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死亡事故も「まぜるな危険」を混ぜてはいけない理由。洗濯・掃除で絶対に守るべき3つのこと

平島利恵洗濯研究家
「まぜるな危険」は絶対に混ぜてはいけません

洗濯研究家の平島 利恵です。

漂白剤や洗剤を使用する際、裏面に大きく「まぜるな危険」と書かれている商品があります。これは、絶対に見落としてはいけない表示です。
うっかり混ぜてしまうと、危険な塩素ガス(有毒ガス)が発生し、死亡者が出る事故も発生しています。

注意すべき点は、塩素系漂白剤は、酸性洗剤だけでなくレモンクエン酸と混ざっても有毒ガスが発生することです。過去には、暑い日にレモンをかじりながらカビ取りをしていたところ、有毒ガスが発生してしまったというケースも。

今回は、「塩素系」「酸性」洗浄剤使用時の注意点と、守るべき3つのルールを解説します。

1.【塩素系】と【酸性】を混ぜない

【酸性】と【塩素系】は絶対混ぜてはいけません!
【酸性】と【塩素系】は絶対混ぜてはいけません!

「混ぜるな危険」の表記のあとには、【塩素系】【酸性】と記載があります。
塩素系と酸性が混ざると有毒な塩素ガスが発生します。

【塩素系】に、酢・アルコール・クエン酸・アンモニアなどの【酸性のもの】が混ざった場合でも、塩素ガスが発生します。

洗濯や掃除にクエン酸を使っている方は、塩素系漂白剤を併用してはいけません。「うっかり」が重大な事態を招きます。

万一混ざってしまった時

誤って混ざってしまった時や、刺激臭を感じた時は、すぐにその場を離れましょう。換気してから…と思っている間に倒れ、死に至る可能性もあります。
その後、新鮮な空気を吸い、顔をよく洗い、うがいをします。

換気スイッチや外から窓を開けて換気できる場合は、直ちに換気します。
刺激臭がなくなるまで、その場に立ち入らないようにし、臭いがしなくなってから洗浄剤をよく洗い流しましょう。

目・喉・皮膚などに痛みや刺激を感じた場合、気分や体調が悪くなった場合は、ただちに医師の診察を受けます。
(過去の事故事例には、塩素ガスを吸い、休んだ後に病院に搬送され、亡くなってしまったケースもあります)

【正しい使い方】単独で使い、よく洗い流す

酸性・塩素系の洗浄剤は、必ず単独で使用します。掃除で使ったあとは、水で十分に洗い流しましょう。

流し足りないと、排水溝で洗浄剤同士が混ざり、有毒ガスが発生することもあります。

【注意】塩素系を使う時は換気を忘れずに

塩素系洗浄剤を使う時は必ず換気を!
塩素系洗浄剤を使う時は必ず換気を!

単独で使ったとしても、塩素系洗浄剤は刺激臭が発生します。
必ず換気を行い、大量に使ったり、長時間作業しないようにしましょう。気分が悪くなった時は、すぐにその場を離れます。
体調がすぐれないときは使用を控え、心臓病・呼吸器疾患等がある方は、使用しないほうがよいでしょう。

洗濯槽の掃除に塩素系洗浄剤を使用する場合も、必ず換気しましょう。

2:ゴム手袋を着用し、直接触らない

塩素系・酸性・アルカリ性洗浄剤は直接触れないようにしましょう。
衣類やタオルをつけ置き洗いする場合も、必ずゴム手袋を着用します。

塩素系・アルカリ性洗浄剤は目に入ると失明する恐れもあります。スプレータイプのものは、目より高い箇所には使用しないようにし、眼鏡を着用するほうが安心です。

【注意】気分が悪い・目に入った・飲み込んだ場合は医師に相談

気分が悪くなった時は、その場を離れ、洗顔うがいをしましょう。
目に入ったときは、15分以上水で洗い流し、症状がない場合でも必ず眼科医に受診します。そのまま放置すると、失明する恐れがあります。

飲み込んでしまった時も、コップ1~2杯の牛乳または水を飲み、医師に相談しましょう。

洗浄剤は非常に強力なものなので、誤飲・誤使用を防ぐため、お子様や認知症の方の手の届かないところで保管しましょう。

3.「使えないもの」を確認する

獣の毛で出来たハケで洗浄剤を塗り広げるのもNG!
獣の毛で出来たハケで洗浄剤を塗り広げるのもNG!

洗浄剤はすべてのものに使えるわけではありません。パッケージ裏の「用途:使えないもの」を確認してから使用します。

錆や変色の原因となるため、金属製品には使用できません。
塩素系洗浄剤は、衣類につくと脱色してしまうので、使用時は脱色してもよい服を着用しましょう。衣類の漂白に使う場合、白物以外には使用できません

容器の詰替えは厳禁!

容器は洗浄剤に合わせた材質・形状になっています。誤飲・誤使用の恐れもあるので、ほかの容器へは詰替えは厳禁です。
同じ液性の洗浄剤であっても、違う商品を継ぎ足して使うのは危険です。

アルカリ性洗剤・中性洗剤なら混ぜてもいいの?

有毒ガスが発生するのは、【塩素系】と【酸性】が混ざった時だけです。
アルカリ性・中性洗剤や、酸素系漂白剤と混ざったとしても、有毒ガスが発生することはありません。

酸素系漂白剤と塩素系漂白剤は混ぜてもいい?

酸素系漂白剤と塩素系漂白剤が混ざったとしても、酸素が発生するので人体に影響はありません。ただし、本来の漂白効果が出せなくなります。

また、酸性洗浄剤とアルカリ性洗浄剤を同時に使うと、中和作用が起き、洗浄効果が減少してしまいます。

このようなケースや、思わぬ事故が起こる可能性もあるので、基本的には違う液性のものは、混ぜたり併用したりしない方がよいでしょう。

洗濯や掃除など、身近で便利な洗浄剤を、正しく安全に使用しましょう!

洗濯研究家

2004年に武庫川女子大学文学部を卒業し、株式会社リクルートに入社。じゃらんのEC事業に携わり、株式会社マクロミルへ転職。東日本大震災をきっかけに布おむつ専門店を立ち上げ、EC事業を展開。2013~2015年NY在住中に揉み洗い不要のつけ置さ洗剤の着想を得て帰国。株式会社Heulie 設立。洗濯洗剤と布ナプキンブランド"Rinenna"を展開。洗濯研究家として、「洗濯の正攻法を伝授する」ことを自身のミッションに掲げる。TV、雑誌等のメディアへの出演多数。四児の母。

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