイン

期間中はほぼbucato cafeにいるか、呼ばれたらライブハウスに出向き演奏をしているというドカチンさん。とにかく日々バタバタと忙しいようですが、その活力は一体どこから?と聞くと「とにかく好きだからかな」と笑います。

こんなに元気なドカチンさんですが、実は現在ガンのステージ4で、3週間に一度は病院へ通っています。「今まで心筋梗塞やコロナなどで4回ほど死にかけたことがあるけれど、その度に復活しているよ」

「あと一年と言われてから、好きなことをやると決めた。写真と音楽をやっていれたら楽しいかも」というドカチンさん。人生観を伺うと「明日死んでもいいから、今日を楽しく。それは20代くらいからずっと言っているし、今はガンと共存している。辛い、悲しいとかは全然ないよ。怖いこともない」

中学、高校は写真部に所属し自分の暗室も持っていたという学生時代。同時に音楽活動もやりつつ、その後一度写真を辞めてしまいます。アメリカに行き建築に興味を持って学んだりしつつも、家具屋さんの実家を継いだのが31歳の頃、40歳以降にはアイスホッケーの選手になるという経歴の持ち主。

怪我を機にホッケー選手を引退、そこから指導員をしつつ選手の写真を撮ったりといつも周りの仲間たちの輝く姿を記録し続けてきたドカチンさん。それは常に自分の好きな世界にいるからこそ、可能なことでもありますね。

「こども達にも、好きなことぐらいは一生懸命やりなさいとずっと言ってきた。勉強したりとかどうでもいいけど、まぁ勉強が好きならやればいいし」人生において、楽しむことを大切にしているドカチンさんらしい言葉です。

今回の展示で使われた写真は150枚近く、様々なミュージシャンの姿があります。一ヶ月ほどの展示期間ともあり最近、写真を入れ替えたばかりということでした。

20時を過ぎた頃から若いお客さんたちが増えてくるというbucato cafe。閉店は23時と、夜遅くまで開いているカフェなので仕事帰りなどにも立ち寄れますよ。

自分の生き方を貫き通して、今もなお走り続けるドカチンさん。彼が切り取った人々の時間、生き生きとした瞬間にぜひ出会いに行ってみては。

2023年 4/29〜5/31までbucato cafeにて開催
入場無料 (カフェなのでオーダーの必要あり)
※写真展示をしているbucato cafeは、月曜が定休日です。
078-393-3815
神戸市中央区栄町通3-6-17 2F
Dokathin Facebook (外部リンク)

2023年秋冬頃、ポートレイトの写真展を企画中。「ギャラリーSEN」にて。詳しい内容はインスタ、フェイスブックに今後掲載予定。

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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