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【長野市】圧倒的な存在感を放つ「鬼無里ふるさと資料館」の祭屋台は一見の価値あり

ひろぴ

地域ブロガー・ライター(長野市)

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先日、お邪魔させてもらった「善光寺びんずる市」で手仕事の素晴らしさを改めて感じたひろぴです。

そして、長野市街から車で50分ほど、日本の手仕事の素晴らしさを感じられる場所が長野市鬼無里にもありました。

鬼無里ふるさと資料館」に展示されている祭屋台・神楽は、160年近く今もなお現役で鬼無里のお祭りに使われています

他にも、鬼無里の歴史・文化・産業を知ることができる展示品は「中山間地域の暮らし・産業を知る」という意味でとても興味深かったです。

「鬼無里ふるさと資料館」と大きな看板が出ています
「鬼無里ふるさと資料館」と大きな看板が出ています

この看板が目印。農林産物直売所「ちょっくら」の道路を挟んだ正面にあります。

鬼無里ふるさと資料館
鬼無里ふるさと資料館

資料館の隣には公共トイレもあります。

さっそく館内に入ってみましょう。

奥裾花渓谷の地層。太古の昔は海の底
奥裾花渓谷の地層。太古の昔は海の底

「鬼の無い里」と呼ばれている鬼無里は、奥裾花自然園のミズバショウ、奥裾花渓谷が有名です。

京の都から逃げてきた紅葉の伝説「鬼女紅葉伝説」でも有名な鬼無里は、京都にまつわる伝説が語りつがれてきた土地でもあります。

鬼無里の地名も京都に由来する名称がつけられている興味深い地域です。

獅子頭 (オス)(加茂神社氏子様所蔵)
獅子頭 (オス)(加茂神社氏子様所蔵)

子供が見たら泣いてしまう獅子舞は「邪気を払う」という意味があるそうです。

鬼無里の歴史と祭屋台

普段はガラス越しでしか見ることのできない祭屋台・神楽ですが、毎週土曜日11時~12時に展示ガイドがあり、間近で見ることができます。

豪華な祭屋台(皇大神社氏子様所蔵)
豪華な祭屋台(皇大神社氏子様所蔵)

鬼無里の祭り屋台・神楽は一見の価値ありです。その大きさと迫力に圧倒され、祭屋台がまるで今にも動き出しそうなエネルギーを感じます。

鬼無里の麻産業と祭屋台の歴史

鬼無里の祭屋台を制作したのが、江戸末期~明治にかけて活躍した越後出身の宮彫師北村喜代松とその弟子たちによって手がけられました。

鬼無里では1851年から約10年にわたり、祭屋台、神楽などを制作し、今も鬼無里の人たちによって大切に保管されています。

こんなにも豪華な祭屋台が作られた背景には、鬼無里が麻産業で潤っており、住民から寄付を集められたという歴史があったようです。

喜代松は、1847年の善光寺大地震の際に、復興作業にも携わっていました。江戸地震後、復興のために地方へ集まっていた大工と、鬼無里の産業が発展し経済的に余裕があったことが重なり、このような立派な祭屋台を残すことができたそうです。

圧倒される祭屋台の「彫り」の技巧

同じ人間の手から作り出されたとは思えない「彫り」の技術に圧倒されます。

(鬼無里神社氏子様所蔵)
(鬼無里神社氏子様所蔵)

圧巻のたたずまいに、思わず息をのむ鬼無里の祭屋台。長野市でもこれだけの祭屋台が展示されている博物館は珍しいそうです。

祭屋台の制作には、鬼無里から切り出されたケヤキ材などが使用されています。

当時、7台あったといわれている屋台のうち、資料館に展示されている屋台は四台、神楽は三台展示されています。

これでもか!という豪華さ(鬼無里神社氏子様所蔵)
これでもか!という豪華さ(鬼無里神社氏子様所蔵)

一木彫りの龍(鬼無里神社氏子様所蔵)
一木彫りの龍(鬼無里神社氏子様所蔵)

一本の木から掘り出された龍は、まるで生きているかの様な迫力。

欄間にも使われる透かし彫りの技が見事(皇大神社氏子様所蔵)
欄間にも使われる透かし彫りの技が見事(皇大神社氏子様所蔵)

透かし彫り、一木彫りなどの技術は、近くで見ると息をのむ美しさと力強さで、技術の高さがうかがえます。

祭屋台を一台を作るのに、8人ほどで1年弱かかるそうです。家を建てるより大変な作業ですね。

龍が彫られた屋台の天井(三嶋神社氏子様所蔵)
龍が彫られた屋台の天井(三嶋神社氏子様所蔵)

効率ばかりを追い求める今の時代、このような豪華で繊細な彫刻は逆に彫ることができないのではないでしょうか。

トラと親子の龍(三嶋神社氏子様所蔵)
トラと親子の龍(三嶋神社氏子様所蔵)

親子の龍は「子孫繁栄」の意味が込められています。それにしても見事としか言いようがありません。

その当時、生きたトラは日本に存在しておらず、想像してトラを彫ったそうです。だから少し面白い形をしているんですね。

当時の大工出勤簿(三嶋神社氏子様所蔵)
当時の大工出勤簿(三嶋神社氏子様所蔵)

明治6年に屋台制作に携わった大工の出勤簿。こんな貴重な資料が残っていたんですね。

喜代松と弟子が祭屋台を制作している間は、鬼無里の民家で寝泊りしていたそうで、寝泊りしていた家の欄間などを手がけたそうです。(家宝ですね!)

