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自分のことを自分でやろうとする子に育てるために親ができること~元保育士パパが教える【自立心の育て方】

hirofuminice元保育士Webライター

人は一人では生きていくことができません。助け合ったり協力し合ったりして、生きていきます。しかし、人に頼るばかりでも生きていくことはできません。自分でなんでもやろうとする力と、一人ではできないときに周りに助けを求めることができる力の両方が必要です。

今回のテーマは“自立心”です。自立心が強すぎて一人でできないことも無理にやろうとするのではなく、しっかりと自立しながらも周りの人を助けたり助けられたりすることができる子どもに育つためのポイントを解説します。

自立心とは?

自立心とは、人に頼らず自分の力で物事を成し遂げようとする気持ちや心構えのことです。子どもの頃はできないことがたくさんあるので親や大人の援助が不可欠ですが、誰でも成長とともにできることが増え、自分のことは自分でやる力が育つでしょう。しかし、大人の中には自立心の高い人と低い人がいるので、自立心の強い大人になるためには子どもの頃からの親の関わりが重要です。数々の困難が待ち受けているこの先の人生を生き抜いていくためには、自分で考えて判断や選択をしたり自分の力で生活をしたり目標に向かって努力できる力を身に付けなければなりません。

親は子どもをいつまでも援助してあげることはできないので、子どもが将来困らないよう小さいうちから自立心が育つように育てていく必要があります。しかし、どんな立派な人でも一人でできることには限界があるため、一人でできないときは周りにSOSを出すことも必要です。困っている人に力を貸す気持ちも大切でしょう。

ポイントは「自分のことを自分でやろうとすること」

「自分のことは自分でやる」というのは、基本的なことです。しかし、前述したように生きていく中で、自分一人ではできないことが必ずあります。したがって「自分のことは自分でやる」「自分のことはなんでも自分でできる」というよりも、「自分のことを自分でやろうとする」ことが大切なのです。やる前からできないとあきらめてすぐ人に頼るのでも、できないのに誰にも頼れず一人で苦しむのでもなく、自分の力でやろうと努力をするけどできなければ周りに頼れる人に育てることを意識しましょう。

自分のことを自分でやろうとする人に育てる4つの方法

自立心を育てるためには、親の援助や配慮が不可欠です。自分のことを自分でやろうとする人に育てるために、親ができる方法を4つ紹介します。

自分のことを自分でやろうとする人に育てる方法① なんでも手を貸さない

なんでもすぐに親が手を貸すのではなく、できるだけ子ども自身のことは子どもにさせるように心がけましょう。

赤ちゃんのうちは何から何まで親がやってあげなくてはなりませんが、成長とともにできることが少しずつ増えます。しかし、まだできないだろうと決めつけたり小さい頃からの習慣で親がやってしまったりすることはありませんか?また、子どもができるようになったことでも親がやったほうが早いので、待つことをせずにやってしまったりする場合もあります。特に平日の朝の身支度などは時間との戦いのため、つい親が手を出してしまうということが多いでしょう。

しかし、子どもは自分でできるようになると嬉しいので、いろいろなことを自分でやろうとする時期があります。そのときはたとえうまくできなくてもすぐに手を貸さず、子どもが挑戦する気持ちを大切にして見守りましょう。時間がかかってもうまくできたときはたくさん褒めましょう。うまくできなかったときも、自分でやろうとチャレンジした気持ちを認めて褒めることが大切です。じぶんでできた嬉しさや達成感が褒められたことでさらに倍増し、自信や今後のさらなる意欲につながります。

できなくても、叱ったりけなしたりしてはいけません。そして、どうしてもできないときは手を貸して「よく頑張ったね。次はきっとできるよ」など労いや励ましの言葉をかけ、子どもの意欲がなくならないよう配慮しましょう。

