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パンケーキアート〜キャラの描き方と焼き方のコツをこそっと教えます。焼き色で6階色も可能…

稲垣圭介ラ・リチェッタ シェフ

 みなさんこんにちは、パンケーキアート職人(オタクシェフ稲垣)です。さて世の中では「推し」や「推し活」などという言葉も定着して、生誕祭などをお祝いする習慣もあたりまえ、というかもう必須となっておりますよね。そんな推しの二次創作やグッズでお祝いもいいでしょうし、最近はラテアートやアイシングクッキー、さらには…そうパンケーキアートでお祝いするツワモノもあらわれております…そんなSNSの投稿を見て…実はちょっとやってみたい…と思っているそこのあなた!闇雲に始めて失敗するまえに是非この記事を読んでみてください…絵心よりも大事なもの…それはレシピと道具なんです。

 さて、前々回の記事でパンケーキアートの基本の作りかたのメソッドを猫のパンケーキで解説させてもらいましたが、今回はいわゆるアニメっぽいキャラクターに特化した形で説明していきたいと思います。

 まあざっと今回の記事を見てみて興味が湧いたら基本編の記事を読むパターンでもいいかなとも思います。きっと「なんだできそうだな…」となるはず(今回の記事だけみるとちょっと敷居が高い?印象だと思います)

 それでは自分のテンプレパターンで解説いたしますね。

道具や材料は100均や近所のスーパーなどで入手可能です。フライパンも1500円ぐらいのもの(マーブルコート)を使っております。

材料 森永ホットケーキミックス150g(1パック)めいらく有機無調整豆乳195g

ミックス粉と豆乳をボールへいれホイッパーでしっかりと混ぜてからゴムベラを使い一度ビニール袋にいれてから冷蔵庫へ。

他の準備ができたらビニール袋の先端を切って100均のディスペンサー下絵用(少し)とペイント用(半分ぐらい)に注入します

下絵用ノズルは可能な限り小さく、もうペイント用は2mmほどの穴をあけておきます。右がペイント用左と下が下絵用です。 (ノズルに最初から穴が空いているタイプではなくカットして穴をあける物を選びます。ハサミではなくカッターで探りながら切ること)

綿棒は消しゴムツールになったり目のハイライトを丸くくり抜くのに。竹串は細かい作業に使えます。キッチンペーパーも用意しましょう

フライパンは使い古したテフロンかマーブルコート。専用にして脂分をアルコールで除いて使います。油はつかいません。 ぶつぶつに浮き上がって失敗しているのを見かけますが油を使っているとそうなってしまいます。下絵も浮いてしまいます

(描く絵柄や写真は反転しますのであらかじめiPadやスマホで反転絵を用意しておきます)

よく脱脂した加熱前のフライパンに直接ノズルを斜めにあててペンのように下絵を描きます。垂らしてではなく擦り書きです(大事)

力の入れ加減でいわゆるペンの「入り」や「ヌキ」的な線を描くことも可能です

いわゆる一発描きだと「アタリ」を付けることができませんので…自分の描き方だとまず

目を描いてその大きさのバランスを見てハナ(単なる点の場合も多い)そしてまた目を描く

そのバランスを見つつ口の位置を決めて、前髪、輪郭、目から顎までの距離をみつつ頭全体の大きさを確かめつつ描いていきます。表情の肝になる眉毛は最後でいいかなと思います。(その頃には前髪も乾いていると思いますので、あとから上から描き足すのも楽だったりする)このときは若干垂らし気味に描くと先に描いた前髪などが壊れずにすみます。

目の丸いハイライトは点を描いたあとに綿棒(小)でくるっと抜きました。まつげの跳ね上がりは竹串を使うと良いでしょう。

 実はこの描き方は看板職人さんや、漫画家さんが色紙に一発描きするときにもつかわれているようです。目、鼻、口、全体のサイズ感のバランスが狂ってなければとりあえず見た目はOKというわけです。以前シティハンターの北条司先生が壁に冴羽獠を描く動画を見たことがあるのですが、実にこの描き順でした。

 さて焼いていきます。火加減はこちら。

 (IHでもいけるらしいのですが、焼きムラができやすいのでこまめにフライパンの位置をずらすらしいです)

