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出産したのに瘦せない?産後太りのメカニズムと対処法

理学療法士/ケイシー理学療法士、骨盤底筋指導士、マタニティヨガインストラクター

今日は「産後太り」をテーマにお話していきます。

職場の産後の女性に

「産前産後に困ったことはありましたか?」
とアンケートをとったところ
「産後太りが戻らなくて困った」という意見が
多く見受けられました。

これは本当に大問題ですよね。

命がけで産んだ後、褒められるかと思いきや
少し落ち着いた頃から夫や友人からの
「太ったね」という視線や言葉。


大好きな服が着れない・似合わない!
そんな事態になります。

「私だって、子供を産んだんだから
勝手に痩せると思ったら全然瘦せないんだよ!」

子供は産んだはずなのに太っている
原因が分からないまま女性としての自信も
なくなっていく…想像しただけで切なすぎます。

誰よりも出産後の女性みんなが知りたい!

これについてお話していきます。

妊娠中の体重のはなし

まず妊娠中は妊娠前と比較し
体重は10kg前後増えます。

内訳は以下の通りです。

赤ちゃんに栄養を届けるために血液の量が増えたり
母乳を出すために乳房の重量が上がるのは必要ですよね。

出産に伴い赤ちゃんや胎盤は外に出され
子宮や体液、体をめぐる血液の量は2か月程度かけて
ゆっくりと元の大きさや量に戻ります。

・・・。え、皮下脂肪は?

皮下脂肪はいつなくなるの?

実は、皮下脂肪は残ります。

いやいや!一番いらないんで出ていって
ほしいんですけどーーー!(心の叫び)

だから、産後女性の身体は
妊娠前より2~3kg増えた状態で
落ち着くことが多いです。(気持ちは落ち着かない)

「じゃあ、妊娠前に瘦せておけばいいのか?」
と思った方々は注意。答えは「NO!」です。

瘦せすぎている人は不妊症や流産、
子供の発育障害など、妊娠事態に
問題が生じてしまうので
過度なダイエットは絶対にやめましょう。

ではそもそも、なぜ皮下脂肪くん、君は
私に許可なく勝手にくっついているんだ。

なんの役に立っているんだ!

というところが一つ思うところですよね。
でも実はこの脂肪くんには
とっても大事な役割があるんです。


皮下脂肪の役割、それは

①体力勝負の出産や産後の育児のために
栄養を蓄えている

②赤ちゃんが寒くならないように、そして
赤ちゃんを衝撃から守るために脂肪をつけている
(赤ちゃんのクッションであり、お布団)

…きみめっちゃ大事な仕事やん…!!

ママと赤ちゃんを守る騎士やん。

脂肪は敵じゃなかった…!!

とはいっても妊娠中の功績は素晴らしいですが
産後はただの脂肪。武勇伝をもったただの脂肪。

皮下脂肪ですから、待っていても
勝手になくなってくれはしません…。
(お腹をつまみながら遠い目)

そこで!
産後太り解消のための基本は

①栄養管理!

糖分は言わずもがな控えめに、塩分は
身体を浮腫ませるため控えめに!
妊娠中たくさん我慢したママの
ストレスにならない範囲で
少しずつ意識してみましょう。

②運動!

運動嫌いの方にはうんざりワードですよね。
わかりますよ…ですが、産後の女性は
妊娠中と産後の安静期間により
未だかつてないほどに活動量は
低下し筋肉量が落ちています。
(意外とそのこと見落とされがちですが)


その筋肉量はもちろん日常生活だけでは
まかないきれず、そうこうしているうちに
「疲労困憊な育児」「産後記憶がないほど
しんどかった」なんてことが生じます。


筋肉は脂肪を燃焼させるために必須であるため
産後太り解消にも必須です。
自分が好きな運動や、ながらでできる運動など
一日10分を3セットから始める程度で良いため
産後2~3か月経ち身体が落ち着いたら
運動を始めてみましょう。

今後妊娠希望のある方は、妊娠前の
今から運動を始めることがとってもおすすめです。
なぜなら


「産後の慣れない育児中にやったことのない
運動を始めることはハードルが高いから」

運動習慣をつけて、妊娠中から主治医の許可があれば
できる限り身体を動かし筋肉量を落としすぎない
ようにしましょう!

