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絵本の読み聞かせのポイントは無理しないこと~元保育士パパが教える【絵本の読み聞かせの子育て効果】

hirofuminice元保育士Webライター

子育て真っ最中の皆さん、毎日の子育てお疲れさまです。目の中に入れても痛くない愛しい我が子でも、仕事や家事をしながらの子育ては本当に大変です。

今回のテーマは子育て中の親子におすすめ、子育て効果抜群の“絵本の読み聞かせ”。子育てに効果があるだけではなく、親と子どもが一緒に楽しい時間が共有できます。しかも、0歳から始められて小学生になってもできるのが絵本の読み聞かせです。

「なぜ絵本の読み聞かせに効果があるのか」「その効果とはどんなものか」「絵本の読み聞かせをするときのポイント」などを解説します。まだ読み聞かせをしていないという人も、すでに読み聞かせを実践している人も、ぜひ参考にしてください。

子育てにおける絵本の読み聞かせの効果5選

絵本の読み聞かせは、1冊の絵本と親子で座れる場所さえあれば簡単にできます。短い絵本なら5分もあれば読めるので、時間もかかりません。手軽にできる絵本の読み聞かせですが、実はさまざまな効果があるのをご存知でしょうか?子育てにおける、絵本の読み聞かせ効果を5つ紹介します。

読み聞かせの効果① 心が安定し、幸福感を味わえる

絵本を読み聞かせるときは1冊の絵本を親子一緒に読むので、親子は近い距離にいます。膝の上に子どもを抱っこして読み聞かせるという人も多いでしょう。そして、絵本を読んでいる間は、親も子も静かに座っています。子どもはお父さんやお母さんの膝の上や隣にいるだけで安心し、普段は忙しいお父さん、お母さんが自分だけを見てくれているという状況が嬉しく、気持ちが安定するのです。そして、大好きなお父さんやお母さんとふれあい、お父さん、お母さんの声で物語を聞かせてもらうことで愛情が感じられ、大きな幸福感に包まれるでしょう。その幸福感は、子どもの自己肯定感の向上につながります

慌ただしい毎日の中で絵本を1冊読むのはほんの少しの時間ですが、その短い時間を親子で共有することで、親にとっても子どもにとっても心に残る大切な思い出になることは間違いありません。親は多忙な毎日で、仕事でも子育てでもストレスを感じることが多くあります。しかし、親もまた絵本の読み聞かせを通して気持ちが安定し、ストレス緩和につながるのです。

読み聞かせの効果② 親子のコミュニケーションが取れる

親子で1冊の絵本を読むことで、親子のコミュニケーションを取ることができます。平日は、仕事や園が終わってから帰宅し、夕食や入浴など慌ただしく、あっという間に寝る時間になり、親子で思うようなコミュニケーションを取ることが難しいことが多いでしょう。しかし、親子で密着して1冊の絵本を数分読むだけで、濃密なコミュニケーションになるのです。そして親子の親密度がさらに高まり、子どもから親に対する信頼感も増します。毎日寝る前に読むなど習慣化することで、親にとって子どもにとっても毎日楽しみで、大切な時間になるでしょう。

読み聞かせの効果③ 想像力を育み、感受性が豊かになる

絵を見ながら物語を聴くことで、子どもは視覚と聴覚が刺激されます。子どもは目と耳から入る情報を頼りに、自分や自分の生活とは異なる世界や登場人物など、絵本の中の世界をさらに想像して楽しむのです。想像力は物語の世界の中だけで役立つものではなく、生活のさまざまな場面で必要となる能力。自分とは違う相手の気持ちや目に見えない状況を想像することで、思いやりをもって人に接したり物事の前後を考えて行動したりできるようになるでしょう。先のことを想像することで視野も広がり、危険を回避したり将来について考えたりすることもできるようになります。