 さて、ここでみなさんが誤解しがちなのが、焼きながら上から生地をたらしていくのだから時間との戦い!みたいなことだと思います。ですがそれは実はそんなことはありあません。焼き色をそのレイヤーごとに一度火からあげて色を「止め」なければならないのです。タイミングよく濡れ布巾(2枚重ねる)にあげて熱を下げましょう。

それを繰り返すことによってこんな感じで色合いを変えることができます。

6階色ですね。金髪や銀髪のキャラだと一色少なくなります。楽です。

よくパンケーキアートは苦そう!焦げてる!などと言われることがありますが、1の色も普通にこんがり気味のパンケーキの色として問題ないレベルかと思います。コントラストが重要なので恐れることなくしっかり焼いていきましょう。

まず一色目が下絵です。

こちらに1みたいなしっかりとした焼き色がついたらえいやっと濡れ布巾にあげます

そして2の色にあたる部分、つまりは髪の毛の濃い部分や目の瞳の上半分(一般的な黒い瞳)口が開いてるなら角の部分、さらに衣服の濃い部分に生地を垂らしていきます。さましながらですので落ち着いて作業しましょう。フライパンのヘリで火傷などしないように注意です。

再び焼いていきます。次は3の色、で止めて再び濡れ布巾に。濡れ布巾も一度また水に通して絞っておきましょう。今回は髪の毛全体です。このとき、髪の毛のハイライト部分は残しましょう。さらに口の中のグラデーションなどもついでに…

次に4の色ですが、要するに影部分です。瞳の下半分、口の中、目の上のシャドウ、髪の毛の影、そして頬紅(羞恥)など、さらに耳の中央、首や衣服の影部分です。どこで色の判断をすれば?ですよね。目の上のシャドウ部分をみていると良いかと思います。タイミングよくあげてください。

頬の羞恥マークも端を綿棒でちょっとくりぬくといい感じになるかも…ですね。

そして5の色がほとんど焼き色をつけない生地そのものの色あいです。目の中や髪の毛のハイライト以外の全ての部分です。下絵全てのまわりをカバーする感じで生地を垂らしていくとひっくり返すときに楽かと思います。自分はこのとき45秒ほど焼いております。

そして最後にあげて、6の色、目と髪の毛のハイライト部分に最後の生地を垂らすわけですが、実はこの生地だけは自家製のものを使っております。市販のミックスだと若干の黄色味があるので、白をよりくっきり出すためです。こちらは、ふるった薄力粉100gに対して砂糖23g、ベーキングパウダー6g、豆乳が160cc、塩少々、となります。

最後は30秒ほど経ってからひっくりかえします。ひっくり返したら1分ほど裏面にも火をいれていきますが、ひっくり返したときに気泡があるときはちょんちょんと生地を垂らして指で撫でてあげると下からの熱気で気泡がふさがります。

(ちなみにひっくり返すターナーも100均一ですが、エッジを削って薄くしてあります。オススメの加工です)

さて…気になる出来上がりはこちら。

本当にひっくり返すまで裏がどうなってるのかわからないのでドキドキします…自分でもひっくり返したときに声が出そうになることも…

そしてつまりはこういうことです。ちょっとわかりずらいかもしれませんが、こういうことをやりました…

おそらく全てのキャラにほぼ共通する色の付け方ですが、とにかくコントラストが大事。他にも服の質感を出すには焼きながら生地を垂らす、とか補色(赤と緑など)とかは色の差を焼き色では出しづらいので片方の色をつけない、などいろいろテクがあるのですが、それはまたの機会にご紹介いたしますね。

とにかく所詮はパンケーキなので再現性とかは重要ではありません。パンケーキらしく再構築するわけです。再現性すごい!と言われてもあまり嬉しくないのはまさにそこで(再現性重視ならフードプリンタで良い)とにかく可愛ければOKということです!

それでは是非パンケーキアートの世界へ…

(文章 稲垣圭介)

ラ・リチェッタ シェフ

日本をを代表する(というより他にほとんどいない)パンケーキアート職人。アニメコミック系キャラクターから犬猫まで貴方の推しをパンケーキにいたします。本職はイタリア料理ですが、オタク趣味が興じてこのようなことに…フードアートに感動と驚きを…

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