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天然酵母とイーストのパン、身体にいいのはどちら?わたしがイーストのパンを食べる訳

保健師ノンオイル料理研究家茨木くみ子保健師・ノンオイル健康料理研究家

わたしはずっとパンを焼き続けています。
子育てが忙しく、パンが焼けないときもありましたが
子どもの成長とともにまた焼ける日がきて
今は週に二回ほど自宅用のパンを焼いています。

わたしはパンを焼くことが大好きです。
好きすぎて保健師なのにパン教室を始めてしまうほど。
それが料理家のスタートでした。
今日はよく教室の生徒さんからいただく質問で「酵母」のお話させていただきたいと思います。

子どもが小さい時はよく見に来てくれましたが大きくなると食べる専門
子どもが小さい時はよく見に来てくれましたが大きくなると食べる専門

「天然酵母」と「イースト」身体にいいのはどちら?

皆様のイメージはいかがでしょうか。
イーストは身体に悪いと思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
天然酵母とイースト、身体にいいかは、どちらも同じくらいだと思っています。
わたしは普段のパン作りや教室ではイーストを使用したパン作りをお教えしています。

イーストだってもとは天然の酵母

「酵母=イースト」(Yeast)英語 フランス語ではルヴァン(levain)
そもそも「人工」の酵母は存在しないので、天然酵母もイーストも天然の酵母です。
パンの酵母は全て、分類学上は「サッカロマイセス・セレビシエ」という菌が主流。
「天然」という言葉の響きが、『自然』『安全』『ヘルシー』というイメージですが
「自然食品ブーム」が生み出した幻想のようにわたしは感じています。

「天然酵母」という言葉にはっきりとした定義はなかった


パン業界的では「天然酵母」「イースト」という表現は誤解をまねくので、利用の自粛と、かわりに、それぞれ「自家培養発酵種」「パン酵母」と呼ぶことが提案されているようです。(※参考:一般社団法人日本パン技術研究所「天然酵母表示問題に関する見解」)。

イーストと天然酵母の一般的な分け方はあるの?

〇単一酵母はイーストで、多種多様な酵母なのが天然酵母?
この分類はよく製菓製パン材料のお店のホームページに書かれています。

自然界に存在している野生酵母の中からパンに向くスペシャリスト株を集め酵母を純粋培養したものがイースト。
各メーカーで香りが違うので菌株のこだわりがあるのだと思います。

乳酸菌など複数の酵母や微生物が共生しているものが天然酵母(自家製酵母)
乳酸菌などが含まれるので味わい深いパンになります。
酵母が何に由来しているかにより、香りや味が変わり面白味があります。

(「白神こだま酵母」など単一酵母の天然酵母もあります。)

自家製天然酵母は果物や穀物と水で発酵させ種起こしをします。
自家製天然酵母は果物や穀物と水で発酵させ種起こしをします。

〇魚の天然と養殖のようなイメージ?海外ではこちらが主流のようです。

自分で酵母を培養させるものが天然酵母、工場で培養されたものがイースト?
しかし「天然酵母のパン」のパン屋さんの酵母がすべて自家製かというと、そんなことはなく、
また天然酵母でも工場生産された酵母もあります。
これもまた、すっきりしない分類です。

〇酵母の出身地、酵母の餌、添加物の有無など、こだわり(ブランド化)があるものが天然酵母?
天然酵母は酵母の出身地が明らかで添加物なしで作られています。
わたしは「ペットの血統書」に近いなといつも思います。
天然酵母は〇〇酵母と名前があり血統書付き酵母。

イーストは「ミックス・雑種」に近い。
このように書くとイーストのメーカーにこだわりがないように思われてしまいますが、
そんなことはなく、ペットでも雑種のほうが病気に強かったりするのと同じで、
失敗なく短時間に安定したパン作りを低コストでできる、また香りなど菌株のブレンドのこだわりはたくさんあると思います。

添加物という観点から言えば
『イースト』には乳化剤や保存料などの添加物が使われることが多いのに対し、
『天然酵母』は食品添加物は使用しないこだわりがあるようです。
しかしイーストにふくまれる添加物の量はごく微量です。

天然酵母とイースト、安全性は?