そして、絵本の登場人物が物語の中で笑ったり喜んだり、怒ったり泣いたりする気持ちを想像し、共感や疑似体験をすることで感情が刺激され、感受性が豊かになっていくのです。子ども自身も感情が豊かになり、素直に感情の表現ができるようになります。

読み聞かせの効果④ 言葉を覚え、国語力が向上する

絵本には、子どもが知らない言葉や今は使われていない昔の言葉が出てきます。子どもには少し難しい言い回しや言葉づかいなどの表現がされている場合もあります。新しい言葉も、物語に沿って絵を見ながら聞くことで理解がしやすいのです。

また、読み聞かせてもらった後に、親から意味を教わることで覚えることができるので、楽しみながら自然と国語力を向上させることができるのも大きなメリット。国語力の向上は学力の向上につながることはもちろんですが、相手に自分の気持ちを言葉で伝えたり相手の話すことを理解したりする力にもつながります。したがって、人とのコミュニケーションにおいても大きな力となるのです。

読み聞かせの効果⑤ 集中力が高まる

子どもが集中できる時間は限られています。しかし、大好きなことであれば大人が驚くような集中力を発揮し、長時間集中することもあります。絵本の読み聞かせでも最初はなかなか集中できないこともあるでしょう。また、内容に興味がなければ集中して聴き続けることは困難です。しかし、毎日の積み重ねや、子どもが心から「面白い」「楽しい」と感じられる絵本と出会うことで集中力が身についていきます

成長とともに集中力は身についていきますが、大人でも集中力に欠ける人はいるものです。しかし、家庭で絵本の読み聞かせをたくさんしてもらった子どもは学校の授業や習い事でも集中力を発揮し、楽しんで取り組めることで成果を発揮しやすくなるでしょう。

絵本の読み聞かせの7つのポイント

絵本の読み聞かせを行ううえで、大切なポイントを7つ紹介します。今後、子どもに絵本を読むときに意識することで、読み聞かせの効果をさらに高めましょう。

絵本の読み聞かせのポイント① 集中して読む

子どもの集中力を養う効果がある絵本の読み聞かせなので、読み手である親も集中して読みましょう。家の間取りや広さにもよりますが、テレビやゲームの音が聞こえる環境や別の家族が掃除機をかけたり食後の片づけをしたりしているような環境はできるだけ避け、親も子どもも集中できる環境で読み聞かせをすることが大切です。仕事で疲れていたり、考え事があったりして気持ち的に集中できないときは無理して読まないのも1つです。それでも子どもが読みたがったら一旦頭や心をフラットにして集中して読むか、夫か妻に代わってもらうなど工夫しましょう。

絵本の読み聞かせのポイント② 感情を込めすぎない

絵本の内容にもよりますが、棒読みで読むよりは場面や登場人物の心情に合わせてある程度の抑揚をつけて読むとよいでしょう。しかし、あまりにも感情を込めすぎて大げさになるのは、子どもの想像力を育むうえでは逆効果になる場合があります。子どもは絵本に描いてある絵を見て、親が読む言葉を聞いて内容を理解すると同時に想像をふくらませます。あまりにも大げさに感情をのせて読んでしまうと、子どもの想像を妨げてしまうのです。

絵本の主役は絵と言葉、そして子ども自身です。映画やドラマのナレーションと同じく、親が読み聞かせる声は脇役に徹しましょう。

絵本の読み聞かせのポイント③ アドリブを入れたり言葉を変えて読んだりしない

サービス精神が旺盛な人や人を楽しませる能力にたけている人は、より子どもを楽しませようとアドリブを入れたり、言葉を変えたりして読むことがあります。逆に、疲れていて長文を読むのが面倒で端折ってしまう人もいるでしょう。しかし、余計なものを加えず、省略もせず、絵本の文章に忠実に読むことが大切です。