ここまで読んで
「なんだやっぱり女の努力次第じゃん」と
思った男性が居たら

「喝ッ!」

話は最後まで聞いてもらいたいです(何様)

生まれたばかりの赤ちゃんは
10か月過ごしたお母さんのお腹から出て
初めての外での生活。

この世界ではまだまだ抵抗力が弱く
色んな病気にかかるリスクがあります。

赤ちゃんのかかりやすい病気

これらを含め様々な病気にかかりやすい状態
それが赤ちゃんという存在です。

新米お母さんは、そんな
弱い存在である赤ちゃんの心配をしつつ
初めてだらけの慣れない共同生活を始めます。

お母さんとしての日々は待ったなしで
始まりますが、産後2~3か月は「産褥期」と呼ばれ
お母さん側の身体も心もボロボロの状態から
徐々に回復していく期間であり安静が必須です。

心も体も不安定ななかで、思う通りに動けず
それでも自分よりも赤ちゃんを心配する日々が続きます。

そんな病気の心配以外にも
「うつ伏せになってないかな?」と
何度も様子を見に行ったり
「夜泣きのせいでほとんど寝てない…」
そんな別の悩みも出てくるでしょう。

精神的疲労、睡眠不足、自身の不調の中で

自分の自信を取り戻すために運動をしたい!
食事に気を付けたい!

と思う余裕が湧いてくる?いやいや。
まず生きているだけで100点満点です。

少しでも寝たい…休みたい…

実際そんなお母さんは多いのでは
ないでしょうか。

まずはそれでいいと思います。

産後数か月はしっかり休むこと。

これがお母さんの使命です。
お母さんの健康が結局は赤ちゃんの健康に
つながるわけですから。

ではその後、少し生活に慣れてきたころに、ふと

「自分のために産後太りを解消したい」

と考えた時。どうしたら良いのか。

産後太りを解消するにはさっそく
運動をする?食事制限をする?

いいえ。私はまず

「生活の余裕をつくること」

これに尽きると考えています。

生活の余裕、それすなわち

子供の安全は確保されている
自分だけの時間をつくること。

親を呼ぶ、ベビーシッタ―を数時間頼む、
夫に休みをとってもらう・・・

方法はなんでもいいんです。

とにかく、身体を休めたり、
好きなことをしたり
育児でいっぱいな心に、余白をつくること。

これが大切なのではないかなと。

心の余白をつくることで、
自分に目が向き、やるべきことが考えられたり
心の整理が付き、何か少しでも
始めてみようかなという気分になる。

これにつながります。

「お母さん業」は大変な仕事です。

会社員と同じように、休まなければ
ブラック企業勤めと同じこと。
心も体も病んでしまいます。

まずは定期的にしっかり休みをつくること。

それによって

生活の隙間時間を見つけることが上手になり
運動を取り入れられたり
好きな芸能人のインスタを見てやる気を
高めるなんてころもできるかもしれません。

理想としては、この時間をどうにかつくれるよう
妊娠中に環境を整えておくこと。

なぜなら
産後には「マタニティブルー」という
魔物が住んでいるから。

「子供と離れたいなんて親失格だ」と
弱気になり人を頼るなんてできないかもしれない。

「努力できない私が悪いんだ」
なんて普段は思わないようなことで深く悩んでしまう
かもしれません。

私は、私のことを大事にしてもいいんだ。

そんな冷静な頭で考えられるタイミングで
しっかりパートナーと話をしておくこと。
これが大切ではないかな?と私は考えます。

お互いを思いやり合うには理解が必要です。
そして、理解のためには伝えることが必要。

知ろうとすること、伝えようとすること。
そんなやりとりを積み重ねて
夫婦そして家族がチームとして
HAPPYな日々を生きられますように。

またお会いしましょう。

理学療法士ケイシーより

愛をこめて

理学療法士、骨盤底筋指導士、マタニティヨガインストラクター

病院で理学療法士をしているケイシーです。【理学療法士とは】Physical Therapist(PT)ともよばれます。主に体に障害を負った人をリハビリし日常に送り出したり、運動の指導、体のメンテナンスなどをする仕事です。ケイシーは現在、【妊娠中や産後の女性の体のケア】と【入院中の患者様のリハビリ】【予防医学】を専門としています。ここでは、病院で働いてるからこそ話せる小話や、心と体を健やかに保つことの大切さ、日常生活に役に立つ医学情報などについてなどざっくばらんにお話ししていきます。

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