わたしは安全性はどちらも同じ程度だと思っています。

イーストは確かに添加物が含まれています。
わたしの使用しているサフのイーストは乳化剤使用率は1.15%とのこと。(メーカーに問い合わせました)
小さじ1杯で6個パンができますので、パン1個の添加物は小さじ1/6の1.15%です。本当に微量だということが分かります。

天然酵母は?
天然酵母にも不安な点はあります。
果物や穀物の皮についている酵母が多いので、わたしは少なからず農薬が気になります。
天然酵母はイーストに比べて力が弱い為、酵母の量が多く入ります。
イーストの添加物と比較してどうなのでしょう。
また自家製酵母は、素人が作った場合、有害な菌の混入を気づけず、腹痛など起こす可能性もあります。



身体にいいパンを選ぶ基準は酵母ではなくて主原料

健康や身体に負担がないパンを選ぶポイントは、酵母ではなく主原料の小麦や水分だと思います。
お米は標準米を使用する人は少なく、銘柄や農薬など気にする方が多いと思います。
パンの小麦粉も同じことです。
また市販のパンでは、「天然酵母」と書いてあっても小麦の説明がなく、添加物が使われているパンもあります。
たまに食べるものはいいのですが、頻繁に食べるパンは小麦以外に人工添加物の有無や油脂の質なども選ぶポイントにしています。

どんなパンが食べたいか、作りたいかで選ぶのが酵母

酵母選びはどんなパンが食べたいかで決めると面白いです。
風味、食感、うま味、味など酵母が変わると変化します。
パン作りも天然酵母は酵母を育てる楽しさがあります。

わたしが毎日イーストのパンを食べる訳  普段のパンと趣味のパン

わたしは以前、自分の食べたいパンを探しにパン屋さん巡りをしたことがありました。
わたしが食べたいパンは、国産小麦、無添加、油脂不使用でもふわふわなパン。
そんなパンを売っているお店はなく、それなら自分で焼こうと思ったのがパン作りのきっかけでした。
忙しい毎日の隙間時間でパンを焼くため、手間がなく、短時間のパン作りでないと続かない。
わたしが30年もの間パン作りを続けてこられたのは、まさにイーストのおかげです。
イーストのパンは普段のパン。
でも自分で焼くパンが最高に美味しいと思っています。

たまに天然酵母パンが食べたくなることもあり、育てる楽しさを味わったりもしますがこちらは趣味のパン作りです。

多くの方に失敗なしで気軽に、美味しいパンを焼いてもらいたい


わたしは70分で焼き上げるパン作りを普及させています。
わたしはイーストのパンの香りが大好きです。
イーストの香り=パン屋さんのにおいです。

パン作りに挑戦してみようと思ってくださった方がありましたら
是非こちらのパンを作ってみてください。
フードプロセッサーがあれば70分。手ごねでも90分あれば作れるパンです。

発酵はイーストでしたら室温でもふくらみます。
失敗知らずです。
70分で本格パン 毎日食べてもふとらないご飯のようなノンオイルパン フープロでこね30秒 

YouTubeやInstagramでは、バターオイルなしの身体に優しいレシピをたくさんご紹介しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。

保健師・ノンオイル料理研究家 茨木くみ子

保健師・ノンオイル健康料理研究家

産業保健・特定保健指導・子育て相談などの相談業務を長くしてきました。また自身が過食症・摂食障害を克服し約-20kgのダイエットに成功その体験から日本人に合った健康な食生活は和食だったことを再確認。高脂質な洋食・中華・洋菓子・パンを日本人に合った低脂質な和食に近づけたレシピをご紹介しています。著書多数最新刊「ふとらないクリームのお菓子 」「ふとらない米粉のお菓子」【現在の活動】オンラインや自宅で料理教室にて健康情報や料理レシピを発信保健師業務は「うららか相談」にて個別相談を受けています。料理制作動画はYouTubeにてInstagramでは最新情報とライブをしています。

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