また、絵本は表紙から裏表紙まで含めて1冊の絵本として構成されています。表紙をしっかりと見せてタイトルや作者名まで読み、物語が終わっても余韻を楽しむかのように裏表紙までしっかり見せて終えることで、より深く物語に入り込んで楽しむ効果があります。

絵本の読み聞かせのポイント④ ゆっくり、はっきり読む

絵本の内容や場面にもよって、敢えて早口で読むことが効果的で楽しいというような場合を除き、基本的に絵本はゆっくり、はっきり読むことを心掛けましょう。特に低年齢の子どもに早口で読んでしまうと理解することができません。しかし、あまりにもゆっくり過ぎて間延びしてしまうのも逆効果になるので、ときどき子どもの反応を見ながらほどよい速さで読むように心掛けましょう。

絵本の読み聞かせのポイント⑤ あらかじめ読んでおく

一生懸命に子どもに読み聞かせていると、読み手である親自身が絵本の内容をよく理解できないことがあります。また、難しい言い回しや読みにくい箇所があれば、初めて読んだときにつかえてしまう場合もあるでしょう。そのため、できれば子どもに読み聞かせる前に1度絵本に目を通しておくことが望ましいです。しかし、親が読む前に子どもがすぐに読みたがることや、事前に読む時間が取れない場合もあるでしょう。その場合は読み聞かせのときに初めて目を通すことがあっても気にする必要はありません。

絵本の読み聞かせのポイント⑥ 読んでいる途中で説明や解説をしない

絵本を読んでいると、子どもには難しい言葉や表現、感情が出てくることがあります。また、子どもから質問をされることもあるでしょう。わからないまま進めるよりも、「○○はね、○○のことだよ」などと説明をしたり、子どもの質問に答えたりしたくなりますが、物語の流れをさえぎってしまうことになるのでできるだけ避けましょう。子どもは途中で「?」と思っても、そのまま読み進めるとなんとなく意味がわかることもあります。説明は、全部読み終わってからするようにしましょう。また、登場人物の心情や行動が理解できなくても、子ども自身が「どうしてかな?」と考えることも想像力の向上につながります。親が全て解説することも避けましょう。

絵本の読み聞かせのポイント⑦ 読み終わった後で、子どもに感想を求めない

絵本を読み終えると、つい子どもに「どうだった?」「面白かった?」「○○をどう思った?」などと質問し、感想を聞いたり理解しているかどうか確かめたくなったりしがちです。しかし、1度読み聞かせてもらっても、子どもはすぐに内容を理解できない場合や感想が出てこない場合もあります。子ども自身が内容を噛みしめたり、後から想像したりできる余白を残してあげる意味で、感想を求めるのは避けましょう

ただし、子ども自身から絵本について話したがったり、わからなかったことを質問してきたりした場合はさえぎらず、親子で絵本について話すのはよいでしょう。

絵本の読み聞かせの1番のポイントは、無理をしないこと!

前述した6つのポイントは、一般的なポイントです。しかし、そのポイントを意識しすぎて難しく考えてしまい、親も子も楽しめなくなっては言語道断でしょう。何よりも大切なのは“無理はしないこと”です。

無理をしないためのポイントも紹介しましょう。

無理をしない方法① 読めない日があってもいい

毎日寝る前に読むなど習慣になることが理想ですが、「どうしても読まなきゃいけない」と思って義務になると楽しくなくなってしまいます。 「帰宅が遅くなった」「ごはん食べるのに時間がかかった」「仕事で疲れてとっても読めない」なんて日があったら、休んだって大丈夫。子どもが読みたがってぐずったら、字が少なくてすぐ読める本をパラパラめくるだけでもよいのです。毎日読めなくても、無理なく長く続けられるほうを選びましょう

無理をしない方法② 全部読まなくてもいい

親が一生懸命に読んでいても、子どもがまったく集中しないことがあります。低年齢のうちは尚更でしょう。子どもが集中できなくても叱ったり無理やり聞かせようとしたりせず、あきらめて読むのをやめてしまいましょう。また、子どもは、絵本のページをめくるのが楽しい時期があるので、まだ読んでいる途中なのにどんどんページをめくろうとすることがあります。そんなときも無理に続きを読もうとせず、子どもがやりたいようにめくらせてあげてもよいでしょう。

