「ともに」…震災29年を経て、その言葉はどこまでも深い意味を持つこととなるだろう【神戸市長田区】
神戸市長田区の鉄人ひろば。震災復興の象徴とも言えるその場所で17日、追悼行事「1.17KOBEに灯りをinながた」が行われました。
私が会場に着いたのは17時頃でしたが、新長田駅付近では常盤女子高校の学生さんたちが一生懸命に募金活動を行っていました。
話しかけてみると、能登半島地震の災害支援のための募金なんですとひとこと。そう言えば神戸もあの時、全国から助けてもらいましたね。
彼女たちは震災を知らない年代です。会場を見渡すとその年代の子たちが沢山いて、今日ここでボランティア活動をやっている様子です。
鉄人の足元には、小学生たちからのメッセージが書かれた灯籠も飾られてありました。次世代が中心となって、過去そして現在の震災に対して行動を起こしている…そのことがとても意味深く思えます。
会場では、17時45分の黙祷に向けて大学生たちが集まり、代表の何名かがマイクを握りました。
そんな中に、神戸常盤大学の学生の言葉がありました。「神戸の震災時には、長田区にある常盤大学は地域の方々の避難所にもなりました。その際、全国の方々にも助けていただいたとも聞いています」震災を知らない彼らはそう語ります。
震災の後、常盤大学では神戸市長田区社会福祉協議会と連携して学園内にボランティアセンターが設立されました。地域の人々との出会いの中で、今、長田では大きな力が生まれている。そのことをしっかりと受け継いでいきたいと語ってくれました。
そういった活動があるからこそ震災を実体験として知らない彼らにも、経験者の語りや今現在でも助け合いながら地域活動をしている姿を見て理解することがあるのだろうと思います。
日頃からの繋がりがとても大切で、今日のようなボランティア活動がリアルに形になっていくということを知れる経験。募金をした際に、学生さんたちが「ありがとうございます」と言うキラキラした笑顔が印象的でした。
今年の「1.17のつどい」での今年の文字は「ともに」でした。それは能登半島地震の被災者へのメッセージであると同時に、神戸の震災から29年を経てなお、人々と繋がり続けることの大切さをあらわす言葉でもあります。
この日、学生の皆さんの活動風景や言葉を聞くにつれて、「ともに」という言葉が更に重みを増して伝わってたのを感じました。震災を知らない若い子たちがこの先、担って行けるものがこの場で見えてきたような気がします。
日頃からのコミュニケーション、そして地域との繋がり。若い学生さんたちが手伝ってくれるとあればきっと地域の皆さんも嬉しい限りですよね。
そういった繋がりでこの先に人々がとても理想的な関係性を築けるのだとしたら、震災の悲しみも、天に帰った命たちも、どこか報われるのかも知れません。
黙祷の時間、辺りはしんと静まりかえります。心の中で語りかけるとりとめのない言葉と想い。目を開けると、ロウソクのオレンジ色が揺らぐ中で少しうつむきながら手を合わせる人々の姿がありました。
来年は震災から30年です。あれからここまで生きてきたのだという実感を感じながら、「ともに」を周りの人々と共に体現していける一年であることを願います。
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「1.17KOBEに灯りをinながた」 (外部リンク)
会場:鉄人ひろば
住所:兵庫県神戸市長田区1丁目