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3月の季節限定御朱印と、ひな祭り

井口エリ御朱印記事ライター

街中で見事な梅や早咲きの桜を目にするようになり、暖かさを感じる日が増えたように思います。

3月の今の季節は春の暖かさに誘われ、冬眠中の動物が目を覚まし、土の中の虫たちが動き出す頃です。今年も季節が巡ってまいりましたね。

3月の行事といえば、「ひな祭り」。

入谷・小野照崎神社の桃の節句特別御朱印(令和4年)
入谷・小野照崎神社の桃の節句特別御朱印(令和4年)

この時期はひな祭りをモチーフにした季節限定御朱印の授与がある神社さんも多いですよね。1年でこの季節だけの、ひな祭りの御朱印を楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。今回はそんなひな祭りについてのお話です。

押上・高木神社のひなまつり御朱印(平成30年)
押上・高木神社のひなまつり御朱印(平成30年)

左:新橋・烏森神社のひな祭り御朱印(平成30年)
左:新橋・烏森神社のひな祭り御朱印(平成30年)

川崎・若宮八幡宮のひな祭り御朱印(平成31年)
川崎・若宮八幡宮のひな祭り御朱印(平成31年)

女の子の成長を祈る「ひな祭り」

ひな祭りは3月3日に行う年中行事であり、「桃の節句」とも呼ばれます。

ひな祭りにはひな人形を飾り、白酒・菱餅・ちらし寿司・蛤のお吸い物・ひなあられといった行事食や旬の食べ物を食べ、桃の花を供えて女の子の成長と健康を祈ります。

ひな祭りは、もとは中国から伝来した旧暦三月はじめの巳の日(上巳)に祓いの行事を行う「上巳の節句」に由来します。この上巳の節句が、旧暦では桃の花の季節であること、桃が邪気を祓うという信仰や日本にもともとあった習俗とも結びつき、現在のような「ひな祭り」となっています。

ひな祭りは五節句のひとつですが、この「節句」とは"季節の節目となる日"を指します。

もともと節句は"節供"と書き、1年間の節目の日(節日)に神さまに捧げる供物を意味しました。かつて節日には神さまにお供え物を捧げて、それをお下げして人々がともに食事をする習慣がありました。

かつて季節の節目には悪いものが入り込むと考えられており、この日に旬の食べ物を食べることによって力を頂き、邪気を祓うことができると考えられていました。人日の節句である1月7日に食べる七草がゆ、5月5日の端午の節句のちまきや柏餅……現在も節句と食事とは、密接な関係があります。

現在では「祓え」の概念は薄れていますが、ひな祭りはもともと「祓えの行事」だったのです。

ひな祭りに欠かせない桃の花

ひな祭りでは桃がひとつキーワードとなりますが、“桃は邪気を祓う”と考えられていました。桃=魔除けを象徴するエピソードとして、日本神話にイザナギが黄泉の国から帰ってくる際に桃の実を投げて難を逃れるエピソードがあります

実は現在の暦での桃の開花はひな祭りよりももう少し先。旧暦の3月3日は、現在の暦では3月下旬から4月上旬頃なので、お庭の桃の木の開花はまだ先ですね……。

それでも、この時期花屋さんの店頭では開花時期を調整して見事に開花した桃の花を見ることができます。桜や梅とも違う、華やかな花をつけて私たちの目を楽しませてくれます♪

個人的に3月・4月にかけてひな祭り、桜の季節と春の気分を盛り上げる桃色の御朱印が頂けるこの時期は気分も上向きになります。
3月とはいえ、まだ寒暖定まらぬ時期。神社へはあたたかくしてお出かけくださいね!

御朱印記事ライター

神社や御朱印が好きな元非常勤巫女フリーライター。現在は神社の授与品の企画・開発に携わるかたわら、WEB媒体を中心に様々なジャンルで記事執筆中。実は宝石鑑定士の資格を持っている。

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