反対に、先に進もうとしても子どものお気に入りのページがあってめくるのを嫌がったら、気が済むまでそのページを見せてあげてください。その日に全部読めなくたって、また読める日はきます。子どもは気に入った本を何回も読みたがるので、読み手は同じ本を何回も読むと飽きてしまうかもしれませんが、子どもが気に入った本は何回でも付き合ってあげましょう。今日は表紙だけ、次の日は3ページなど、何日に分けて読んだって構いません。絵本は1日で全部読まなければいけないルールなどないのです。

無理をしない方法③ 図書館を活用する

いろいろな本を読んであげたいと思っても、本を何冊も買うのは経済的にも家のスペース的にも大変です。そんなときの強い味方は図書館。図書館なら、無料で借りることができます。休日に、親子一緒に図書館に出掛けて絵本を選ぶのも楽しい時間になるでしょう。

無理をしない方法④ 子どもの感覚や好みを信じる

どんな絵本を選んで読んだらよいのか、迷うこともあるでしょう。そんなときはインターネットや育児雑誌など、さまざまなメディアで年齢ごとのおすすめ絵本が紹介されているので、ぜひ参考にしてください。中には「昔話は名作絵本にするべき」「仕掛け絵本はよくない」「音が鳴る絵本や付録付きの絵本はおもちゃと同じ」など、おすすめの絵本だけではなくて避けたほうがよい絵本が紹介されていることもあります。しかし、子どもが専門家のおすすめしない絵本を気に入ったら無理に取り上げるよりも、親子で楽しんだほうがよいのではないでしょうか。専門家の意見を参考にすることも大事ですが、我が子が心から気に入った絵本があれば、親子にとっての大切な1冊になります

無理をしない方法⑤ 好きなように読む(うまく読もうとしない)

絵本の読み聞かせのポイントで、「感情を込めすぎない」「アドリブを入れたり言葉を変えて読んだりしない」「読んでいる途中で説明や解説をしない」などと書きましたが、それはあくまでも一般的なポイントです。保育士など絵本の読み聞かせを仕事で行うプロは気をつけなければいけませんが、家庭ではそこまで考えすぎると負担になる人もいるでしょう。もちろん家庭でも意識して読むとより効果的ですが、何よりも1冊の絵本を通して親子で濃密なコミュニケーションを取り、楽しい時間を共有することが1番大切です。

子どもが喜ぶなら思い切り大げさに読んだりアドリブを入れたり、好きなように楽しく読んでもよいでしょう。反対に棒読みになってしまっても気にする必要はありません。まず、親自身がリラックスして楽しむほうを優先してください。

絵本の読み聞かせは何歳から?

絵本の読み聞かせは0歳からできます。絵本の内容や言葉が理解できなかったとしても、絵から刺激を受け、お父さん、お母さんの声に安心感をもつ効果があります。絵本には“○歳向け”などと書いてあるものも多くありますが、子どもが読みたがれば3歳の子どもに4~5歳児向けの本を読んでも、逆に5歳児に赤ちゃん向けの本を読んだってよいのです。小学生になって自分で読めるようになっても、子どもが望んだらぜひ読み聞かせをしてあげましょう。自然に卒業する日まで続けると、親にとっても子どもにとっても、大切な思い出の1ページになるはずです。ぜひ、親子で絵本や物語の世界を楽しんでください。

元保育士Webライター

元保育士で、現在はフリーランスとしてWebライターのほか、リトミックや親子遊びの指導など幅広く活動しています。保育士やリトミック指導のスキルや知識、父親としての子育て経験を基に、子育てや保育に関する情報を発信していきます。

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