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映画「i ai」の舞台挨拶が決定!なぜこの物語はこんなに心を揺るがすのか…各界でも驚きの声【神戸市】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)
「i ai」ポスタービジュアル 森山未來 ©️スタジオブルー

映画「i ai」の舞台挨拶に、主人公のコウ役(富田健太郎)の登壇が決定しました。シネ・リーブル神戸にて3月23日(土)12:40の回です。

様々なミュージシャンやアーティストなどからも注目されているこの映画。彼らの深い共感の理由は、これが単に見て終わる物語なのではなく、物語から投げかけられるものがあるからです。


実は先日、映画館で見てから私はずっと心が揺らいでいました。たぶん映画を見た皆さんもどこか同じ想いなのでは。

この映画の持つ影響力は大きく、映画後も何かが続いている感じがありました。色んな角度から読み取れる映画ですが、ここでは私の主観を綴ってみることに。まずは、物語のあらすじをどうぞ。

3/10 マヒトゥー・ザ・ピーポー&森山未來の舞台挨拶はこちらから

<STORY>

ただ働くだけの日々に絶望感を持つ主人公のコウ(富田健太郎)の前に、ある日ふらりと現れたバンドマンのヒー兄(森山未來)。そこからヒー兄の弟キラ(堀家一希)たちとバンドを組むこととなり、コウは人生の輝きを取り戻していく。

自由奔放に生きるヒー兄に振りまわされつつも憧れるコウ。バンド仲間たちと駆け抜けた忘れられない日々。永遠に続くかと思えたある夏の日、突然訪れたヒー兄の、謎の死…

「生と死の境界線をも超え『さよなら』の定義を投げかける、祈りのような物語 」監督・マヒトゥー・ザ・ピーポー

「i ai」ホームページより 窓から乗り出すキラ(左手)とコウ(右手)
「i ai」ホームページより 窓から乗り出すキラ(左手)とコウ(右手)

私は最初、i aiを「パッション溢れる青春映画」だなと思って見ていました。だけど見ていくうちに、滑らかな表面だけが描かれたものではなく奥にもう一層の深みがあることに気づきます。

物語が始まって間もなく、不意にヒー兄がコウに言ったひとことがありました。「なぁ、俺たちの見ている今がさぁ、誰かのファンタジーやったらどうする?」

その言葉はどこかこの世を達観しているかのようで、だけど冗談みたいに聞こえるのは、ヒー兄という人の自由奔放な生き方のせいなのでしょう。ヒー兄の一挙一動がホントに面白くて、とにかくずっと彼から目が離せません。

物語が進んでいくうちに、ヒー兄が発する何気ない言葉を頭の中で繰り返している自分がいました。とても不思議なのですが、まわりを振り回して生きている様などうしようもないヒー兄の、言葉の奥に見え隠れする「純粋さ」に強く惹きつけられてしまうのです。

ある日、突然やってくる別れ。そこに至るまでにはとても苦しく切ない時間が続きます。誰もが経験する、大切な人との死別。「死」というイメージを通して、自分の過去の経験や、今までに出会って別れた人々の記憶がフラッシュバックしては胸の奥を叩きます。

そして気づくのは、癒されないままに蓋を閉めてしまっていた自分の想い。その想いが出てきたことは、私の中にいつづけていてくれた彼らと再び会えたということでもありました。i ai、再び出会う。この映画は誰もが再会したいと願っていた何かと出会える扉でもあるようです。

この映画のラストシーンに、たたみかけてくる様な言葉の数々がありました。それはどうしようもない悲しみや痛み、苦しさを抱えたすべての人に、主人公の声を通して伝えてくるこの物語からのメッセージです。真っ直ぐに届く言葉たちが体中に投げつけられては溶けていきます。

「エンドロールが流れた後も、共に生きよう」

この一言に、全ては集約されていました。綺麗ごとではなく、決して美しくはない世界において…「i ai」、私たちは再びまた出会う。

最後に分かったのは、「i ai」は、この世界に生きるということを、全力で肯定する映画だということでした。

映画が終わった後も私は放心状態が続いて、ただ道をウロウロ歩くことしかできませんでした。再会したもの達との離れていた時間はそんなにすぐ埋められるものでもありません。

ただただ、道を歩いては立ち止まり、空を見上げるのみです。誰にもありうる過去との再会。消え去った彼らと自分が取り戻していく時間、それはもしかすると楽しい時ではないかも知れません。

だけどその再会が喜びのハグに変わる頃には、きっと新しい風景が現れてくるのではないかと感じています。

若者だけでなくどんな人の心にも届く物語、改めて今という時代や生き方を見つめ直すきっかけともなる映画「i ai」。

この映画が作られたのはコロナ禍の真っ最中だったそうです。思い出してみて下さい、あの頃にあなたは何を感じていたのでしょうか。そして今、この世界をどう生きていますか?

物語の中で、人々は様々な感情に心を揺るがせながら答えを探します。哀しみ、怒り、喜び、そんな彼らの心の動きや揺らぎは、人間という存在を愛するがゆえのものでした。

映画を見た後。心が揺らぐままに、季節の色や匂いを受けとりながら風を感じてただただ道を歩いた日々。それでいいのだと、ある日ふとそう思えました。それは再会した彼らとの時間だったのだと。

最後に、主人公のコウが叫んだ「ヒー兄、見てきた景色が綺麗すぎるわ」という言葉が、消えることなく今もまだ私の中で響き続けています。

この世界のあるがままを愛したいなら、ぜひ出会って欲しい作品です。

「i ai」

映画「i ai」ホームページ (外部リンク)
上映館情報 (外部リンク)←全国順次公開
i ai Instagram (外部リンク)

【舞台挨拶 開催日時】
シネ・リーブル神戸
3月23日(土)12:40の回
・12:40~14:38 本編上映
・14:38~14:58 舞台挨拶
【登壇者】富田健太郎
【料金】通常料金

神戸での上映↓
シネ・リーブル神戸 (外部リンク)
場所:兵庫県神戸市中央区浪花町 59 神戸朝日ビルディング B1F
Tel : 078-334-2126

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旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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