自分のことを自分でやろうとする人に育てる方法② 自分でやってみたいと思うような言葉をかける

子どもの中には、甘えて自分でできることでも親にやってもらいたがる子もいます。その場合は、「自分でやってみたい」「やってみよう」という気持ちにさせる工夫をしましょう。「やりなさい」「やってみて」などと、嫌がることを無理にさせようとするのではなく、子ども自らが「やってみたい」という気持ちになることが大切です。そのためには、「もうお兄ちゃんになって上手にできるからやってみせて」「お母さん、今手が離せないからやってくれる?きっと上手にできるよ」「自分でできるところが見たいな」「やってくれると嬉しいな」など、無理強いをせずに子どもがやろうとするような言葉かけを工夫しましょう。

難しいことは「一緒にやってみよう」「手伝ってくれる?」などと誘って、手伝ったり励ましたりしながら一緒にやるのもよいでしょう。手伝ってもらったときは「手伝ってくれてありがとう。助かったよ」としっかりと感謝の言葉を伝えましょう。子どもは感謝されることで人の役に立つ喜びを感じ、困った人を助けようとする気持ちが育ちます

1~2回言葉をかけても子どもがやらなければ、言葉の内容を変えてみるなど工夫をしてください。それでもやらないようなら、それ以上しつこく言うのは逆効果になることもあるので避けましょう。しかし、そこで諦めずに次の機会にはまた声をかけて行くことが必要です。

自分のことを自分でやろうとする人に育てる方法③ 親が見本を見せたりいろいろな方法を伝えたりする

初めてのことをやるときや難しいことをするときは、親が見本を見せてから「やってごらん」と促すようにしましょう。いくつかの方法があるときは、「こんな方法もあるよ」ということを伝えることも必要です。物事には何とおりかの方法があることを知っていれば、うまくいかなかったときにすぐに諦めず、ほかの方法を考えたり試したりできるようになるでしょう。

自分のことを自分でやろうとする人に育てる方法④ 子どもの考えを聞く

人に頼ることも必要ですが、すぐに頼るのではなく「どうしたらよいのか?」と自分で考える力も必要です。そのために、子どもがうまくできないときややり方がわからず困っているときなどはすぐに答えを知らせず「どうしたらできるかな?」「なんでできないんだと思う?」など質問をして、子ども自身が考えるようにしましょう。

見本を見せたりほかの方法を伝えたりするときも、「次はどうやると思う?」「どうやったらできるかな?」「ほかにどんな方法があるか考えてみて」など、子ども自身が考えるような働きかけが重要です。「わからない」と言われてもすぐに答えを教えず、ヒントを出しながら楽しく考えられる雰囲気づくりをするのも有効でしょう。

自分で考える習慣が身に付けば、ピンチのときもすぐに諦めずどうしたらよいのか考えて解決しようとする力が育ちます。考えても無理だと思えば、誰かに頼ろうとする判断ができるようにもなるでしょう。

まとめ

自立心の第一歩として「自分のことを自分でやろうとする子ども」に育てるための方法を紹介しました。常に「自分のことを自分でやろうとする子どもに育てよう」ということを意識し、心掛けることが大切です。しかし、無理にさせようとすると子どもは反発してますますやりたがらなくなることもあるので、子どもの性格や年齢、状況に応じて適切な言葉かけや援助を心がけましょう。

言葉や援助に正解はありません。誰でもどうしたらよいのか迷ったり自分の言葉かけや接し方が正しいのか自信を失くしたりすることがあるので、そのときに自分がよいと思った言葉をかけましょう。そして、そのときの子どもの様子を見ながら「これでよかった」「もっとよい言葉かけがあったかもしれない」など自分の関わりを振り返る気持ちを持つことが大切です。

元保育士Webライター

元保育士で、現在はフリーランスとしてWebライターのほか、リトミックや親子遊びの指導など幅広く活動しています。保育士やリトミック指導のスキルや知識、父親としての子育て経験を基に、子育てや保育に関する情報を発信していきます。

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