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神戸の震災経験を生かす!能登半島地震…いま、被災地でできる対策にこの情報を使って欲しい【神戸市】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)
震災情報サイト「地震ITSUMO」イラスト・寄藤文平

能登半島地震があり、神戸の皆さんも被災地の事がとても気になっていると思います。何かしたいけど、どうすればいいんだろう…私もそうですが、皆さんも感じていることがあるのではないでしょうか。

神戸の教訓を生かしたり、この先のことをポジティブに考える意味でも何かをシェアできればと思い、防災プロジェクトを神戸をはじめ全国各地で行っている「NPO法人プラス・アーツ」の代表、永田宏和さんにインタビューをお願いしてみました。

今すぐ使える情報。自宅にいる人はトイレの問題は長期に渡る可能性がある
今すぐ使える情報。自宅にいる人はトイレの問題は長期に渡る可能性がある

<能登半島地震の災害に対して、情報発信をすることは?>

「今は(被災地は)それどころではなく、少し落ち着くまで見守る方がいいのではという考えもありますが、何も発信しなければ届かないこともあるので。この先が長くなることを考えると…神戸の震災では下水、上水など1ヶ月から3ヶ月程度止まったりもしましたし、電気の復旧は比較的早いと思いますが、ガス、水道は復旧まで相当長くなると見据えて必要な情報を今から発信することも大事かと思います」

<この先、被災地でどういった事が必要になってきますか?>

「まずは、助かった大切な命をどうやって守っていくか、ということですね。電気、ガスがなければ暖房器具を使えない。今からどんどん寒さが厳しくなる季節なので防寒対策が重要となります。外なら焚火で暖も取れますが、家の中も対策があればと」

「窓にプチプチを貼るなども有効ですし、後は体をどうやって保温するか。例えば(カセットコンロがあれば)温かいお湯をペットボトルに入れて靴下に入れると簡易湯たんぽになる。新聞紙を体に巻いてその上からラップで巻くとかなり暖かいなどの緊急時の防寒対策もあります」

水が使えない場合の、口腔ケアのやり方。
水が使えない場合の、口腔ケアのやり方。

<防寒以外に、必要な対策はなんでしょうか?>

「水がないことによる健康被害があります。ひとつ目は、口腔ケアが大事です。歯磨きができないなどで口の中が不衛生になると、肺炎や感染症にかかりやすくなる。『口腔ケアウエットティッシュ』などアルコールが入っていないもので口を掃除するものや歯ブラシ、マウスウオッシュ、少量の水を使って効率よく口腔ケアをする方法などもありますが、それらがない場合はハンカチや布で歯を拭くだけでも効果はあります」

「一番困るのはトイレですよね。携帯トイレがあるといいのですが、ゴミ袋と新聞紙でサバイバルトイレを作れます。我慢しすぎると膀胱炎になったりと体調を崩す原因にもなるので」

<そんな対策法や情報は、どこかから見られますか?>

「阪神淡路大震災の後の避難生活や、どういう対策をしたのかなどのインタビューや体験談をまとめた本があるのですが、それらは『地震ITSUMO』のウェブサイトから見ることができます。東日本大震災の直後に、この本のイラストを描いてもらった寄藤文平さんから自分たちができることが何かないかと相談があり、出版したその書籍から、これなら被災地で大切になると思われる情報を公開したんです」

「被災地の人に届けたいという想いひとつで本の一部公開に踏み切りました。今こそ届けたい情報なのでぜひ見て欲しいです。他にも、NHKのサイトの『つくってまもろう』という、日本中で生みだされたみんなの防災アイデアを集めた、いざという時に役立つ防災教育動画なども参考になります」

<ネットが見られない、届きにくい人たちに情報を伝えるには?>

「例えば『地震ITSUMO』で公開している情報などをダウンロード、(電気が復旧すれば)プリントアウトして避難所に貼ったり、情報が届かないような近所の人やお年寄りに教えてあげるなど、ネットに強い中高生や若者たちが率先してできることもあるかと思います。最近は地域に貢献したいという若い世代も多いので、支え合うこともできるのではないでしょうか」

「ネットでは手元にあるもので簡単に作れる方法を色々と紹介しているのですが、実際に被災地で使われて役に立ったものをリサーチして厳選したものを載せています。暫くは手元にあるもので何とかしないと新たに調達するのは難しいかと思うので、今は有効な情報だと思います」

「地震ITUMO」で公開している情報はダウンロードできる
「地震ITUMO」で公開している情報はダウンロードできる

<そういった使えるものを、こちらから被災地に送るのもありですか?>

「そうですね、携帯トイレとかはいいですね。食べ物は自治体など色んな所からくる可能性もありますが、トイレは困り続けるかも知れません。既に携帯トイレが送られているような報道も見ましたが、避難生活が長くなると考慮して携帯トイレや防寒系は助かるかも知れませんね」

「口腔ケアウエットティッシュはアルコールフリーなので、口の中だけでなく体も拭けるし、調理器具や炊飯器まで綺麗に拭けます。この先、電気が復旧して水がある状態なら米も炊けるのでその時にとても役に立ちますね」

…以上が、「NPO法人プラス・アーツ」の代表、永田宏和さんに伺ったお話でした。

今回記事としてお伝えしました内容ですが、被災地の状況は刻一刻と変化しますので、本日(5日)に伺った内容から必要な物資などの状況も変わるかもしれないという前提になってしまいますが、どうかご理解頂けると嬉しいです。

また、物資支援をする場合、その方法や現地が物資を受け入れているか否かのことも含めて常に新しい情報を拾って判断していくしかないのですが、募金なども含めて色んな方法があるので、皆さんそれぞれの考えた方法で関わって頂くといいと思います。

最後に。被災地に応援に行ける人もいれば、仕事などで行けない人もいます。私も行けません。永田さんは「僕自身も阪神大震災に対して何か出来たというのは10年後なんです。自分が被災して10年後に、防災教育という形でお役に立てた。いつでも想いがあればできることが、その時々であるのです。だから何も出来ないと自分を責めないでください。想いを持ち続けること、そして忘れないことが大切なんです」と伝えてくださいました。

同時に、この先に対する防災も含めてやっていく必要があると永田さんは言います。神戸の私たちも過去の経験を忘れず、今一度いろんな見直しをして行けたらと思います。そのお話もして頂いたので、またお知らせしますね。

NPO法人プラス・アーツHP (外部リンク)
防災研究所・防災グッズリスト(外部リンク)
地震ITSUMO (外部リンク)
↑防災に役立つ情報をダウンロードできます


※災害ボランティアに関して(転載します)


能登方面への支援・災害ボランティアに関するお願い(石川県)
今回の地震で甚大な被害を受けた能登方面については、多くの地域で災害ボランティアの受け入れ態勢が整っていない状況にあります。
また、能登方面へ向かう道路については、深刻な渋滞が発生しており、こうした中で個別に被災地へと向かおうとすると、支援物資の到着の遅れや、患者の輸送回数の減少など、救助・救援活動に大きな支障をきたす恐れがあります。
そのため、災害ボランティアを希望される場合は必ず、事前に本県特設サイト等で受け入れ状況をご確認ください。
また、各市役所・町役場・社会福祉協議会等には、電話でのお問い合わせは控えていただきますようお願いいたします。
石川県(1月6日 22:00現在)

災害ボランティア受け入れ先など情報


旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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