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[SDGs] 洗濯でマイクロプラスチックが海に。明日からできる流出防止の取り組み 3選

平島利恵洗濯研究家
未来のために今できることを始めませんか?

洗濯研究家の平島 利恵です。
「マイクロプラスチック」という言葉をニュースなどで目にする機会が増えました。マイクロプラスチックとは、5mm未満の微細なプラスチックごみのことで、近年、海洋生態系への影響が懸念されています。

このマイクロプラスチック、実は洗濯のたびにご家庭から流出していることをご存知ですか?
今回は、洗濯によるマイクロプラスチックの発生・流出を抑制するため、明日からすぐにできることを解説します。

マイクロプラスチックは何から発生するの?

洗濯により大量のマイクロプラスチックファイバーが流出します
洗濯により大量のマイクロプラスチックファイバーが流出します

マイクロプラスチックは、様々なプラスチック製品から発生するといわれています。身近な発生源としては、衣類の合成繊維の洗濯が挙げられます。

近年、ファストファッションの流行とともに、合成繊維を使用した衣類が増えていますが、ナイロン・ポリエステル・アクリルなどを洗濯する際に発生する繊維くずはプラスチックの一種で、マイクロプラスチックファイバーと呼ばれます。
洗濯で排水された中に、ファイバーが含まれ、下水処理で処理しきれないものがそのまま川や海に排出されてしまいます。

一度の洗濯で1枚の衣類から1900本ものファイバーが

ポリエステル衣料を洗濯すると、1枚の衣類当たり洗濯1回で1900本程度のマイクロプラスチックファイバーが発生するという調査結果も出ています。
ドラム式より縦型の方がファイバーが発生しやすく、糸くずフィルターのおかげで長さが3mm以上のファイバーの7割程は回収できますが、3mm未満のマイクロプラスチックファイバーは、回収されることなくほとんど排出されてしまうという結果も出ています。

※出典「洗濯機付属糸くずフィルターがマイクロプラスチックファイバーの流出を削減する効果」https://www.jstage.jst.go.jp/article/senshoshi/64/3/64_197/_pdf

毎日の洗濯で私たちができる3つのこと

洗濯時にファイバーの発生を防ぎ、流出を抑えるために、私たちがすぐにできることが3つあります。

1.洗濯ネットを使用する

フリースは特に、ファイバーが発生しやすい素材です
フリースは特に、ファイバーが発生しやすい素材です

フリースやアクリルなど、合成繊維の衣類を洗濯する場合は、洗濯ネットに入れ生地の保護をすることで摩擦を減らし、ファイバーの発生を抑えることができます。
特に、0.05mmの細かい洗濯ネットの使用が効果的です。
マイクロファイバーの流出を防ぐ洗濯ネットも発売されています。

2.糸くずフィルターをこまめに掃除する

フィルター掃除は、洗濯槽の黒カビ防止にも効果◎
フィルター掃除は、洗濯槽の黒カビ防止にも効果◎

糸くずフィルターは、ファイバーの流出を防ぐ働きがあります。フィルターは使用後、必ず掃除を行い、目詰まりを起こさないようにしましょう。

3.ファイバーが発生しにくい衣類を選ぶ

綿などの天然繊維やウールなどの動物繊維を選びましょう
綿などの天然繊維やウールなどの動物繊維を選びましょう

衣類を購入する際、合成繊維ではなく、天然繊維動物繊維のものを選ぶのも一つの方法です。
最近は生分解性繊維の開発や、ファイバーが出にくい衣類も発売されています。

※出典「衣料品から出るマイクロプラスチックの流出防止リーフレット」https://www.env.go.jp/content/000080958.pdf

明日からできる小さな工夫を

合成繊維は、私たちの生活には欠かせない便利な素材です。
洗濯の際に「ネットの活用」「フィルターの掃除」を心がけることで、環境を守るだけでなく、衣類への負担を減らし、より長くお気に入りの衣類を着ることができるようになります。

この機会に、明日からの洗濯を見直ししてみませんか?

洗濯研究家

2004年に武庫川女子大学文学部を卒業し、株式会社リクルートに入社。じゃらんのEC事業に携わり、株式会社マクロミルへ転職。東日本大震災をきっかけに布おむつ専門店を立ち上げ、EC事業を展開。2013~2015年NY在住中に揉み洗い不要のつけ置さ洗剤の着想を得て帰国。株式会社Heulie 設立。洗濯洗剤と布ナプキンブランド"Rinenna"を展開。洗濯研究家として、「洗濯の正攻法を伝授する」ことを自身のミッションに掲げる。TV、雑誌等のメディアへの出演多数。四児の母。

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