資料館に寄贈された獅子舞(津島神社氏子様所蔵)
資料館に寄贈された獅子舞(津島神社氏子様所蔵)

過疎化で人がいなくなり、祭りを維持できなくなった地域もあるようです。

白髭神社の神楽(白髭神社氏子様所蔵)
白髭神社の神楽(白髭神社氏子様所蔵)

国の重要文化財に登録されている「白髭神社」の神楽。

神楽はもともと、獅子舞の道具をしまっておくものだったそうです。喜代松が鬼無里で手がけた神楽は他にも、加茂神社、虫倉神社、朝日社があります。

喜代松の息子四海も早くから才能を開花し、のちにフランスへ留学しています。

資料館の2階に、親子3代の作品が展示されています。

神楽・祭屋台の修復作業
神楽・祭屋台の修復作業

何度もの工程を経て、修復されます。修復作業をできる職人さんも、年々少なくなってきているそうですが、貴重な技術の継承は後世に引き継いでいってほしいですね。

中山間地域の産業を支えた麻栽培

1階にある麻の展示室では、麻の栽培過程畳糸の一連の工程を再現し、展示しています。

1階 麻の展示室
1階 麻の展示室

麻は2~3mに成長します
麻は2~3mに成長します

立派な祭屋台が制作された背景には、鬼無里で良質な麻がとれ麻産業が盛んで経済的に潤っていたことがあります。

安土桃山時代より、麻を栽培し畳糸に加工することで、生活の糧としていたようですね。

家内工業で作られ、冬の畳糸の加工は家族総出の仕事。

麻から作った畳糸
麻から作った畳糸

高値で売れらていた畳糸の麻は、中山間地域に暮らす鬼無里の人たちにとって、貴重な現金収入だったそう。当時は、里山でも生活していける収入源があったんですね。

作業しながら雑談し、縁談が決まることもあったそうですよ。

中山間地域の過疎化問題と失われていく技術

日本の里山文化・伝統、日本の産業の歴史を知るとともに、改めて中山間地域の過疎化についても考えさせられました。

現代社会はどんどん便利になっていきますが、その陰で失われていく日本の手仕事があることに危機感を感じると同時に、今の暮らしを見つめ直すきっかけにもなりました。

失われていく伝統や技術をどう後世に繋いでいくか......鬼無里の素晴らしい祭り文化、技術を継承していって欲しいと切実に思いました。

貴重な文化遺産「祭屋台」は一見の価値あり

「鬼無里ふるさと資料館」の存在はずっと前から知ってはいましたが、なかなか入館する機会がありませんでした。

今回、取材をさせていただき、正直ここまで素晴らしい祭屋台を見れるとは思っていませんでした。

祭屋台・神楽が作られた江戸後期~明治時代の職人さんの技術力の高さに、ただただ感動しっぱなしでした。

ここまでの大きさと技術を施した祭屋台を、普段なかなか目にする機会はありません。日本の祭り文化を知ることができ、改めて日本の伝統技術の素晴らしさを見直すことができますよ。

鬼無里は、夏になると蛍を鑑賞できたり、フットパスコースもあり、里山の風景が美しい地域でもあります。ぜひ、自然の風景に癒されに寄ってみて下さい。

その際はぜひ「鬼無里ふるさと資料館」に足を運んでみて下さいね。

圧倒的な存在感を放つ祭屋台と、今ではもう幻になった貴重な麻産業の歴史にふれることができますよ。

今回の取材では、資料館の2階に展示されている展示物はご紹介できませんでしたが、2階にも鬼無里の歴史を知ることができる貴重な資料が展示されています。

展示物
1階:鬼無里村のあゆみ、麻の展示、水車小屋、炭焼小屋、屋台・神楽
2階:北村喜代松・北村四海展示室、長谷コレクション、寺島宗伴展示室、地質と化石、地形模型、木食山居

祭屋台・神楽 展示ガイド
普段はガラス越しでしか見ることができない祭屋台・神楽ですが、毎週土曜日11時~12時展示ガイドがあり、祭屋台を間近で鑑賞しながら祭屋台の歴史にふれることができます。

鬼無里ふるさと資料館
住所:長野県長野市鬼無里1659
(旅の駅鬼無里 目の前)
電話番号:026-256-3270
休館日:月曜日(祝休日と重なる場合は翌日)
祝休日の翌日(土日と重なる場合は開館)
5月・8月・10月は無休
開館時間:9時~16時30分(入館は16時まで)
入館料:一般200円 高校生100円 小中学生50円
(20人以上は団体割引)
祭屋台・神楽展示ガイド:毎週土曜日11時~12時 

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